疲れた..
人魚達を鍛え始めて3ヶ月が過ぎた。
魔力異動の効率も上がり活性化も馴染んで来たのか。かなりのスピードが出ている。
今日は海に出て実戦に入って貰う。ミニラは上空で待機して最悪時に備えるよう頼んだ。
ちゃんと、水流魔法で防御しながら少しずつ相手の急所の方に廻り込む作戦も練習させて有る。
「一言だけ伝えて置く。手が無くなろうが、足鰭が無くなろうが、決して諦めるな!両手が無くなっても必ず生きて帰って来い!」
心からの想いを伝えて送り出す
「「「「「はい!」」」」」
最初の5人が泳ぎ出て行く。
「ミニラ、頼んだよ」
「ゴルル!」
ミニラが飛んで行く
沖からミニラが海面を引き摺るようにモンスターを引っ張って来た。サメンだ6メートルくらい有る。
その後を5人の人魚が笑いながら泳いで来る。全員無傷のように見える。
「ガンジー様、サメンを倒せました。全員無事です」
「お帰り、合格はやれないな!最後迄気を抜くな!笑うなら岸に上がってからだ」
「「「「「はい!」」」」」
「次の組、出発」
「「「「「はい!」」」」」
人魚達が泳ぎ出て行く
「ミニラ、頼んだよ」
「ゴルル!」
さあ2組目だ。今日はこれで終われる、無事に帰ってくれよ。
2組目も無事に帰って来る。
この組も6メートル近いサメンを狩って来た。ちゃんと最後迄真面目な顔してる。
俺は心の中で少し笑った。
今日はサメンのステーキ。ミニラの好物になったかも知れない。人魚達も普段より嬉そうな顔してる。
サメンの魔石は既にミニラのお腹の中に入ってます。
俺の名前を呼ぶ時、「様」付けされる
呼び捨てするように頼んだのだが聞き入れて貰えなかった。半分以上自業自得だから仕方無いのだが..
マールーとサールーと言う人魚の治療をした為に。又
「神様ですか?」
と言われ。慌てて否定したら。
「御主人様」
と呼ばれ。その呼び方は嫌だ!って思わず声を荒げてしまってた。
最終的に、俺が折れて「様」付けで落ち着いたのだが。前世の記憶の有る俺にすれば、接客されてる気分になるのも仕方が無い事だろう。
マールーは膝の上辺りから足鰭の方迄、歪に曲がっており魔力で同調して探索したら内部で骨が4ヵ所程。歪んで繋がってた、骨折した時に放置でもしたのだろうか?
「マールー、1時間程後で俺の所に来てくれ」
「え?あ、はい!」
何故か頬を染め嬉そうな顔をするマールー。
ルールーは俺を見詰めてるし、他の人魚達も。
1時間後、砂浜計画作業中の俺の所へマールーが来た。
「そこに、横になって」
「はい」
何故かマールーは俯きになって寝る。
「そうじゃ無くて、上向き」
横になってるマールーの膝の辺りに手を触れると、ビクッとした。緊張してるみたいだ。魔力を同調させて情報を解析、骨の屈折した部分の歪みと歪に癒着した部分の修整されたイメージを送り続けると。徐々に再構成されて行く。少し全体的に細くなった気はするが問題無いはず。
出来るか?少し不安が有ったが何とか出来た。
「終わったよ」
「え?もう....」
何が終わったのか解らない顔してる。
そのまま、お姫様抱っこして水辺に運んで降ろす。治療終えたばかりで不安だった為のお姫様抱っこ。別に他意は無い
「少し泳いで見て」
と伝えた。
マールーは岸に沿って泳ぎながら
「あ、あれ?痛くない..足が軽い..」
「皆には、最初から足に異常は無かったよ!で通してね!約束出来る?出来ないなら戻すけど」
悪魔のような言葉だなあ..
「は、はい!約束します」
人魚達の所へ戻る。
「サールー、来て」
見詰める人魚達を無視して歩き出す。
「ミニラ」
呼ぶと直ぐに来た。
「アルマージ倒して、死体で持ってこれる?」
「ゴルル!」
「お願い」
任せて!ってみたいな返事と顔で飛んで行く。
「そこに座って、手を見せて」
サールーは片手が手首から無かった。
魔力同調で情報を解析して、無事な方の手の構成を記憶する。
ミニラが帰って来て、アルマージを横に置いてくれた。
「ミニラ、ありがとう」
「ゴルル!」
「少し痛いかもだけど、我慢してね」
手首から先が無い傷口は、歪に肉が巻き込まれたように盛り上がって固まってる。このままだと再構成出来ない、少し分解して循環してる部分からら組織を増殖して行かないと駄目だと思うので。癒えた傷口を分解して削る..
作業してる俺の方が痛そうな顔してる。サールーは案外平気な顔してるけど、体には緊張で力がかなり入ってる。
モンスターとの融合実験、人造キメラ!とかの番組が出来そうなシーンだしね。TVは存在しませんが..
意識を集中して、血管、筋、リンパ、神経、などの増殖や配置や合成をイメージして。手首から指先迄、再構築していく。
両手を見詰めて茫然としてるサールー
「神様ですか?」
又、この展開か..と思いながらも慌てて否定する
「無くした物は戻りません。何故?」
「そうだね、無くした物は戻らない!だから、最初から無くしてなどいない!少しの時間見えなかっただけ!皆には見えなかっただけだと言える?約束出来る?」
両手を見詰め続けるサールーに言う
「はい!約束します」
ガンジーの口止めの日々は続くのであった..マル
マールーは足鰭が上手く動かせず泳ぎに障害が、サールーは片手が手首から無く魔法に支障が。
二人共、死活問題でした。
仕方無いのです。
身近な人に死なれると、きっと落ち込みます。まだ..
だから不可抗力なのです。
次からは見捨てます!多分....




