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フェアリーテイルオブシーヴ  作者: unique
【Ⅰ】エーデルシュタイン王国
6/58

1-6

傷だらけになりながらも、

レッフェルとフォルケッタは帰ってきた。

私は何も考えずに2人を抱きしめた。


ありがとう、ごめんね。


只管その言葉を繰り返した。

2人は何も言わずに、優しく頭と背中を撫でてくれた。


上級魔族は非常に強い。

1人で国一つを容易く支配できるほどの力を持つそうだ。

しかし、ここはエーデルシュタイン。

世界の中でも最も大きく、栄える王国。


上級魔族と言えども、

国王の鍛えた数多の屈強な傭兵と

国を背負う名誉冒険者の前には敗れ去ったらしい。


まさか、2人が名誉冒険者だったなんて‥‥。


名誉冒険者とは。

冒険者の中でも、国の推薦を受けた

能力の高い冒険者のこと。

国で1人しか選ばれることは無いと言われる。


酒場の騒ぎも落ち着いて、

2人は城で安静にするようにとのお達しが出た。


せめて看病は任せて下さいと、

召使いの方から薬や清潔な包帯やら一式受け取り、

2人の傍にいる事にした。


「そういえば、何か雰囲気変わりました‥‥?」


レッフェルがまじまじと此方を見ている。

フォルケッタは顔を顰めて私を見ていたが、

首を横に振った。


「何も変わってなくない?」

「うん、何もしてないと思うけれど‥‥」

「うーん‥‥そうですか」


ボーン、ボーン。部屋の柱時計が鳴った。

そういえば、あのマカロン。

半日に1個食べてくださいって召使いの方に言われたな。

そろそろ食べなきゃ‥‥。


「あ!それ、そのお菓子です」

「え、これ?レッフェルも食べる?」

「いや、違くてですね。そのお菓子を食べるってことは、貴女に何かしらの能力があったということでは?」

「全然昼間との違い分かんないけど‥‥」

「ふぐっ‥‥」


―――君は魔力を持つものを誘惑する力があり、

相手の魔力の強さに比例して君の誘惑も強くなる。

先程私が少し指先を触れただけで

気が狂いそうになった。


昼間の国王様の言葉を思い出して噎せた。


「お菓子を食べるってことは、自身で制御出来ないからですよね。それは仕方の無いことです。して、どう言った能力なのでしょうか」

「いや‥‥不可抗力というかこれは‥‥」

「何躊躇ってんの、早くしてよ気になるから」

「ま、魔力を持つ方を誘惑する力‥‥です‥‥」


閑古鳥が鳴くとはまさにこの事か。

暫くして吹き出したのはフォルケッタ。

レッフェルは頬を染めて硬直している。


「あはは、そういう事ね!大丈夫大丈夫、僕はダークエルフだから魔力なんてこれっぽっちも無いし、ちっとも影響ないから!」

「だからフォルは違いに気づかなかったんですね‥‥」

「えと‥‥制御出来ないとはいえ、ごめんなさい‥‥」

「いえいえ、貴女が魔族に襲われる理由も分かりましたし収穫です」

「は~んフェルぅ~、そういう目で見てたの~?」

「ち、違いますよ!あくまで紳士です僕は!今までもこれからも、変わらず彼女を護ります!」


城の一室で笑い声が響く。

無事に帰ってきてくれてよかった。


本当に、よかった。


***


闇の滴るヴァリオン、ガトレ宮殿内。


「アルカデアの時間が動き始めたな」


「あーあ‥‥俺の上級が殺られちゃったぁ」

「雑草らしくお日様でも浴びてれば良いんですよ~」

「こーら、その言い方は無いだろう?」


「ギャハハ!アルラウネは本当に弱いね!」

「口が悪い。控えよ」


「つーかどーすんの?“聖杯”が隠されちゃったじゃん」

「‥‥責任取れ、クリフォト」


「どんなに隠れても俺様の鼻の前じゃ意味無ェぜ!!」

「うわ うるさ‥‥あんたら どっか行って」


「余計な被害は出すな。“聖杯”以外は不要だ。必ず手に入れる‥‥あのお方の為にも‥‥」

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