【三話】転職計画
今、俺は魔王城の手間のエリアで賢者達のレベルを上げる為の戦い(掃除に近いモブ戦みたいなもの)を行なっている。平均はLv.46。ここまでに至るまでには本来なら時間がかかるものだが、僕にはレベルの差なんて関係無いくらいのチート能力を兼ね揃えている。モンスターなんてイチコロさ。
俺の戦闘はギャル共も当然見ている。流石にどんな奴がリーダーとして君臨しているのか。又、自分達はどれ程の力の差を見せつけられているのかを理解したらしく、酒場の頃の威勢は僕には張らなくなった。無駄に吠えても勝てない事を理解せざるを得ない状況なのだから、当然だ。僕は君らを手伝ってあげている立場なのだよ。小娘共。
「さ、流石っすねー!ケンタロウ様!ウチら本当はマジヤベーくらいつえーって事を最初っから分かってましたよ!ねー二人共ー!」
「そ、そうですよ!私達の目はかなり優秀なものですから、まさか見分けられなかったなんて、そんな事ありませんよ!」
「ほんとーにぃ、凄い力を持っているんですねぇー!あたし感動しましたよぉ」
手のひら返すの早いな。おい。
……まあ、それはそれでいいんだけど。
後、俺の名前はケンタロウって名前に登録したんだわ。読者のみんなには伝えるの忘れてごめん。
「……ふむ。後3レベで転職出来る。あと少しだ。だが、この続きは明日にしよう。今日はもう暮れそうだ。みんな、飯食いに行くぞ。」
「「「はぁーい!」」」
ざっと2時間くらいかかった。僕が異世界に来た時は昼を過ぎていたのも原因だが、これくらい時間がかかったのにはもう一つある。それは、レベルが上がりにくいシステムになっている事。これが原因だ。
高レベルの経験値モンスターを中心に狩っていたにも関わらずここまでレベルが上がらないって事は、レベルが一つ上がるまでに、膨大な経験値が必要になるという事だ。何という面倒いシステムだ。僕はさっさとこのバカ娘共をエリート三娘に転職させたいのに、邪魔しやがって。許さんぞ!!誰がやっているかは知らんがそいつを恨んでやる!!勝手にそうさせてもらうぜ!!
まあ、とにかく今は宿を探す事に専念しよう。金が貯まったから、何処にでも泊まれる。余程酷い店じゃなきゃ見つけた店に泊まると考えている。なあに、そこまで時間はかからん。空を飛べるからな。
衝撃波を上手く利用すれば、こんな使い方も可能なのだ。チート能力マジ便利だわ。
飛んで5分位で宿は見つかった。街の雰囲気が少しギラギラしてて怖いが、宿まで襲って来るキチ◯イなんていないだろうと考えたので、今夜はその宿に泊まろうとした。
……ん?なんだ??
ミーナが、怯えている……?
「ケ、ケンタロウ様。わたs、ウチらここスッゲー良いと思う。思うんだけどさぁー、金かかりそっじゃん?だからさぁーその分の金を他に回して別んとこに回さねー?」
金の心配で震えていたのか?……分からないけど、とりあえず大丈夫だって伝えておこう。
「お金なら十分稼げたから心配要らんよ。4人分の宿代払っても大量に余る。だからそんな心配はしなくても良いぞ。」
「……うん。そうだよね。……分かったよ……」
……え?逆効果?まさかマズイ事でも言ったか?!!
何?何?!何が起きているの??!本当に。
「なぁにー?ミーナぁ。何そんなテンション下がっんのぉー?(笑)」
「……そうよそうよ!こんな楽しそうな事に来てんのにテンション下がってると楽しめなくなるわよー!」
「……」
「おーい。ミーナー?」
「……ん?あ、あぁ!!そうね!!ウチが下がっていたらこの場白けっからなー!すまねぇ!!みんな!!」
「そうそう。それでこそミーナよ!!」
「ギャルっぽくないミーナなんて、ミーナじゃないもぉん(笑)」
笑いが戻ったみたいだ良かった。これでやっと宿に入れそうだな。
この時彼は気づいてなかった。ミーナの表情が、笑顔の中で一瞬曇った事に。