比雅と條牟
んいふかしきさらぶさあ
(ヒント。これを録画機の前で読んだら逆再生して下さい)
1. 人気が少なく、周りの店はみなシャッターを閉めている。そんなところにとある会社が立ちずさんでいる。 2. 私はこの会社に働いているごく普通の会社員である。この会社にはごく数人が働いていて、本当のところ、全員紹介したいところだが一人ひとり話していると長くなるので、とりあえず、三人紹介しよう。一人は比雅と云う男で、この男も私と同じよう普通に働いているが、実を云うとある悩みを抱えている。そして、もう一人は卦雀と云う男である。この男も私と同様、ごく普通の会社員だが実は卦雀は比雅と関係が悪い。なぜなら実は比雅は卦雀から、パワハラと云う物を受けていたのだ。だが、卦雀が比雅に対するパワハラはどんどんエスカレーとしていき、ついにはもはやパワハラでわなくいじめにまで達していたのだ!たとえば毎日、いや、もはや数秒に何度といっても良いほど、卦雀が比雅に向かって悪口を云う。それだけではない。会社の裏側えと比雅を連れて行き、殴る蹴るなどの暴行をする。こうして、しまいには比雅はどんどん暗くなっていき、心も病んでいった。 3. そんな或る日の事である。比雅がとうとう疲れ果てて、ひとつ大きなため息をついていた。と、そこに、條牟と云う男が比雅の暗く青いあざだらけの顔を見つめながら、「おい!どうした!だいじょうぶか!」と、比雅の体を揺さぶりながらこう云った。しかし、比雅はうんともすんとも口を決して動かさなかった。すると條牟はまるで比雅の考えていることを当てたかのように、「何か悩みがあるのか?さあ、云って御覧なさい。」と、まるでグラデーションのように、口調を変えながらこう囁いた。すると比雅が恐る恐る、「実は」を第一声にし、今までのいじめを、初めて他人に打ち明けた。この條牟と云う男は最近この会社に入ってきた新人で、とてもまじめで、明るく、元気で、あまりのそのまじめさに、さすがの卦雀も舌を巻くほどであった。この男が比雅がいじめられていると云うことに気がついたのは、実におよそ二、三週間前、あまりにも比雅が醜い姿になっていたので、勇気を振り絞って話しかけたのだと云う。こうして、比雅と條牟は次第に仲が良くなっていった。 4・しかしある日條牟はこの事を卦雀に伝えていたのであった。すると卦雀は比雅をますますいじめていった。そしてとうとう、比雅は自殺してしまった。あまりに突然だった。條牟は自分のやってしまった事を非常に憎み、比雅の自殺からおよそ2ヵ月後、卦雀を殺して自殺した。今も私は、この会社で働いている、このあまりに残虐な事件を心に秘めながら。
この作品は、完全フィクションの小説です。