表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガンジー(元爺)サーガ  作者: タマ
118/206

祭の後

翌朝、遺品を積む必要も有るので。船で出る事にして、退屈そうにしていた女性冒険者と訳有り班の36人と俺とシルエットで海に出る。今回の任務に出る人魚達はロンロンとヤールーが率いる黒組主体の混成部隊総勢4千名。勿論エンジンはミニラターボ


浜でブーたれるリンリンを置き去りにしての出撃だ。リンリンはまだ調整中なので諦めて貰おう


相変わらず、楽しそうに船を引くミニラに

「強そうな気配は無い?ミニラ」

と聞くが


「そんなに強くは無いけど、大きいのは居るよ。パパ」

そんなミニラの返事に


「人魚達で大丈夫なのか?」

そう聞き返したら


「たまに人魚達が狩ってるから、大丈夫だよ。パパ」

そう言われたので、人魚達に任せる事にして


「先ず危険なモンスターの排除をして貰いたい」

そう人魚達に伝えると、人魚達は海中に消えて行く


暫くして

「大蛸の対処は先日の規定通りなら、狩っても宜しいですよね?」

ヤールーが聞いて来たので


「ああ、構わない。ただ注意は怠るなと伝えて」

そう言うと、頷いてからヤールーは消えて行く


少しいつもと違う雰囲気のヤールーに???と思いながら海面を見ていると、次々に人魚達があちこちから袋を持って上がって来ては船縁のロープに結びつけて。それを冒険者達が船に引っ張り揚げる。魔石の回収にしては早過ぎるなと思いながら袋の中を見ると、30センチ余り有る大きな魔石が入っていた


集められた袋の中を次々に改めて、大きなタメ息をつく。大蛸の魔石ばかりが入った袋・・

ヤールーの雰囲気の違和感の原因だろうな、他の者達の願いを叶えたい、叶える事で、指揮官としてのジレンマを緩和したかったのだろうと思う。人魚達に階級の意識は無い、集団戦も俺が教えて実行させてる物だし。その為に司令塔は必要だと言うのを理解しているに過ぎないのだから・・


自分が大蛸に挑戦したと言う事で、平等で有れば満足と言う人魚達の理念からすれば。他の者達にも、大蛸に挑戦出来る場を与えたいと考えるのは当然なのだろう。俺の過保護と言うか、死なれたく無いからと言う我が儘な理由で縛った結果に生まれたジレンマは俺の責任だと反省しましたが、やっぱり死なれたくは無いです・・・


結局大蛸は16匹仕止められたのか、魔石の数が16だった


俺は大蛸に止めを刺した160人の人魚達を、海岸へ先に帰らせ。船の捜索と遺品の回収を続けて行ったが、遺品らしい物は殆ど見付からず。金貨1千枚程入った金箱が回収出来ただけでした


人魚達はドワーフの船も見付けて、大量の剣と槍も引き揚げたが。海の宝木と呼ばれる、30センチ程の紅珊瑚も1つ引き揚げてきています


ブラパン領の港に着いて、アラミスに遺品は殆ど回収出来なかったと告げると。残念そうな顔をしたアラミスが、金箱は見付けて持ち帰ったと告げた時に嬉しそうな顔をしやがったので、一発ぶん殴ると


「何をする!これが有れば兵の遺族達に、規定の慰霊金より金貨10枚は余分に渡してやれるんだぞ。喜んで何が悪い!」

立ち上がりながらそう言うと、一発殴り返された


「済まん」

どう考えても、先に殴った俺が悪いので避けないで受けましたが。地面に尻餅を着いたまま謝ったら


「お前みたいな奴でも、謝るんだな?」

自分の拳を見ながら、やっちまったって顔をしていたアラミスが、俺の謝罪を聞いて不思議そうな顔をした

 

