危険回避の能力はどうしたの?
俺が立ち上がらせた女性はまだ少しふらふらしながらも椅子へと向かい、ばたんと音を立てながら座った。
「アシュリーさんはどうしてそんなに驚いていたんですか?」
男性が椅子に座った女性の方を見ながら問いかけた。この女性はアシュリーと言うんだな、と俺は思いながらも俺も気になっていたので話に耳を傾ける。
「この…」
といったところで、困ったように俺の方を見てきた。何だろうか?
「名前…」
「ああ、俺は藤城 皐月です」
「フジシロ サツキさんですか。珍しい名前ですね」
俺は内心そうかな?と思いながらも、そうですねと答える。
「説明に戻りますね。私が驚いていた理由はフジシロさんが私の家のすぐそばで血まみれで倒れていたからです」
「え?」
俺と男性は思わず声を出す。傷もなにもない綺麗な体なのに血まみれで倒れていた、と言われれば当たり前の反応であろう。
「傷などはなかったんですか?」
「傷もありました。それも体全身に」
信じがたい言葉に困惑する俺と男性。だが、アシュリーさんに嘘をつくメリットもないし、嘘をついているように見えない。俺はもう一度体を見てみる。だが、やはり傷はない。そういえば、血はどうなったのだろう?
「俺についていた血はどうしたんですか?」
「洗い流しました。その時に傷がわかったんです」
倒れた人間を洗い流すなんて、結構大変ではないだろうか?まあ、それは今はいいとしてアシュリーさんには感謝だな。
「ありがとうございます」
「いえ、それより、傷は本当にないんですか?」
アシュリーさんから、何度目かの同じ問いかけが来る。本当にない、だがアシュリーさんが嘘をっているわけではない。どうなっているんだ?と考えていると頭になにかが流れてきた。それは
全パラメーター上昇の効果で治癒力も大幅に上昇しているからだ
と言うものだ。どうしてこんなものが流れたのかがわからないが、納得はいく。よし、アシュリーさんたちにはこの理由で納得してもらおう。
「理由がわかったかもしれません」
「本当ですか?」
「多分なんですけど、俺は治癒力を上昇させる能力を持っています。それのおかげで短時間で回復したんだと思います」
「なるほど、それにしてもすごい治癒力ですね」
「どうも」
俺は返事をしながら理由がわかってよかった、と安心する。
というか、危険回避能力で危険は回避できるんじゃないのか?機能してないんじゃないか?俺はそう思うのだった。