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時空機士クロノウス  作者: 宰暁羅
凍結機士編(後編)
104/116

カリブルヌス・フラワー

23KB……




 翌日。

 目を覚ました鮫介は、同じベッドですやすやと眠るスーを起こさないように気を配りつつ、ベッドを抜け出した。

 トイレを借りながら、今日の予定を確認する。

 本日は――全ての予定がシュロックのところになっている。即ち、シュロックの『ワイルドハンド』の最後の種子の捜索だ。

 ……本当に、聖王アーサーについて話していいのだろうか。

 怒られたりしないだろうか。

 はぁ、と鮫介の気分は重い。

 自分の部屋へと戻り、スーの寝顔を観察しながら、椅子に背もたれ、思い悩む。


 ――人を期待させるのは、苦手だ。


 それは、いままで響太郎の役目だったから。

 だから鮫介がその立場に立たされたとき、勇者として頑張らなくてはいけないと思う反面、その実例がなくて不安なのだ。

 響太郎は特殊すぎる例なので、参考にはならない。

 果たして結果を早めに出して失敗して怒られるほうがいいのか、それとも十分な検討時間を設けて時間をかけるのが正しいやり方なのか。

 うーん……

 うーん、うーん……


「悩む……」

「ん~……むにゃ、何が悩むの……ふわぁぁ……」

「あ、おはよう、ス―」


 そうしているうちにベッドで眠っていたス―が起き出したので、慌てて外行きの仮面――いつもの『勇者』らしい美青年風――を被り、にこやかに挨拶する。

 パジャマから私服に着替え、ス―の着替え(今日も退廃的な黒と赤が中心のゴシック系だ)を手伝って食堂に。途中ゴードンやオトナシ近衛舞台の面々と合流し、食堂でドゥルーヴさんと対面。

 朝っぱらから筋肉質な男性と一緒に食事は少々緊張するものがあるものの、どうにか平和的に終了し、屋敷の外へ。

 取材待ちしていたシャープ夫妻を引き連れ、今度はス―と共にシュロックさんの樹甲店を目指す。

 さて。

 どうしたもんかなぁ……


「おはようございまーす、シュロックさん」


 結局、決断出来ないまま樹甲店に到着してしまう。

樹甲店から出てきたイルカさんに挨拶をし、中に案内してもらう。ス―には耳を塞ぐよう伝え、再びの騒々しい空間に圧倒されつつ、しかめっ面のス―の背中を押して昨日案内された会議室(?)で、待たされると、店長であるシュロックさんが眠そうにあいさつしてきた。

