浮いた?
「ギュルウ、ギュルルル」
ミニラが頭を擦り付けてくる
撫でろ!の催促なのだが
表皮が硬く硬質化してるので
かなり痛い....
「そろそろモンスター狩りに挑んでみる?」
撫でながら聞くと
「ギュルウ!」
やる気っぽい..
小屋での生活も半年が過ぎて、季節は秋に。ミニラも身長が2メートル半を余裕で超えた。
腕の力も強くなって猪くらいなら一撃で倒せるようになってる。
やっぱり丸いのと、翼の成長が無いのは変わらないけど。鳴き声はどんどん太くなってる。
一応モンスターの知識も爺ちゃんから仕入れて有る。クライムの町の近くで遭遇したのがローウルフ、狼系はダイヤウルフと二種類。亜種も居る可能性が有るとの事。出現確立が高いのはアルマージ。頭に角と体の背中側が針で被われてるらしい。次がミンバット翼を広げると1メートル以上有る蝙蝠みたいなモンスターで咬まれると眠くなるから注意!だそうだ。ダイヤウルフ並みに強いのがドラング2メートルくらい有る猿で腕力が凄いとか。ビッグボアって蛇のモンスターにも気を付けろって言われた。5メートルくらいの長さのものも居て強力な締め付けと噛み付き、その上生命力が強く中々死なないらしい。他にも色々居るらしいけど小屋の近くの境界線付近だとこの程度。カエルを見たら避けろとも言われたなぁ..毒が面倒何だって。
ガサガサ下生えを踏み締めながら森を進む
後ろから前傾姿勢のミニラが追いてくる
昔はトコトコだったのになあ何て思ってしまう
進んでいると、空気が変わった
ずっと避けて来た境界線を超えたけど
後ろにミニラが居るのが、少し心強い
「ガサッ」
直径1メートルくらいの丸い物が転がって来る。避けたら後ろのミニラが素早い動きで横殴りした。
「グワッ」
悲鳴っぽい鳴き声がして横に吹き飛んだ丸い物。木に当たって止まったので見に行くと背中に針が一杯有る。
アルマージかな、ミニラの手を調べるけど爪に少しモンスターの肉が付いてるけど。ミニラには異常ない。
「やったな」
って言うと
「ギャル」
って答えたと思ったらドスドスと獲物の所迄歩いてバリバリ咬じり始めた。角も針もお構い無し..
「ジャリジャリ」
小石を咬むような音がする、角の部分でも噛み砕いてるのかと思った。
「バサッ」
ミニラの上の方から音がしたので視線を向ける。デカイ爬虫類の頭が視界に入った。条件反射で砲弾擬きが構築されて炎と共に打ち出してた。
「ボスッ」
爬虫類の頭が跳ねる。ドサッっと地面に5メートル程の長い塊が落ちた。頭には砲弾擬きの破片が有るから切り飛ばすとミニラがドスドス近付いて何の躊躇も無く食べ始める。
「ジャリジャリ」
又小石を咬むような音
違和感を覚える....
「バサッ」
又上の方から音がした
木の上に爬虫類の頭が有った
「ボスッ」
かなり早く放てるようになった魔弾
常に修練を続けた成果を感じる
ドサッっと地面に落ちたので違和感を晴らす為にビッグボアの胴体を開いて行くとカツンと石に当たる感触がナイフに伝わる。更に切り広げると3センチ程の赤い石が出て来た。
前世で良く読んだファンタジー小説の全てに登場した魔石がこの世界にも有った!
何故か少し感動する。
魔石を取り出して水で洗い空に向けて透かして見る。透明感は有るけど結構赤が濃く透けては見えない。
「ギャル」
ミニラが近付きながら満腹のお知らせ。
横に来たので撫でると頭を下げて来た。頭も撫でろ!って催促ですね..はいはい
初めての境界線越えでのバトルと違って落ち着いてる自分が居る。相棒が居ると心強いだけじゃなくて余裕が持てるから安定感も上がるって事かぁ。小説の中のパーティーとソロの違いの本当の意味が理解出来た気がする。
「バサバサバサ」
上空から羽音が聞こえた。デカイ蝙蝠が3匹飛んで来る。シルフと頭で思って風魔法を放つ。地面に落ちた蝙蝠をミニラが踏み潰してる。踏むのは任せて魔石を探して見る。
蝙蝠の魔石は2センチ程の紫色、3個全て回収して水洗い
その後アルマージを5匹仕止めて魔石を回収して小屋への帰途に着く。
死体はモンスター達に任せる事に。
日暮れ前の剣の素振りと魔弾構築の修練をミニラが見学してます。
「ミニラ」
呼ぶとドスドスやって来て頭を下げるので撫でてやりながらポケットから魔石を取り出して与えて見ると。
「ジャリジャリ」
やっぱり食べました。9個をアッサリと
撫で続けてるといきなり
「ギャルン!」
普段と違う鳴き方が
撫でてる手が微妙に持ち上げられる感じが。体を動かした様子も無いのに手が上に?
良く見るとミニラの足が地面と少し離れて浮いてます..丸いのが浮く、確実に重力の法則無視してます。
背中の翼も少し大きくなってるし。
このまま飛ぶのかな?
飛ばずに通常状態戻り何も起こらず
日が暮れました。




