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ガンジー(元爺)サーガ  作者: タマ
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何にしようか?2

クライムの校舎の前では保母さん達と、シルエット+黒豹シスターズの24人が演奏を始めました。孤児達は何が始まるのか分からないけど楽しい事が始まると感じているのか、目を輝かせて見ています


俺は獣耳カチューシャを付けた、12楽坊を想像してしまい一人で笑ってます・・24楽坊の上に楽器も胡弓とかでは有りませんが・・


演奏する曲は

「結んで開いて」

保育園の園児達が可愛く歌う歌で


この世界の歌では当然有りませんし、幼年組が歌えるような曲も歌も無いので。俺が歌いシルエットに音を拾って貰ったのですが、孤児達に歌わせるには先ず保母さん達が歌わないといけないので歌詞を書いてシルエットに歌って貰ったら・・


綺麗なソプラノで、オペラ調に歌われたので笑いを堪えるのが大変でした・・違いをどう伝えようかと考えた末に、俺も無理矢理出したテノールで歌い。この歌い方では無く、と言ってから普通に歌うと理解してくれたのかシルエットも普通に軽く歌ってくれました


話す声と歌う声が違うのは知ってましたが、予想外の声が出たときは驚きますよね


珍しそうに見ている子供達も直ぐに歌えるようになるのかな


ユーリアも演奏に参加したそうだったのですが、テレサ母さんとマーニャ母さんに連れ去られて仕舞いました・・


校舎の前の音楽が毎日海岸にも聞こえて来るのですが、何の音なのか分からない人魚達も美しい音色には興味が有るのか。時々聞き入ってますから今度演奏会を開きましょうかね


人魚達に教える歌を何にしようかと毎日考えていますが、いざどの歌にするかと言うと中々思い浮かばないものです。散々悩んだ挙げ句に「海」と「七つの子」の二曲にしました、覚えるのも簡単ですし。何よりこの世界に有る物が使われてる歌ですしね


シルエットに音を拾って貰って譜面に直して貰い、俺が歌詞を書いて譜面と歌詞を保母さん達が書き写します。シルエットもなれたのか、普通の歌い方で歌う音楽なのだと結論付けたのか不明ですがオペラ調は全く出ません。保母さんさん達+黒豹シスターズはシルエットがお手本ですから指導の必要も無いのです


孤児達の休みの日に、海岸に人魚達の小隊長以上を集めて演奏会をする事にしました。人魚達に歌を教える事になれば、全ての人魚達に教えるのは小隊長以上の人魚達に任せる事になるのですから、これを人は丸投げと呼びます


孤児達の学業は、前世の小学校と同じような時間割りにしてあり。幼い幼年組と8才迄の年少組は午前中のみで、9才からは午後に2時間の授業が有ります。5日間の通常授業と1日の午前中のみ、そして1日の休みが1つのサイクルです


ホワイトカラーを目指す俺としては、公休出勤が少々心苦しいのですが、海岸での演奏会は趣味と言う事で勘弁して貰いましょう


テレサ母さん達から解放されたユーリアが加わると言うので、俺とシルエットとユーリアの三人で歌う事にして、歌の前に行う曲だけの演奏に何を演奏するかをユーリアとシルエットで決めているのですが、二人が口にする曲名など俺に分かる筈もなくただ見ているだけでした。俺には楽器の演奏も全く出来ませんし・・前世でも少しピアノをかじった程度でしたから


演奏会当日、クライムの砂浜に集めた小隊長以上の人魚達の数は100人を軽く超えました。当然ルールー達も参加してます


別の場所に孤児達とテレサ母さん達が観客として見てるのですが、母さん達がユーリアと何をしていたのかは教えて貰ってません・・


演奏会が始まり、俺の知らない曲が流れ始めたのですが。とても保母さんの片手間でやってるとは思えない程見事な手並みで音律が奏でられ。お嬢様達のたしなみ程度ですと言った時の顔が自信に満ちていたのを思い出して幼い頃から練習したんだろうなと納得しました