 なんだか、特徴的なモヒカンヘッドも少々しなびている。


「やぁ、ブラザー……お待たせしたかな?」

「シュロックさん。いいえ、約束したわけじゃありませんし、特に待ってはいませんよ」

「おお、そうかい。勇者様に失礼なことをしたと冷や冷やしていたのだが、気にしてはいないようなので何よりだよ」


 出てきたシュロックさんと挨拶。どうやら昨晩はバイザードの修理に時間をかけていたらしく、睡眠時間が減少してしまったらしい。

 鮫介はまだ若いので理解出来ないが、大人が睡眠時間が足りないとキツいというのは知っているつもりだ。

 会議室に座り込んだシュロックさんがこくり、こくりと船を漕いでいてる間も、鮫介は一人思い悩む。

 うーん……

 悩んでいたが、ここまで来ても結論は出なかった。

 やはり、言わなくてはならないのだろうか。


「シュロックさん、あの……」

「ああ、すまない。イルカ、朝飯を持ってきてくれ」

「え?」

「起きたばっかりなんだよ。朝飯くらい、食わせてくれや」


 そう言って煙草を吸い始めた(勿論、僕に許可を取っていた)シュロックさんの前に、料理が並べられていく。

 黒パンにコンソメスープ、サラダに目玉焼きと、いたって普通な洋食風なメニューだ。

 昨夜は軽食風味のジャンクフードしか味わえなかったらしく、久しぶりの食事とのことである。

 そして黒パンを齧りながら、シュロックさんが言う。


「俺の爺ちゃんは、イギリスの生まれだったらしくてな」

「へぇ」

「よく、イギリスでの話を聞かされたよ。ワイルドハントもその一つだ。だから俺は、ワイルドハントのメンバーはイギリス出身者で揃えようと思ったんだ」


 ああ、成程。と、鮫介は一人納得して頷く。

 ワイルドハントはヨーロッパ各地に伝承する伝説だ。その中心人物も、北欧ではオーディン、ドイツでは英雄ディートリヒことテオドリック王やハルドラ夫人、アイルランドではフィン・マックールやマナナン神など、有名どころが満載だ。

それなのにイギリス出身系英雄で揃えていたのは、彼自身に流れる血潮の源流が原因だったらしい。

 そういう祖先の血というものを重視することは大切なことだと、鮫介は(ライトノベル)の中で教わった。だからこそ、その考えは尊重したい。


「で。マイブラザーは、そんな俺に何を話そうとしたんだい?」

「あ、はい。『ワイルドハント』の最後の武装についてなのですが……」


 微かな逡巡の後、鮫介はやはりしっかりと話すことを決めた。

 勇者だから。

 時には物事が成功しない可能性が高くても、やるべきことはしっかりとやらないといけないと思ったからだ。


「ふむ。剣王アルスル、か」

「どうでしょうか。アーサー王はイギリス出身の王様ですし、ワイルドハントに名も連ねます。とりあえず、刃になる種を見つけてしまえば……」

「まぁ……うん。俺も、この場面で使えるのはアーサー王しかないと思っていた」


 目玉焼きになんらかのソース(不明)をかけ、白身だけを綺麗に取り除いて口に含みながら、シュロックはぶつぶつと呟く。


「イギリスには、他にもワイルドハントに名前の挙がる有名な人物がいくつもいるけどな。でも、ボウディッカ、ドレーク、ハーンと名称を決めたとき、俺は最後の人物はアーサー王しかいないと思っていた」

「それは……」

「それはな。アーサー王が、故郷を取り戻すために戦った王様だからさ」


 ジャスミンティーを啜って、シュロックは吐息を吐き出す。


「……アーサー王はな。爺ちゃんがイミニクスに襲われる前に語ってくれたんだ。あ、爺ちゃんはイミニクスに襲われて死んだんだけど……それでも生前にさ。イギリスには伝説級の凄い王様がいるってな」


 そう言って、シュロック氏はお爺さんとの思い出話を語ってくれる。

 遥か昔。岩の台座に刺された剣を抜いたアーサー王は、魔術師マーリンの指導のもと、王となってイギリスを狙うピクト人の侵攻を阻み、やがてはローマ皇帝ルキウスと戦い、そして勝利し帰還したアーサー王は自らを裏切った息子であるモルドレッドと戦い、戦死する。

 だいたい、そのようなストーリーだ。細かい部分は省く。

 シュロックから聞いたアーサー王伝説も、鮫介の知るものと大きく変化する部分はなく、同じような展開であった。


「こうして、アーサー王は伝説となった。まぁ、後世で作られた伝説も多いだろうが、概ね、内容に変化はないだろう」

「そうですね。僕の知っているアーサー王伝説と、一致します」

「そうかい。俺もご多分に漏れず、アーサー王伝説は好きだよ。だから、アーサー王が最後のワイルドハントになってくれたら、これほど心強い味方はいないと思っていた」


 シュロックはそう言って小さく頷き、そして何かを納得したかのように、うん、と力強く首肯し、


「剣王アルスル。頼めるか、ブラザー」

「必ずや、種子を見つけて持ち帰ります」

「頼む。俺やイルカの造園には、聖剣の代わりとなるような種子は無いんだ……種子さえあれば、俺が土の念動力で上手いこと育ててみせる。頼んだよ、マイブラザー」





「さて」


 参った。

 聖剣となる植物など……どう探せばいいのだろう?

