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ガンジー(元爺)サーガ  作者: タマ
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開始

「キャーっ!」

ネリーの叫び声が響き渡る、強くなる誓いの為にミニラに乗せられ上空へ飛ばされたネリー


初めての空は怖い、それが当たり前。ユージンやユーリアやシルエットは変なのだ。ミニラにネリーを乗せて貰って、強そうなモンスターを5匹程狩って貰う。素材は使うから1匹づつ運んでねって言ったから。早く馴れなければネリーは5回叫ぶ事になりそうだ


剥ぎ取りは真実の翼のメンバーに任せ、俺も狩る為にモンスター領域へ。

今日は剣と魔弾の両刀使い。1時間程狩って満足したので、強そうなヤツだけミニラに運んで貰う


四人がかりなので剥ぎ取りも早い、ミニラが狩って来たモンスターは後1匹残すのみ。虎みたいなのと熊みたいなのと、グリフォンの素材が積んで有る。

ネリーは俯いて、どんよりした雰囲気出してます

 

剥ぎ取りが終わったので、俺も馬車でギルドに向かい。ミニラはお食事タイムに突入

「ネリー、今晩。位階が上がる強烈な痛みに襲われるけど。頑張って耐えろよ、確実に強くれなるから」

ネリーのパーティーメンバーにも時間が有れば看病してやって欲しいとお願いする。

素材を鑑定して貰い、換金する。明細には金貨2680枚と書いて有る。


ネリー達に1人金貨200枚づつ渡して驚かれ、ミニラと国境に向かい。出国審査を受け、王都へ向かう


王都に着いた頃には日が暮れていたので。王都から3キロ程の位置へ、ミニラに降ろして貰った


ブラパン邸に戻ると、兎族の爺さんから連絡が届いていたので。馬車で送って貰ったが、爺さんの機嫌が悪い


「大事な時期にどこをほっつき歩いていたんじゃ?」

いきなり渋い顔をされた、気持ちは分かるが


「爺さん達が喜ぶ種を仕込みに行ってたんだよ」

こっちも忙しい


「わしらが喜ぶ?」

首をひねつている


「それより、ローレシアとの国境近辺の族長はこっち派か向こう派のどちらだ?」

連絡手段の有る無しも問題だな


「国境近辺は犬族の領地じゃから、こっち側じやな」

助かるな


「爺さん。ここからは、俺にはどうにもならない問題だから動いて貰うぞ。信託の巫女を引っ張り出せる条件は何だ?」


「簡単じゃ、議会の発言権を持つものが10人集まって審議の要請をすれば。王都に居る発言権保持者は出席を義務づけられて居るでな。欠席の場合は決定に合意した事になるでの、今の国王派は欠席出来んよ。当然ごり押しばかりしとるのは理解しとる故信託の巫女を連れて来なければ、終わりじゃしの」

よほど頭の悪い参謀が仕切ってるのか?ずさん過ぎるだろ


「王都の国王派の数は?」 


「6人程じゃな」


「少ないな」


「議会がそれほど腐っとらんのと。獣人は単細胞じゃが骨は有るでのお」

笑いながら言う爺さん


「明後日の午後一で、審議会を開始出来るよう手配して欲しい。それと国境の部族長が到着したら、教えてくれ」

そう言ってブラパン邸に戻る


明日は、シルエットの親父さん達の救出だな。と考えてたら、痛みに襲われた。ひさしぶりの痛みなのだが、異様に痛い・・・・

両肩を抱えて踞って呻いていると、ドアが叩かれシルエットの呼ぶ声が聞こえた

 

「部屋から、呻き声が聞こえて。何事かと慌ててしまいました」

俺の体を撫で擦りながらシルエットが言うが、答える余裕すらない。記憶の中の一番痛かった時と同じかそれ以上の痛みだ。額の脂汗をシルエットが絞ったタオルで拭いてくれた


実際は3時間程だったのだろうが、辛い時間は長く感じる。痛みが小さくなるに連れて少しづつ楽になり。何時しか眠っていた


一晩中看病してくれたのだろう。いすに座ったままベッドにもたれるように眠るシルエットを、ベッドに寝かせ。服を来て外に出る


裏庭で軽く柔軟をして剣を振る、昨日の痛みが嘘のように体が軽い。体が解れたので、気合いを入れて踏み込み切り下げる。

おかしい・・・位階が上がった時の感覚とは全く違う感じがする。位階の上がった感覚は何度も経験したので覚えているが、昨日より早いとか昨日より確実に鋭いって感じるのだが。今回は違う、遅く感じるが実際には早くなってる。そんな不思議な感覚だ、通常は体が動いて知覚するが。先に知覚して動きが後、みたいに感じてしまう。実際には有り得ないし、動かさなければ。知覚は発生しない


首を傾げながら、気合いを込めた。踏み込み、切り上げ、切り下げを繰返していると、違和感の正体に気付いた。回りの動きが遅いのだ、風に揺れる草木の動き。蹴り飛ばした足下の小石の転がる早さ、全てが遅い。一瞬、自分の何かが壊れたのか?とも思ったが。自分自身が進化したと考える方が自然だ、位階の桁が1段上がったと思う事にする。


