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死体を埋めたのは
俺は広域暴力団の親分だ。
昔、俺に逆らった部下を屋敷の居間で殺してしまう。
死体の処置に困り、広い屋敷の庭にある木の根元に穴を堀り埋めた。
誰が警察に垂れこんだのか知らないが、今俺の屋敷に警察官が大挙して押し寄せ、庭に数十本ある桜の木の下を次々と掘り返している。
それを見ながら俺はほくそえむ。
桜の木が数十本あるからといってその下に死体を埋める訳が無いだろうが。
桜の木の下に死体を埋めたら真っ先に疑われるなんて事は誰だって分かる事だ。
なんて事を思いながら、死体を埋めた杏の木の根元を眺めていた。