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フェアリーテイルオブシーヴ  作者: unique
【Ⅰ】エーデルシュタイン王国
8/58

1-8

「あ、おかえりなさい!」


部屋に戻ると、2人はもう起きていた。

入れ違いで入浴していたようで、

彼らからも風呂上がりの清潔な香りがした。


「2人もお風呂入ってたのね」

「はい、薬湯の効果もあって体調万全です」

「僕はシャワー浴びただけだけどね」

「フォルはお風呂が苦手なんですよ」

「猫みたい」

「はぁ?!そういうあんたはハムスターみたいだよ!」

「ああ、酒場で美味しそうにご飯を頬張ってましたもんね‥‥ふふ」

「ぐっ‥‥だって美味しかったもの‥‥」


そんな会話をしながら、身支度を整える。


次に彼らが向かうのは、エルフの王国“イズムルート”。

レッフェルを名誉冒険者に上げている国で、

鬱蒼とした森の中に建てられた自然豊かな国だそうだ。


エルフはヒトの中でも最も魔力に秀でており、

イズムルートに行けば私も

魔法を使える術が見つかるかもしれない。

(少しは役に立てるかなって)


昨日国王様から貸していただいた文献は、

誰も読まないし旅のお供に持って行って良いとのこと。


「国王様、召使いの皆さん、傭兵の皆さん、お世話になりました‥‥!」


沢山頂いたマカロンをいただいた風呂敷に包み、

お城の外で別れの挨拶をする。

国王様、召使いの方、傭兵の方が数名、

お見送りに来てくださった。


「僕達はこのままイズムルートに向かう予定です」

「応援部隊とても助かりました。お世話になりました」

「2人とも立派になったな。その強さを以て彼女のことも守ってあげるように」


レッフェルとフォルケッタの肩をレックスが叩くと、

2人とも鼓舞されたのか元気よく返事をした。


ふと国王様と視線がぶつかると、彼は私に手招きした。

鎖骨へのキスを思い出して気まずくなるものの、

さすがに無視は出来ないので大人しく彼に歩み寄る。


(‥‥いつも君を見ている)


穏やかな声で耳打ちをされ、

鎖骨を服の上から人差し指でなぞられた。


ぶわっと顔に熱が集まり、何も言えずにいると、

ニコニコと人のよい笑みを浮かべ頭を撫でられた。

そのまま背中を押されて、2人の元へと戻った。


「では、気をつけて」


ひらひらと手を振るうレックス。

何も知らない2人は大きく手を振り返し、

まだほとぼりの冷めない私は小さく手を振った。

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