無心に踏み込み、切り下げ。下がり、切り上げ。回避しながら突きを出し、励んでいると

「素晴らしい動きですね」

母ちゃんが、微笑みながら見ていた


「居られたのですか、母上。まだまだ未熟です」

上には上が居る

 

「謙虚さは美徳ですが、過ぎれば良い結果は生みません。ガンジーさん、自分の歳を自覚なさい。あなたに欠けている物が有るとすれば、我が儘さですよ」

優しく微笑まれた。そうなんだよなあ・・時々忘れてしまうけど、まだ15才なんだと思い出す。大人の裏事情に頭を突っ込んでばかりだ、その度に年寄りの心が顔を出してしまう


「母上、お願いが有ります。母上の手作りの朝食を所望したいのですが」


「ホホホ、それは凄い我が儘ですね。クーガーにさえ作った事が無いのですが、良いでしょう。その代わり心して食べなさいな」

真顔で言われた。料理未経験者の料理・・・軽口を少し後悔する


母ちゃんの料理・・・・素晴らしい試練でした。

砂糖をふった目玉焼き、間違えてソースを掛けた冷奴を

セロリだらけのスープ、お腹を壊したら正露丸飲んだなあと

サラダに添えられた茸、命を賭けた闇鍋を

色々な思い出と共に頂きましたとも!全部残さず!

疲れました・・・・・


食後に紅茶を頂いて、槍の稽古に没頭していると

「ガンジー様、お身体は問題無いのですか?」

シルエットが起きて来た


「体調は良いけど、位階が上がった反動で。感覚のズレが生まれて、馴れるのに大変なんだよ。その服着たんだね」

早く感覚に馴れないと、違和感が半端ない


「はい、涼しくて、着心地も良いのですが。膚が透けるので、少し恥ずかしいです。似合いますか?」

俺がデザインした服、ノースリーブでスリムタイプの青のワンピースにセットで白のレースの上着を合わせただけの物。この世界の服は少しもこもこして、スッキリ感が足りない。俺は、スッキリ系かシャープ系が好みだ


「ああ、似合ってる。シルエットはボディラインが綺麗だから何を着ても似合いそうだけど」

笑いながら言う


「シルエットさん、素敵な服ね。さっきガンジーさんに、わたくしの手料理を食べさせて上げたのよ」

悪気なく言う母ちゃん


「お母様が、自らお作りになったのですか?」

顔をひきつらせながら聞くシルエット


「そうよ、何か問題でも有るのかしら?」

不思議そうな母ちゃん


「所要を思い出しましたので、失礼します」

いたたまれず、逃げ出した


部屋で転がってるとシルエットが来た

「ガンジー様、母上の料理を食べたのですか?」


「ああ、軽い冗談で言ったのだけど。作って下さったので食べたよ、ダメだったか?」


「ダメとは言いませんが、母上は生まれてから今まで。剣以外の刃物は持った事が有りません。大丈夫でしたか」


「目玉焼きに砂糖を振り掛けてあったり、サラダに生の茸が入っていた程度だから。問題ないよ」 

生の茸はヤバいのだが・・・


まだ何か言いたそうなシルエットをベッドに引っ張り込んだ

「今日は夜中が忙しい、お前は寝不足だから寝ろ」

と言うと、折角の服がシワになってしまいます。と言って服を脱ぎベッドに入るシルエット。素敵な手触りだが何もせず、抱き枕にして眠る


「お目覚めですか」

ニッコリ微笑んで、シルエットが言う


「お前も、ちゃんと眠ったのか?」

俺も不馴れな感覚に疲れていたのか、熟睡していた


「はい、4時間程寝たと思います、もう夕方ですから。ガンジー様の寝顔は可愛いですね」


「悪かったな、起きてる時の俺は。憎たらしい奴で」


憎まれ口を叩きながら服を着る。顔を洗って口をすすいでさっぱりすると、タオルを渡されたのでシルエットかと振り返ると・・・母ちゃんだった・・・・・


「獣人は、人間と違って。春と秋は極端に妊娠しやすくなりますが、それ以外の時期は殆ど妊娠しません。孫の顔を楽しみにしてますよ、ガンジーさん」

ニッコリ笑う母ちゃんに、言い知れぬ威圧感を感じて背中を汗が流れ落ちる


今日は何もしてません、では言い方が怪しすぎる。何も言わずに頭を下げた


夕食は幸いな事に、ミラージュの手作りでは無くホッとする


「明日の夕食は、今日迄とは全く違う気持ちで食べられるように今から行動を開始します。明日の午後迄は戻りませんので、母上、ご心配は不要です」

楽しい食事は大切です


シルエットに数枚の必要になる文章を書いたメモを作って貰い。用意したロープを持って、ミニラと合流するために屋敷を出たのは真夜中に近い11時頃だった

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