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遅すぎた春


モニターに待ちわびた春が映し出されていた。


穏やかな陽光を浴びて咲き誇る花々。


花々の間を蜜を求めて虫たちが飛び回る。


「マスター! 見てください。


春が地上に戻って来ました」


コンピューターがモニターの前に座る人物に話しかける。


数万年程昔、地球温暖化を契機に氷河期が引き起こされた。


人類は人類絶滅の危機を乗り越える為に少数の者が宇宙ステーションに乗り組み、大多数の者は地下深くに造られた施設の冷凍睡眠装置内で眠りに就く。


数万年の間地上は雪と氷に覆われ生命の伊吹は全く感知できなかった。


それが今、数万年振りに地上は春の陽気に覆われ生命の伊吹がそこかしこで感知される。


「マスター!


人類が待ち望んだ春が来たのです。


地上に戻る準備を始めましょう」


またコンピューターがモニターの前の人物に話しかけた。


数万年の間に宇宙ステーションのコンピューターは劣化し、10数年前宇宙ステーションに向けて飛来した極めて小さな隕石を見逃す。


その隕石は宇宙ステーションの居住区を貫き内部にいた者達の命を奪った。


モニターの前の人物もその時命を落とす。


劣化したコンピューターはその事に気が付かずモニターの前の人物に話しかけ続けた。


「マスター寝ていらっしゃるのですか?


起きてください。


春が地上に戻って来たのです。


マスター! 起きてください。


マスター!


マスター!


マス…………………………」




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