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食い物
昔俺は女を食い物にしていた。
田舎から上京したばかりの初心な女の子を言葉巧みに騙し弄び、最後にその筋の店に売り払う。
その報いを今受けている。
俺が立て籠っているビルの周りにはゾンビが群れ集まりギッシリと取り囲んでいた。
取り囲んでいるゾンビは全部女。
あいつもこいつも俺が騙して売り払った女達だ。
こいつらは俺を食うことだけを目的として集まっている。
何故分かるのかって?
ゾンビ共が群れ集まって来たとき俺は十数人の仲間とこのビルに籠城していた。
ゾンビに取り囲まれ絶望した俺と仲間達は、どうせ食われるのならゾンビを多数道連れにしてやると手に手に木刀や鉄パイプを持ちビルから飛び出して行ったら、ゾンビ共は他の者達には目もくれず俺だけに掴み掛かって来たからだ。
俺はその手を振り切り何とかビルに逃げ帰る。
他の者達は俺が襲われている隙に逃げ散った。
あれから数ヶ月過ぎて備蓄していた食料も無くなりビルの屋上から眼下に群れるゾンビを見ながら、飛び降りてゾンビに食われる事を選択するかどうか悩んでいる。




