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ガンジー(元爺)サーガ  作者: タマ
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雛達4

今日はクライム全体が休みの日、俺が子供達をゆっくり抱かせて貰える日なのに・・俺は女の子達を洗っている。何故こうなった・・それは俺が女の子達の心の傷の深さを舐めていたから


そう・・自分のせいなのだ


結局女の子達は全員が穢れを落として欲しいと口にした。俺に洗われながら肩が震えている子達ばかりなのに・・


女の子達を洗い上げ、震える肩に触れながら体に魔力を流して悪い部分は無いか、変なウイルスや雑菌は居ないか精査して。回復魔法を最後に掛けると


何故か

「ほうっ」

と溜め息のような息を漏らして、全員が震えを止めた


震えが止まった女の子達に

「俺は神などでは無いが、お前の兄だと思って欲しい。お前に困った事が有れば相談してくれないか、必ず力になると約束するから」

心から思っている事を告げた


この傷付いた少女達を俺が鍛えているのには訳が有る。なんとか心の傷を癒してやりたかったことと、他の者達よりも更に鍛え上げて強くしてから過去に向かい合わせることと、他の孤児達の上に立つ位置に付け守る者達を作り前に進ませる力にしたかった。


過去に向かい合わせるのは、少女達には残酷な事かも知れないと悩んだが。ここは前世の平和な世界ではない・・弱者は生き残れない。だから過去に向かい合わせる、自分達と同じ目に合う孤児の少女達を守る為だと言う理由を与えて


心に傷を持ち男に嫌悪感を抱くこの少女達を、生涯支えるのが俺の役目だと思う事にしたのだ


少女達を洗い終わった頃には日がくれていた・・子供達を抱いてやる事が出来なかった事が俺への罰だ・・


少女達が寮に戻り、少女達の髪を乾かしていたカルカルと2人になったので

「カルカル、お前に罰を言い渡す。これから1年間、戦闘に加わる事を禁じ。カジャが海岸に居る時の世話を命じる、昼間は楽器と歌の練習に励み、俺を楽しませる事が出来るように努力しろ」

このまま放置すればカルカルが死んでしまうような気がしたのだ


そのままカジャの所に行き

「爺さん、これから海岸で呑む時は美人の世話係りを付けてやるよ」

そう言うと


「俺に女は不要だぞ」

カジャらしい答えが返ってくる


「別に抱けとは言ってない。男には興味が無い人魚を世話係りにしたから安心して呑めば良いけど、どうせ呑むなら美人の酌と旨い肴があった方が良いだろ。爺さんは給料も受け取らないから、せめてこれくらいはなあ」


「俺たちドワーフに必要な物は、旨い酒と。最高の素材を仕入れる為の金だけだ。旨い酒と最高の素材に囲まれているのにどうして金が要るんだ?ギルドに預けてある金にも全く手を付けてないしな。要らぬ気を回すな」


「今から少し付き合えよ」


カルカルを紹介がてらにカジャと夜中迄呑んだ。子供達を抱かせて貰えなかった事が残念でならないガンジーである



翌日から訓練する少女達の態度も雰囲気も全く別のものに変わっていて驚いたが


「ガンジー様、兄さんじゃ無くて父さんと思ったらいけませんか?」

一人の女の子が聞いて来たので


「別に構わないけど、いったいどうしたんだ?」

家族で有れば別に呼び方や認識などどうでも良い、中身を考えたら爺さんでも許容範囲だし


「昨日、体を洗って貰ったじゃないですか。その時に私の裸を見たガンジー様の呼吸や鼻息が全く変わらなかったのを見て。小さい頃にお父さんに体を拭いて貰ってたのを思い出したんです。男の人を見ると鼻息を荒くして目をギラギラさせてる姿が浮かんで怖くて仕方が無かったのに・・変ですよね」