 鮫介は樹甲店を後にし、独りごちる。

 葉が鋭い剣のような種となれば、アロエやアガペなどが思い浮かぶ。

 だが、アーサー王の聖剣の名を継ぐからには、きっと『葉が刃のよう』だけでは駄目なのだろう。


「ス―は何か思い浮かばないか? ムー大陸に自生している植物に関しては、僕はまったく無知でな」

「そうねぇ……ムー・ソウリーフなんてまんまな名前の植物はあるけど、あれは鋸刃だし……聖剣らしい植物って言われると、なかなか思い浮かばないわねぇ……」


 ス―も悩んでしまい、他の隊員たちに質問するも答えは帰ってこず、皆してうーんと唸る。

 葉が刃のように鋭くなる植物。話を聞いても、まるで分かりはしない。 

 鋸のように何度も引くでもなく、すぱっと一瞬で眼の前の敵を斬撃出来る葉。そんな代物が、この世界に存在するのか。

 鮫介たちは悩みながら、市場の花屋を見て回る。この世界において花屋というのは趣向品の類のものだ。100年戦争を続けているこの世界においては当然数は少ないが、それでもあることにある。

 ある、のだが……

 鮫介たちはこの街のあらゆる花屋を巡ったが、それらしい情報は一切入ってこなかった。


「うーん。ゴードン、お前の執事パワーでどうにかならないか」

「はっはっは、コースケ様は執事という職業を何だと思っているのですが。流石に執事と言えど植物に関しては詳しくありませんので」

「そうか……オトナシ近衛部隊の面々はどうだ?」

「申し訳有りません」

「力になれず……」

「流石に植物には精通しておらず……デイルハッドさんの山の知識も大したことありませんよね」

「おい?」

「デイルハッドには『山でのことは任せとけ!』とか言われてたから期待してたんだけど、まさか植物のことが全然分からないなんて、期待外れもいいところだよなー」

「おいおいおいー!!? 君たちね、山のことは何が分かるわけ!?」

「デイルハッド……」

「あ、ちょっ、コースケ様までそんな目を!? 嫌ですよ、俺こそは山の知識人! 山のことに関して、是非俺に頼ってくだされば!」

「いや、うん……頑張ってね」


 両腕をわちゃわちゃと動かし、必死でアピールするデイルハッドに苦笑しつつ、鮫介はどうしたものか、と顎に手を添える。

 実際問題、『聖剣」の代わりとなる植物の情報は欠片もない。

 こうなると、ス―の言う『ムー・ソウリーフ』なる植物を頼って鋸刃の剣にするか、あるいは別種の植物を見つけれなければならない。

 鋸の刃は……正直、聖剣というより魔剣のイメージだ。このムー大陸的には魔剣でも問題ないのかもしれないが、鮫介的には勘弁願いたい。

 格好良いものは、格好良いものでいてほしいものだ……厨二病的に。

 響太郎なら、どうしていただろうか……と一瞬悩んで、自身の想像にへっ、と苦笑いが漏れる。

 仮に、あの男がこの場にいたとして。なんだか突然の超幸運により『聖剣』の種子をたまたまゲット出来るか、あるいは時間制限ギリギリまで見つからず、もうすぐタイムアップという段階で『聖剣』の種を入手出来るか、あるいはその情報を獲得出来るか、だ。