「俺をどんな人間だと思ってるんだ?非を認めれば、謝罪くらいするぞ」

それくらいの常識は持ち合わせてる


「ガンジーくらい、力と地位を持った奴なら。普通は謝ったりしないもんだ、誰も文句を言えないからな」

アラミスの言葉には、様々な感情が込められ過ぎていて。俺に理解出来たのは、一部分だけなのかも知れません


アラミスの話を終えて、俺はドワーフの船から引き揚げた品物をどうするか考えて、ドワーフに一応確認するべきだろうなと言う結論に至り。2度と行きたく無いと思ったドワーフの国に、結局行く羽目になった・・


ブラパン領の港からノルンの港迄は岬を回り80キロ程、岬の上空を飛び越えた直線距離なら40キロも無い。ミニラならゆっくり飛んでも、15分も有れば着いてしまう距離


ノルンの港の桟橋の端にミニラに降ろして貰い、警備の兵達が来るのを待つ

「これは竜騎士殿、今日はどのような用件でしょうか?」

海の方が気になるような様子の兵達に


「ご心配は要りません。今日は人魚達は連れて居ませんから、カザン殿に沈没船の件で話が有って来たのですが。取りついで貰えますか?」


そう言うと、カザンの居る族長館に真っ直ぐ案内された


「パトロンドの沈没した軍船の捜索を頼まれたので、海底を探索したら。ドワーフの船とおぼしき沈没船を発見したのですが、引き揚げた武器と防具はどうすれば良いのか分からなくて。聞きに来たのですが?」

全部返せと言われたら、引き揚げ手数料を多額に請求すれば良いと考えて正直に話すと


「武器と防具に関しては、海に沈んだ物は回収出来ないのが当然なので。諦めていましたからご自由にして貰って構いませんよ、ですが他にも何か見付かりませんでしたか?」

かなり言い難い様子で聞いて来たカザンに


「30センチ程の海の宝木も、1つですが引き揚げましたがそれ以外には何も」

と言った途端に


「その海の宝木を譲って貰えませんか?勿論見合う金額は支払わせて頂きますから」

予想外の言葉、返せでは無くて譲って欲しいとは・・拾得物に対する考え方が違うのか?


「あの宝木は元々あなた達ドワーフの物でしょう?何故返せでは無くて譲れ何ですか?」

思わず聞いていた


「あれがあなたに奪われた物なら返せと言いますが、奪われたのでは無くて。あなたは、我々が諦めた物を拾ったに過ぎません、それを返せと言う程、私達ドワーフは恥知らずな者では有りませんよ」

確かにその通りなのだが、なかなかそう言える人は少ないのも知ってる


「解りました、今から1時間後に。海の宝木をお届けしましょう」

面倒だが仕方ない


「ありがとうございます、お待ちしています」

と言う声を聞きながら部屋を後にする


とりあえず、おばさん達に会わなかったので安堵の息を吐きながら。港に戻りミニラと再度ブラパン領へ飛び、人魚達の確認を済ませ。海の宝木を持ってノルンの桟橋に降り立つと、カザンが待っていたので渡して帰ろうとすると。館に来て欲しいと言われたので同行することに


「勝手を言って済みません、余り人には見られたく無い物ですから。これは約束の代金です」

そう言って渡された袋には、白大金貨が70枚入っていた。あんな小さな紅珊瑚が金貨7千枚なのに驚くが


「確かに受け取りました。それでは」

そう言って退室しようとしたのだが・・

 

「これはガンジーさん、昨日は美味しいお酒をご馳走になってありがとうございます。昨日のあのお酒はどちらで入手されたのかしら、もしお手持ちが有るのでしたら大樽1つにつき金貨1千枚で買い取らせて頂きますけど。お持ちじゃ無いかしら」

リーザが優しく微笑みながら言って来るが、昨日の姿を見ているので。特大の猫被りに騙されてたまるかと、


「申し訳有りません、あの酒はあれで最後なのです。私も酒屋で偶然見付けたので、機会が有りましたら。酒屋で確認して聞いて見ますので、では失礼します」

儲け話より避難を優先しました、女性恐怖症寸前です



ブラパン領の海岸に戻り、夕食を人魚達と食べながら。カジャとビンに入った酒を呑んでいると、あちこちから人魚達の呻き声が聞こえて来た。1人2人ではない、百を軽く超える呻き声に。


