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ガンジー(元爺)サーガ  作者: タマ
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東進3

翌朝、ミニラに船迄。舟で運ばれた36人と俺は次の目的地、兎族の領地へ向かうべく。進路を東に向ける


狸族の領地を通り過ぎる時、高台にあたる崖の上に数騎の騎馬が此方を見ていた


海岸沿いを進むと、旗が立ち並ぶ砂浜が見えて来た。ヤールー達は行き掛けの駄賃とばかりに、モンスターを狩り魔石の入った袋を持って来る。既にかなりの袋が並んでいるのだ・・


この浜に並ぶ旗には、普通のウサ耳が描かれた物が何本か混じっているのが見える・・


昨日と同じように岸辺に冒険者達を運んで貰い、狩りの準備を進めながら。有力者らしき人の所に行くと。そこには見覚えの有る顔が有った


「爺さん、何でこんな所に居るんだよ。ってか海迄来るの早く無いか?」 

ラビトが居て驚いた。王都から、かなりの距離が有るはずだし。俺が王都を出るときは、まだ城に居たしな


「フォフォ、これでも昔はならしたものじゃ。馬くらい、若い者には負けんわい」

愉快そうな爺さん


「年よりの冷や水だぞ、爺さん」

そう言うと


「ぬかせ、まだまだガキには負けんわい。しかしお前、好かれとるのお」

爺さんの視線を追うと走って来る奴等がいる


「将軍、手伝いに来ましたよ」

息を乱しながら、笑う奴等がいました。それも増えてるし・・60人以上居るな。助かる


「お前達も、捌く位置に着いてくれ」

人魚達に開始の合図を送り、帰還組+応援団に頼む


「陛下から話を聞いても信じられんかったが、おのが目で見てもまだ信じ難い光景じやのお。あの強大なサメンやイカーンが、雑魚に見える程引き揚げられてきおる」

呆れる爺さん、実際ヤールー達には・・サメンごときと言われてます


「強さだけじゃ無く、美しいだろ。爺さん」

俺の贔屓目だけじゃ無い!


「うむ、皆生き生きしておるのお。命の輝きが見えるわ」

奴隷の人魚達と比べたら、そうなるな


「今日は昨日よりかなり人が多いな、兎族は魚が好きなのか?」

昨日の民衆は一万前後だったが、今日は3万は居そうだ


「昨日の評判が風のように広がったらしいの、それと、猫族がかなり混じっておるわい。明日が待てんかったのじゃろおのお、魚が好きな種族故の。それ故ゴロウ派で有りながら、人魚達の解放に渋っておるのじゃ」

猫族が渋ってるのは初めて聞いた、猫族が混じっていると言われても。俺には見分けが余り付かない、勿論兎族は簡単に見分けが付くし。垂れ耳犬族も分かるが・・・ 


爺さんと喋っていると

「凄いのお」

「呆れる程、見事な光景ですね」

爺さんの声と、綺麗な声が聞こえたので振り返ると。ウサ耳爺さんとウサ耳美少女が立っていた。ウサ耳爺さんの方は戴冠式に参列してたので見覚えが有る。


ウサ耳美少女の方は、ちょうど美女との境目くらいに見えるが、黒のレオタードと白のカフスを着けたら満点をやれると思ってしまうほどの、清楚で有りながら健康的なエロ可愛いさが滲んでいる


「気に入ったら持って帰って構わんよ、孫のシンホニーじゃ。メロディの妹じゃが、姉が誉めちぎるお主を好いておる。ブラパン家の氷の要塞と二人で王宮の美の双璧と呼ばれた娘じゃぞ。どうじゃ」

ラビト爺さんと別のウサ耳爺さんが、笑いながら言う


「メロディさんは友達たから、姉にする気は無いよ。姉はローラさんだけで十分だしね」

笑って受け流した。メロディさんの妹と聞いた時点で、アウトです


「その爺さんは、ラビンと言うてな。海の兎族の族長じゃ、ワシの従兄弟でも有るがな」

ラビト爺さんが言う、族長が二人・・・・気になる事を言われた


「爺さんも族長だろ。族長って一族に一人じゃ無いのか?」

ラビト爺さんに聞く


「パトロンドの獣人達は部族毎に分かれて更に、自分達の生き方や考え方の違う領地に分裂したのじゃ、争わぬようにのお。族長は領地毎に存在するが、参政権は各部族共に二人迄と決まっておる。砂浜に、旗が立っているのを見たなら。犬族の旗が中折れ耳じゃったのを覚えて居るか?ここの旗は真っ直ぐなウサ耳じゃったろう。そしてラバーニュの旗は片方の耳だけ折れておる、解ったかのお。フォフォフォ」

