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フェアリーテイルオブシーヴ  作者: unique
【Ⅰ】エーデルシュタイン王国
4/58

1-4

「ご馳走様でした‥‥」


出された料理を全て平らげると、

フォルケッタは満足したように頷いた。


「で、あんたはこれからどうしたいのさ」

「2人にこれ以上迷惑かける訳にはいかないから、エーデルシュタインで私と同じような状況の人がいないか探してみるわ」

「‥‥ふーん」


またフォルケッタは不機嫌そうになり、

頬杖を着いてしまった。

少し慌てたようにレッフェルが口を挟む。


「貴女は魔法も使えませんし、1人で行動させるのは心配です。貴女さえ宜しければ、僕達のお仕事を手伝いながら情報収集はどうでしょうか?僕達はエーデルシュタインを初め、世界中の国々を回って居ますので、範囲が広がるかなと‥‥」

「ふん、足引っ張んないでよね」

「勿論僕達は冒険者なので、危険な場所へも赴きます。ですが、女性1人守れないほど無力ではありませんので、貴女には傷一つ付けさせないよう約束致します」


レッフェルが私の両手を握り、

真剣な眼差しで顔を覗き込んでくる。


確かに、見知らぬ地で1人ぼっちは不安だ。

この世界では、科学が発展していない分、

誰しもが使える“魔法”で、不便が補われている。

私はそれすら扱えないし、しかも女だ。


それに、彼らは好意で誘ってくれている。

初対面の私にここまで尽くしてくれた人達の

好意を無下にすることなんて出来ない。


「‥‥もう少し、甘えてもいいかしら」


勿論、レッフェルがそう言った気がしたが、

その言葉は突如爆音に掻き消された。

激しい風圧に辺りは騒然となり、

土埃が酒場を包み、空気は未だ震動している。


温かい。

私ではない、誰かの心臓の音が聞こえる。


「‥‥怪我して無い?」


フォルケッタの声だ。

咄嗟に庇ってくれたのだろう、

私はフォルケッタの腕の中にいた。

私が頷くと、ふと目を細めて安堵したように見えた。


彼の頬には、先程の爆撃のせいなのか

切り傷があり、血が滲んでいた。

私を庇ったせいで、受身が取れなかったんだ。

申し訳なくて、彼の頬に手を伸ばしたが、

手首を掴まれて阻止されてしまった。


「そんな泣きそうな顔しないで‥‥不愉快。僕はこの程度じゃやられない、フェルと一緒に城へ逃げて」

「でも‥‥」

「足手まといって言ってんの!フェル、こいつを連れて城に行って!僕が足止めする」

「フォル、気を付けて。恐らくは上級クラスだ‥‥直ぐに戻るよ」

「ふん、僕一人でも充分だけどね」


挑発的な笑みを浮かべ、背負っていた剣を引き抜く。

フォルケッタの扱う剣は、

彼自身の身の丈以上もある大剣だ。

砂塵の中にゆらりと現れた人影に向かって

その大剣を突きつけている。


レッフェルは彼の後ろ姿を横目に、

私を抱き上げ酒場を後にした。


「上級クラスが動くなんて珍しいじゃん?あんたたちが何を考えてるのか知らないけど、こういう事されたら僕達は黙っちゃいられないんだよ‥‥ね!」


目にも止まらぬ勢いで人影に飛び込み、

斬撃を繰り出すフォルケッタ。

華奢な肉体で巨大な剣を華麗に操る様は

誰が見ても圧巻だ。


しかし、敵も魔族の上級クラス。

そう簡単に攻撃を喰らってはくれない。


「イヒ‥‥ヒヒヒ、逃がしちゃったなァ‥‥俺達の‥‥魔族の“聖杯”様‥‥」

「ふん、何の事か知らないけど‥‥魔族なんて言う害虫は片っ端から叩き斬るだけだよ」


敵から伸びる無数の植物の蔦を、

剣一振で全て切断する。

大剣の重さを利用した遠心力で自ら敵に突っ込み、

頭目掛けて刃を振り下ろした。

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