 この二択しか、基本的に選択肢はない。響太郎の選択肢に『敗北』というものが存在しないからだ。

 だから。例えば、目の前にいるあのご老人が、実は『聖剣』の種を持っている、なんてことが――


「あの。もし」

「……えっ?」


 なんて、ことが。

 あるなんて、鮫介は想像すらしなかった。


「もし。そなた、ひょっとして、エク……『聖剣』となる葉をお探しかい?」

「何故それを」

「ひっひっひ。この(ばばあ)には、なんでもお見通しだよ」


 心底心愉快そうに、笑うお婆さん。なんだかそんなに笑われると、こちらが馬鹿にされているようで腹が立つ。


「……それで。僕たちが『聖剣』となる葉を探していたとして、何かお婆さんが御用でも?」

「おお、そう邪険にしなされるな。そら、部下の方々も物騒なものは下ろして下ろして」


 笑う婆さんを不審気に見回していた鮫介とス―を護るように立ちはだかっていたオトナシ近衛部隊の面々は、鮫介の指示通りに渋々と持っていた武器――ナイフとか、拳銃など――を下ろした。

 ていうか、拳銃ってあるんだな。まぁ、この世界は中世の異世界じゃなくて現代と同じ2020年の並行世界なんだから、そりゃあるか。異世界に来た気がしないなぁ。


「失礼、お婆さん。それで、『聖剣』の葉を僕たちが探し求めている、とのことですが」

「おぅ、そうそう。あの武具屋の主、名はなんと言ったかな……あの男が、背負い物を背負って戦闘している姿を目撃してのぅ。それからなんだ、お前たち、先程から周辺の花屋で珍しい植物の噂を尋ね回っているじゃないかい。なんでも、『聖剣』のような刃を持つ植物だとか」

「あの噂話を聞かれていた、と? ……健脚ですね、お婆さん」

「ほっほっほ。年寄りだからって、甘く見るんじゃないよ」


 その場でステップを刻むように軽やかな足取りで地面を叩いてみせ、その場でにっこりと微笑みを作る。

 その微笑に、側のゴードンたちは気を許したようだったが、鮫介はどうにも信じられずに、逆に疑いを深めて老婆を見やる。

 ――この老婆、何かおかしい。何がおかしいのかは、分からないが……


「…………お婆さんが、健脚なのは理解出来ました。それで、僕たちに何の用でしょうか」

「分かっているのに分からないフリをするのは、よくないことじゃよ、勇者様。『聖剣』の葉……の、種。ほれ、ここに」

「……おぉ」


 そう言って、お婆さんが差し出した手には。

 何かしらの、植物の種が備わっていた。

 想像するに、それは聖剣の種、か。あるいは、何か邪悪な企みがあるとするならば、魔剣を呼び出す悪魔の種かもしれないが……


「これが、お前らの求める種。『聖剣』の種、ムー大陸の特別な山に密かに咲く花『カリブルヌス・フラワー』の種じゃよ」

「カリブルヌス・フラワー……」


 カリブルヌス・中世ラテン語で『鋼』という意味の、アーサー王の聖剣の別名だ。

 これは……これは……なんて都合の良い代物(・・・・・・・)であろうか。僕たちが必死こいて探していた代物が、ここに用意されているなんて。

 鮫介の眉間にシワが寄る。

 ここに響太郎はいない。ならば、このような必要とするアイテムが急に手に入るようなイベント、あまりにも不自然だ。

 だが、仏頂面をしているのは鮫介だけらしく、周囲にいたオトナシ近衛部隊の面々やゴードン、シャープさんにス―までもが、老婆の手の中を見つめてにこりと微笑んでいる。


「凄いですねコースケ様!」

「これさえあれば、依頼達成ですな!」

「これもコースケ殿の、持ち前の幸運ですかな?」

「流石だわ、コースケ!」

「えぇ……」


 みんな、一人として老婆を疑っていない。

 みんなバカ正直というか、人が良いのだろうか?