ラビト爺さんの説明で理解出来た。力関係は不明だが・・


「説明は合っておるが、真実がたりんのぉ。ここ海の兎族の領地ラビリンは生真面目な者達が暮らす。ラバーニュは適当な考え方で済ますいい加減な連中の集まる町じゃ」

ラビン爺さんが酷い事を言うのに


「それで、メロディさんがラバーニュに居るわけか!」

乗っかった、その場の者達が笑う


そんな話をする内に2時間が経過したので、1度休憩を採り昼食にする事にした。今日は人が多いので午後の部も必要だ


俺は即席の鉄板焼き台を作り、爺さん二人と美少女を食卓に招待した。人魚達は呼ばないので、不満は出ない。一緒なら満足なのだし、鉄板焼きは何時も食べている


「このソイソースの焦げる匂いは、食欲をそそるのお」

「貝がこんなに旨いとはのお」

「この海老のプリプリ感が堪りませんね」

ご満悦のお三方、鉄板に傾斜を少し付けて有るので。焦げても簡単に洗い流して次が焼ける


冒険者達も自分の口とミニラの口に放り込むのが忙しそうだ。人魚達はパンを食べ、フルーツを頬張っている。楽しげな昼飯風景に和む


昼飯が終わり、休憩も取ったので。午後の部再会だ

「リンリン、ロンロン、ヤールー。後2千程で足りるだろうから頑張ってくれ」

午前中で2千5百程のモンスターを狩ったのだが、一人一人が持ち帰る量が半端ではない。荷車持参で近所に配るのか?みたいな奴が結構居るし。まだ半数近く民衆が残っている、冒険者の応援団が有り難かった。ネリー達だけではとても無理だ


「水系5等級の魔石が4千以上か・・ラバーニュで換金してくれんかのお。金貨千枚は税が入るのにのお」

ラビト爺さんが呟く


「この前、1万以上換金したぞ。その上ゴロウの件でタダ働きしてやったし。此方が呟きたいよ」

要らない称号を承けさせられたし、魔剣は驚いたけど・・・あの魔剣は卑怯だよな・・・とんでもない効力持ってるし。気付くのに時間が掛かったけど・・・と考えに浸っていると


「報酬は国中の美女、美少女が選り取りみどりじゃ。最高の報酬じゃぞ」

ラビン爺さんが、シンホニーを見ながら言う 


「爺さん達、人魚達を。後で近くで見てみろ、その後で聞くよ。シンホニーは確かに美少女だが、俺には人魚達に生きる楽しみを教え希望を持たせる仕事が有るからな」

女は怖い生き物なので、フォローは忘れない。恨みを買わない為に


狩りが終わり髪も衣服も乾かして、人魚達が整列する

「黒組、濃灰組4千。死者、重傷者共に有りません」

ヤールーの報告。今日もやはり数人の軽傷者か。


「群島戦闘班、3千。死者、重傷者共に出ておりません」

リンリンの報告。流石に時間が長いと此方も軽傷者が出たか


「群島採取班、3千。死者、重傷者は出ておりません」

ロンロンの報告。此方は無傷だな


「爺さん達、どうた。みんな良い顔してるだろう」

人魚達は晴れ晴れとした笑顔を浮かべている


「うむ、奴隷達とはこれ程の差が有るか・・」

「死人が無いじゃと、どれ程の強さなのじゃ。死地で戦い抜き、尚笑っておるとは・・・」

爺さん達の感想はそれぞれ違うが、少しは人魚の認識が変わるだろう。今はそれで良い


「あの人魚達が着ているシャツが可愛いですね。予備が有れば譲って頂けませんか?」

女の子の視点は別の所に有った・・・・船に2千枚程非常用が積んで有るので、2枚プレゼントする  


日が傾きかける頃に、全ての作業が終了した。

座り込んだ、帰還組+応援団の所に行き

「助かったよ、明日も頼めるか?皆で分けてくれ」

そう言って、白大金貨を2枚渡した


「女性冒険者達も頑張ってくれて、ありがとう。ボーナスを楽しみにしてくれて大丈夫だぞ」

笑顔で告げてる



その日は、夕食にも大量の果物が出され。人魚達はご満悦だった


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