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ショートストーリー 友達の彼氏

作者: 夢前孝行

あたしは現在付き合っている彼氏がなんだか最近嫌になってきて、別れたいと思うようになっていました。

何日も食事は割り勘だし、ホテルに行っても割り勘なのです。割り勘ならまだしも、最近は全額あたしが持つようになっていました。

普通彼氏は付き合っている間はおごってくれるものと聞いていましたが、あたしの彼氏はそんな欠片もありません。

こんなケチな男と付き合っていても、将来結婚して所帯を持つようになれば、どんな仕打ちを受けるかと思うと、もう、我慢できなくなってきて、彼氏に別れたいと切り出しました。

 彼氏は、

「うそだろう」

 信用してくれません。

「ほんまやねん」

 本気であることが伝わっていないようです。

 そこであたしは一発かましてやれと思い、

「新しい彼氏ができたんや」

 いかにも具合が悪そうに演技して俯きかげんに言うと、

 彼、あわてふためき、

「そんならその彼氏をおれに見せろ。ほんまやったら別れたる」

 タバコをふかしながら自信満々で、でかい態度をしていました。

おまえなんかに彼氏ができるはずがないと言っているようでした。

 そりゃそうかも知れませんが、あたしにだって見栄があります、

「そんなら、今度の日曜日、このシティホテルのロビーで待っていてよ。彼氏を連れてくるから」

「ええカッコするな。おまえみたいなブスに彼氏なんかできるはずないやろ。もし、連れてこうへんかったら、元のサヤにおさまることになるで。分かっているか」

 彼は勝ち誇ったように捨てぜりふを吐いて別れていきました。

 あたしは何もブスではありません。

普通の女の子と思っています。

 女の友達もあたしは普通の女と言ってくれているぐらい、ごく平凡な女の子です。

 それに料理も上手だし、オッパイなど大きくて、ナイスバデェの持ち主だと思っています。

 勿論、あたしに新しい彼氏なんかいません。

 ついあの場の勢いで彼氏がいると言ってしまって、さてどうしようかと思いを巡らせていました。

 今度の日曜日、新しい彼氏を連れて行かなければ、彼とは別れられません。

 しかし、あたしには何度も言いますが、彼氏なんていないのです。

 そこであたしは困ったあげく、友人の絵里子に電話し、事情を話すと、絵里子は私の彼氏をその日だけ貸してあげると言ってくれました。

そんな絵里子の友情に甘えて彼氏を借りると、シティホテルのロビーに行くことに決めました。

 あたしは次の日曜日、今までになかったほどおめかして、女らしく振る舞い、無事、絵里子の彼氏をあたしの彼氏に会わせると、彼はしかめ面をして納得して、拍子抜けするほど簡単に別れてくれました


 ところがそれから一年経ちますが、絵里子から借りた彼氏は、まだ、絵里子に返していません。と言いますのは、絵里子の彼はあたしの旦那におさまっているからです。

 ずーっと絵里子から借りっぱなしです。


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