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エピローグ

 女主人公の澪視点のエピローグになります

 息を引き取った、と私が想った次の瞬間、私はヴェルダン近郊の宿のベッドで目を覚ました。

 半ば寝ぼけ眼で私は起き上がり、周囲を見渡したら、村山愛が現実を確認しようと、周囲を私と同様に起き上がって見回している。

 その一方で、土方鈴は、まだ眠っているようだ。

 そして、ジャンヌ=ダヴーは。


 心の底からの幸せを感じているようで、ベッドに腰掛けながら、満面の微笑みを浮かべて、夢見がちな瞳をして、虚空を眺めている。

 その表情が、私の目に入った瞬間、私の心の中の何かが、ブチっと大きく切れた。


「殺してやる。彼もお前も」

 私は絶叫して、ジャンヌに躍りかかった。

 それに対して、ジャンヌは。


「もう、夢で見たと割り切りましょう」

 ジャンヌは、そう余裕綽々の表情を浮かべて、更に幸せそうな顔をし出した。

「そうよ。夢だったのよ。そう割り切って」

 状況がようやく理解できた愛が、私達の間に割って入って、懸命に私達の喧嘩を抑えようとし出した。

 これだけの騒ぎになれば、当然、鈴も目を覚ます。


 鈴が起き上がったのに気づいた愛は、鈴に声を掛けた。

「お願い。澪に当身を食らわせて気を失わせて。このままじゃ私達の秘密がバレる」

「分かったわ」

 そう答えた鈴に、私は天然理心流の柔術を使った当身を食らってしまい、私は強制的に失神させられた。


 私が失神している間に、他の二人は、鈴に事情を説明してくれたらしい。

 私が、また興奮した場合に対処できるように、また興奮しないようにと、私、鈴、愛、ジャンヌの並びで私達の保護者であるサラさんの自宅に、サラさんと宿から帰宅したのだが。


 私達の世界に来なかった鈴は、二人の説明を聞いて、私に同情してくれ、

「正妻のあなたに一方的に離婚を言い渡して、ジャンヌの下に奔るなんて、あなたの態度は当然よ」

 と私を弁護までしてくれた。

 それで、私は、本来なら最大の恋敵の鈴が、私の味方だと思って、すがりつきながら帰った。


(もっとも、後で愛が鈴から言葉巧みに聞き出したところによると。

 鈴は鈴で、彼が陸軍士官になり、自分一人で彼を独占できた世界に行っていたらしい。

 その後ろめたさもあって、私に味方したのだとか)


 サラさん立ち合いの下、私達4人は話し合った末、あの世界の事は夢だった、ということで、全員が割り切ろうという協定を結ぶことにした。

 そうしないと、今後のことで、色々と面倒なことが巻き起こる気が全員したからだ。

 とは言え、異世界で50年以上も色々な経験を積み重ねた結果。


「愛、そんなに踊りとか、三味線とかに堪能だったっけ」

「へへ、あの世界でも修練した成果か、かなり上達しちゃった。新たな流派が開けそう」

「ずるい」


「鈴、天然理心流で免許が貰えるって」

「取りあえず、柔術だけね。後は追々、免許を取っていくつもりよ。あの世界でも修練したから」

「ずるい」


 私は、二人にずるい、ずるいと思わざるを得なかった。

 あの世界では、私は男女平等運動に走り回ったので、政治家、女性運動家としての経験は積めたけど、それ以外の事は、何もできなかったといっていい。

 それにしても、と私は想いを更に巡らせた。


 彼、雄の生まれ変わりにして、今の私の従兄は、人が本当に良すぎる。

 幾ら離婚に私が応じなくて、名義上の妻だからと言って、50年余りも生活費を送ってくれるなんて。

 愛もそれを認めるし、ジャンヌや鈴も同様だった。

「本当に離婚しなくてよかったわね。一人だけ、まともに働かずに済んで」

「うるさい」

 愛に至っては、私を半ばからかった。


 実際、愛やジャンヌの境遇を想えば、私は生活的には、かなり恵まれたといって良いのだろう。

 でも、一人だけ名義上の妻扱いされたのを想うほど、私は納得できなかった。

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