演奏が終わって歌の部に入り、三人で歌います。俺も前世ではクラブのステージで歌ってた事もあり、自信が有りますから緊張などしませんしシルエットもユーリアも一緒に歌ってくれてます


歌い終わって拍手してるのはテレサ母さんとマーニャ母さんだけ、孤児達も人魚達も拍手の意味さえ知らないでしょう


俺は軽い気持ちで

「うみーわひろいなおおきいな~♪真似して見ろ、はい」

ってやったのですが、全員きょとんとした顔をしてるだけ・・


仕方無いので初期メンの8人を前に出して

「うみーわひろいなおおきいな~♪これを真似して、はい」

もう一度やると、みんな口の中でブツブツいうか文章を読むみたいに言うだけで、唯一メイリンが何とか音に合わせようとしてる風なのですが。音階が酷いことに・・


なまじ超美形で綺麗な声の為に異様な物を見てる気分になりました


これは1度相談が必要だと感じて解散にします


「どうしたら良いと思う?」

シルエットとユーリアに相談します


「音楽に全く触れた事が無いのですから、先ずは人魚達に話を聞くべきだと思いますね」

シルエット先生のご意見です


「音楽に興味を持てるかどうかが先立つ問題だと思いますわ、シルエット様の仰る通り人魚さん達に話を聞いて見ては如何ですか」

ユーリア先生がこう申しておられます


「ちょっと聞いて来るよ」

あっさり受け入れました


群島に行き

「ルールー、今日の演奏を聞いてどう思った?」

とにかく情報を集めて


「あれは演奏と言うものなのですか、初めて聞いたけど綺麗な音ですね。ガンジー様も楽しそうでしたし」

やっぱりそうなるよな・・音楽自体知らないんだもんな。俺が楽しそうって・・ 


「お前達もやってみたいと思わないか?」

聞き方も切り出し方も分かりません

 

「やってみたいかと言われても困りますね、何の為にするのですか?」

リンリンに質問返しされて


「音楽は楽しむ為の物だけど、楽しく無かったか?」

普通に答えて


「初めて聞いて楽しいかと聞かれても答えられません、嫌な音では無いですけど」

メイリンにもただの音らしいです、音楽はもっと簡単に浸透すると思ってたのに以外と大変かも・・


とりあえずリンリンとメイリンにクライムの海岸に詰めるように伝えてシルエットと家に戻ります


「聞いて来たけど、手掛かりさえ貰えなかったよ。とにかく音楽に馴染ませるのが先だと思うんだけど、曲を聞かせるのと楽器を弾かせるのとどちらが有効だと思う?」 

そう聞くと、二人共が曲を聞かせるべきだと言うので。シルエットに頼んで保母さん達数人づつのグループに分けて貰い、楽しそうな曲を選んで演奏して貰う事になりました

 

海岸で小さな演奏会が毎日開かれるようになりました


1月も終わりに近付き、ジョン爺ちゃん達が戻って来ました


「ガンジーよ、陛下は成人の祝賀の儀が終わったら退位されるそうじゃ、それで良いか?」

ジョン爺ちゃんが聞いて来るが

 

「良く無いです、チェインさん達はまだ屋台をやっておられるのでしょう?」 

そう聞くと、ジョン爺ちゃんの片眉が一瞬揺れた


「何故そう思うのじゃ?」

そう聞かれたが


「ジョンお爺様もウエインお爺様も、17才の若造に振り回されて情けなくは無いのですか?もっともお爺様達は賭けを楽しんでおられるのかも知れませんが」

全然別の話をする


「何を言っておるのじゃ?」

不思議そうに聞くジョン爺ちゃん


「黒幕はユージン殿下なのでしょう?賭けの内容は私が王都に向かえば、お爺様達が命に代えても私をクライムから出さないとかでは無いですか?私が王都に行かなければ陛下が退位する。って所でしょうね」