昼間の大蛸祭が頭を過り、当然訪れると予想された桁が上がる痛みが始まったと理解した。不謹慎な俺は、祭の後の静けさ何て言葉は過ちだな、っとか一人で納得してました。自分が数日前に悶え苦しんでたのも忘れて・・


何事だ?と目を見張るカジャに。位階が上がる痛みだと説明して人魚達に様子を聞きに行くと。リンリンとヤールーが介抱するロンロンの姿が・・やっぱりと思う気持ちと、せめて群島に戻ってからにして欲しかったと言う気持ちが心の中にありますが。止める事が出来ないのも仕方がないです、強くなりたいのは共通の願いですから

 

翌朝、ブラパン領に人魚の将軍達3人が決めた。戦闘班3百人と採集班150人を残して、奴隷だった人魚達を引き連れて守りながら帰路の旅が始まった

 

ブラパン領はアラミスに話し合いと言うより、命令に近いシルエットの言い付けが受け入れられています


次の狐族領もシルエットが族長と簡単な交渉を纏め、国から派遣された騎士達に保護されていた奴隷の人魚達と入れ換わるように。戦闘班3百人と採集班150人の人魚達が駐屯目的で着任しました


心配していた鼠族領も問題無く交渉が進み、人魚達の配備と保護が行われて、虎族領に着いたのは夕方近く。夕食の準備をするように人魚達に告げて。


シルエットとコリンヌの館に行き、何故か更に美しくなり晴れやかな顔をしたコリンヌに迎えられ。交渉を進めたのですが、一切の質問も無く


「承りました」

その一言と、深く頭を下げる行為で済まされてしまい。逆に恐縮する羽目に・・・・


「コリンヌ殿、信頼出来る者達を30人程選んで。私の部下6人の護衛を王都迄頼めますか?」

訳有り班を王都に送るにはここ虎族領が、海沿いでは一番近い


「ガンジー様、あなたは、わたくしの主なのですから。頼むなどでは無く、命令して下されば良いのです。お任せ下さいませ、明日の朝、選りすぐりの者達30騎と6頭の馬を向かわせます」

優しく説教されました・・


帰り道でシルエットに、(主)呼びは大丈夫なのか?と質問すると、笑いながら

「屋敷に見目麗しい若者達が多数居ましたでしょう、あの者達は全て伯母様に焦がれておりますから」

伯母様の場合は大丈夫だと言われた、虎族の高貴な未亡人は。部族の若者で気に入った者が居れば、一夜限りの指導をするという役割を受ける事が出来る習わしが有るそうだ。夏と冬限定らしいが・・・・


所変われば習慣も風習も変わるのだと納得したけど

「ブラパン族は有るのか?同じ風習」

一応聞いてみる


「ブラパン族にはその風習は御座いませんが、出家するものは多いですね」

尼さんになる部族なんだ・・・


「教会の神聖騎士団にでも入るのかな?」

冗談で言ったつもり何ですが・・


「良くお分かりになりましたね」

本当になってしまいました・・・


海岸に戻り、訳有り班達に白大金を3枚渡して分けるように言い

「これからは、ゴロウの支えになってやって欲しい。トラサーンの事も出来れば手助けしてやってくれ。長い間世話を掛けたな」  

そう言うと、全員が淋しそうな顔をしたので。胸が詰まりそうになりました。情が移るのは仕方ないです、以外と女性冒険者達には情が移らないのは何故でしょうか・・


その後も順調に、獅子族領、猫族領、兎族領、狸族領、犬族領と配備と保護を繰り返して。虎族領を出てから二日後の昼も大きく過ぎた頃にメリット領に到着しました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