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存在感
昔から私は存在感が希薄だった。
家族で食事中目の前で皆と一緒に食事をしているのに、家族の誰かに「あれ? 彼奴は」と言われた事が何度もある。
学校で先生が出席をとっているとき直ぐ前の席に座っているのに気が付かれず、欠席扱いにされた事が何度もあった。
だから私は少しでも存在感が増すように、髪を染め奇抜な髪型にして目立つ色の服を着るようになる。
あまり効果は無かったけど。
それが今、道を歩く殆んどの人たちが私を指差し見つめている。
認識されるのが遅れ大型トラックに轢き殺された血塗れの男の幽霊が、嬉しげに道の脇に佇んでいた。