 いや、そうではなく。

 おそらく……鮫介の想像となるが、この世界に、悪人というのが滅法少ないせいなのだろう。


 100年前。イミニクスが世界中に蔓延ったことで、この世界の法則(ルール)は多く変化せざるを得なかった。

 即ち、ムー大陸のみならず、世界中の人々が手を取って戦わねばならぬ。

 即ち、弱者は自らの意志で前線を退き、強者に道を委ねよ。

 即ち、この世に悪人は要らない。その全てはこの戦いの中で排除された。ここに在るのは、ただ、戦う同士なり。

 100年という戦争期間。その長きに渡る異常な経験が、このムー大陸の常識を大きく捻じ曲げてしまった。

 戦場から弱者、悪人という存在は淘汰され、世界には正義だけが残っている。

 何故ならば。弱者、悪人という存在はいたとしても、イミニクスの前では千差万別、死ぬだけの存在だからだ。

 ふとした瞬間に殺されてしまうのだから、悪事を働く悪人は要らない。

 ふとした瞬間に殺されてしまうのだから、銃後で戦ってくれる弱者は守らねばならない。

 そうした歪んだ常識が――ある意味で正しく、ある意味で徹底的に間違っている常識が浸透した結果、今のムー大陸があるのだろう。

 たまに、そういう連中も現れているようだったが、鮫介たちのいる世界と比較して、その数は大きく減じている。


 何もしなければ、人は死ぬ。

 だからこそ、銃後の人間は前線で戦う兵士たちを尊び。

 そして前線の兵士たちは、己の命を繋いでくれる銃後の人間たちに無限の感謝を捧げる。

 そういう、良いか悪いかで言えば絶対に『良い』ほうに属するのであろう、戦い以外の全てを削ぎ落とした痩せ細った正義だけが残っているのだ。


「……お婆さん。僕は……あれ?」


 そして。

 鮫介に種を授けてくれたお婆さんは、ふと意識を戻すとすっかりと姿を消していた。

 ますます胡散臭い。

 胡散臭いが、とりあえず納得しておく。でないと、周囲の盛り上がりが静まりそうにないし。


「やりましたね、コースケ様!」

「これさえあれば、シュロック殿の頼みも達成ですよ!」

「あのお婆さんが偶然『聖剣』の種を持っていただなんて、ラッキーですな!」

「なに言ってるのよ、コースケは勇者なのよ、これも勇者の恩恵よ!」

「おお、恩恵! 勇者様は天の意志にも愛されていますな!」

「……まぁ、うん……そうだね」


 どうにも、皆の意志を否定しづらい。

 この世界には、この世界に即した倫理観がある。それを否定するのは、自分勝手なのではないだろうか……という引け目が一つ。

 ひょっとしたら自分は幸福な人間で、あのお婆さんも悪者ではなかったのではないか……という能天気な性善説に基づいた筋道が一つ。

 自分の考えすぎなんだろうか?

 段々と、そんな気がすらしてくる。もちろん油断は出来ないわけだが、このくらい気楽に生きていいのではないだろうか。すー、はー。


「…………これで、任務は完了かな。無論、他にも『聖剣』の代わりとなる種はいくつかあるんだろうけど、とりあえずこの種で仮決定としよう」

「そうですね! 依頼達成、おめでとうございます!」

「後はこれを届けるだけですね!」

「シュロック氏の喜ぶ顔が目に浮かぶようですよ!」

「ああ、流石は勇者殿! ほら、レヴェッカ、勇者様の写真を撮って! 題して、『コースケ様、探索の果てに『聖剣』の種子に入手!』これは売上増加が見込めますよ!」

「ははは……はぁ」

「コースケ、どうしたの? なんだか、疲労が濃いようだけど」

「気にしないで……なんだかグラウリンデ副隊長が懐かしいだけだから……」


 ああ。グラウリンデ副隊長がこの場にいたのならば、きっと今の種子の入手経路に疑問を抱いたはずなのに。

 鮫介はグラウリンデの怒鳴り声がひたすら懐かしかった。彼女が同行メンバーだったら、という想いで仕方のない。


「どうしよっかなぁ……」


 多くの期待に囲まれて、鮫介ははぁ、とこれみよがしにため息を吐き出すのであった。

 



ムー大陸人はほぼ全員、人が良いです。たまに悪人が出現しますが、それらも見つかり次第淘汰され、マフィアのボスになるような連中なんて十年に一度現れるかどうかです。まぁ、それでも現れるのですが……

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