モスタウンへ届けた海の宝木の件を思い出して、その時に気付いたのです。俺に依頼した時のユージンの態度を、ドワーフやエルフへの交渉手段だと知ってるユージンが国王の見栄だと言った時の表情を。そうすれば、爺ちゃん達の態度も王都の動きも全てに辻褄が合います。国王も孫バカだったと言う事実と共に

 

「女神様に聞いたのか?」

溜め息を付きながらジョン爺ちゃんが聞きます


「いいえ伺ってはおりません、お爺様達の帰りが遅過ぎる事や陛下の退位の時期。そこにユージン殿下の動きを考えれば予想が付きます、ユージン殿下はどうしても私をクライムに閉じ込めて置きたいのでしょうね。理由は簡単です、私が身動き出来ないと思えばパトロンドを攻められます。今のパトロンドなら私に気を使って手控えるでしょうから、切り取り放題ですし」

少し腹が立ってきた・・ 


「そこまで分かっていて、何故何もしないのだ?神聖騎士団を動かせば良かろう」

ウエイン爺ちゃんが聞いて来る


「神聖騎士団を動かしても陛下の退位時期が早まるだけで結果は同じです、私が本気で動けばユージン殿下の首が落ちます。それでは陛下が悲しむのでは?陛下の悲しむ顔はジョンお爺様もウエインお爺様も見たくないのでは有りませんか。私が手控えるのも限度が有りますから、何とかなさる方が宜しいかと思うのですが。それに私もユーリアもお爺様方に会えなくなるのは淋しいですので」

暗にユージンの首を取って国を捨てると言いました 


「短気を起こさず暫し待つのじゃぞ」

そう言ってジョン爺ちゃんが部屋から出て行きます


「案外骨が有るのお、フオフオフオ」 

笑いながらウエイン爺ちゃんが部屋から出て行きました


爺ちゃん達の対応の違いは、俺の本気を知るジョン爺ちゃんと。弱腰しか知らないウエイン爺ちゃんの違いでしょうね・・


自分なりに考えて出した推論ですが、あくまでも推察の域を出ませんが、全ての辻褄が合う答えが出た以上は確かめずにはいられませんでした。答えが合っていたらいたで又面倒な問題も出てきます


「ユーリア、俺がユージンと戦う事になったらどうする」 

そう聞くと


「嫁いだ女は例え相手が実家で有ろうと夫と共に戦うものですわ、わたくしがその程度の教育を受けていないと言われますの?」

何を今更みたいに言われたので


「ユーリアとは婚約はしたが、まだ妻では無いだろう?」

と大人げない返事を返すと


「ガンジー様が何と思われようと、既に私の心は妻としての心構えが出来ておりますの。それにクライムのお義母様達からも妻の心構えを・・・・・」

ユーリアの口から出た妻の心構えの言葉に、ギヨッとして。ユーリアが途中で、あっ!と言う顔の後に真っ赤になったのを見て頭を抱えた・・

 

その時にブラパンの秘伝が頭に浮かんだのは仕方が無い事です。慌ててクライムの屋敷に行き

「テレサ母上、マーニャ母上。ユーリアに何を教えているのですか」

かなり厳しく言ったのですが


「ガンジー良く聞きなさい、今教えて置かなければ王都に帰ったユーリアさんには誰が教えると言うのですか。心構えも無くユーリアさんに嫁げとあなたは言うのですか?」

テレサ母さんに言われて気付く、ユーリアにはウエイン爺ちゃんしか身内が居ないし。ウエイン爺ちゃんに教えられる筈も無い

 

「ガンジーこそユーリアさんの決心を侮ってはいないのですか、体の契りは無くともあの娘の心は既にあなたの妻なのですよ」

マーニャ母さんに言われて、未だにユーリアを子供扱いしていた自分を思い知らされた。この世界にも誓約を軽視する者は居るが重視する者達も多いのだ・・


挑んだ相手が強大過ぎました・・母さん達はそよ風が吹いた程も揺らがず、挑んだ筈の俺の方が考えが足りませんでしたと頭を下げて撤退します。やっぱり母さん達は強いです・・



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