「わたしも」

「私も」

「私もだよ」

次々に声がつづいた


「俺はお前達を家族だと思っているからかな、それに子供の裸になにか感じるハズも無いだろ」


「えぇ~、それって酷く無いですか」


「それじゃあお前達は、シルエットやシンホニーよりも自分の方が魅力的だとでも思っているのか?」


「それは無いです!あんな化け物級の美女と比較されてもねえ」


「そう伝えて置くよ」


笑いながらそう言うと、習練場に悲鳴がこだました

その日からクライムでは俺の事をパパと呼ぶものが増え続け、愛人達に呆れた眼差しを向けられるのは、又別のお話


愛人達や孤児達の生活を担う居酒屋のメインメニューの酒を、どの行程で仕上げるのが一番良いかをカジャと話していて。毎回出る結構な量の煮詰まった後の麦酒の利用方法をどうするかと言う話になった。蒸留拭だから当然アルコールも抜けて雑味ばかりの代物だ、詳しい知識も無い素人蒸留だから。訳も解らず今までは捨てていたが、俺の前世の記憶に有る1つの項目を思い出して。


突然、発想が一気に広がった。

「食用専用の牛を飼おう!」


「おいおい、いったいどうしたんだ急に?」


「牛に麦酒の残りカスを水で薄めて飲ますと、肉が柔らかくなり旨味も増すのを思い出したんだよ」

サシが入るなどと言ってもこの世界では意味が通じない


「本当なのか?そんな話は聞いたことも無いぞ」


「どうせ捨ててるんだし、成功すれば丸儲けだろ♪後は場所と飼育要員だけど・・あ!騎士達を人魚を餌に使って働かせて。人魚達には騎士を餌にすれば一挙両得で問題も解決するじゃないか!やったね」

目を白黒させて俺を見るカジャ、途中から自分の世界に入って独り言状態なのだから仕方がない・・


「お前の言う事は、さっぱり意味が分からんぞ」


「悪いな爺さん、困ってた問題が一気に片付きそうなんだよ。話は又今度な」


そう言ってその場を去るガンジーの足取りは軽い


思い立ったが吉日とばかり、旧ギャルソン領。今はモンデール侯爵の飛び地領に向かう


「サリユースお爺様、ライアンお爺様。お願いがあり参上したのですが、お聞き届け願えますか」

サリユース爺ちゃんとライアン爺ちゃんは、殆ど一緒に居る。屋敷も隣り合わせと言える程の近さだ。いっその事2世帯住宅にでもすれば経費も半分なのに・・と思ってしまうのは、やはり俺が庶民感覚のせいなのだろう


「ガンジーの頼みを断るつもりは無いが、一応聞かせてくれるかね」

「そうじゃな」


「お願いと言うのは、飛竜騎士団の中から兵士、騎士を問わず条件にみ合った者を毎月50名私がお借りしたいと思っております」


「なんだ、そんな事かね。あれはガンジーに任せたも同じ騎士団だから。100でも200でも好きに使うと良いよ」

「ワシも構わんよ、好きなように使いなさい」


「失礼を承知で伺いますが、お爺様方が亡くなられた後の騎士団がどうなるか。お分かりでしょうか?」


「ユークリフ陛下が退位されて、ユージン殿下が国王になられたのは知っているよね。ユージン新国王の方針がガンジーには一切の干渉をしないと言う事らしいから、ユリウスもガンジーの不興は買いたくないだろうと思うよ。それにユリウスは何よりテレサを怖がっているからね」

サリユース爺ちゃんが笑いながら言う、叔父さんはユリウスと言うみたいだな。初めて知ったよ・・


「サリユースに新しい、ひ孫が産まれるそうじゃな。なんなら祝も兼ねて騎士団の事を遺言状にしたためてやっても良いぞ。まあクリフトもマーニャに頭が上がらんし心配は要らんがな」

こちらも新事実が・・母さん達の無敵伝説が出来そうだ


ユージンの国王就任の事実は初めて聞いたが、サリユース爺ちゃんとライアン爺ちゃんが、王都から越して来た時点で想像はしていたので。驚きはしないが、うちの家族のアバウトさには呆れる。俺が報連相を怠ると叱られるのに・・・・

その上、どうして教えなかったかと聞けば

「ガンジーならその程度の事は当然知っていたわよね」

とテレサ母さん辺りが言いそうだ・・


「来年の6月にはユーリアに子供が産まれますから。ライアンお爺様もひ孫を抱きにいらして下さい。それでは騎士達の事はよしなに」

方眉を跳ね上げるライアン爺ちゃんと、笑いを噛み殺すサリユース爺ちゃんを残して立ち去るが


「サリユース、お前が漏らしたのか!」

「私では無いぞ!」

「ならば、ジョンの奴か」

大きな声が扉の外まで聞こえた





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