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4.能力テスト(魔力編)

休憩が終わると僕たちは整列をしてオッチャンを待っていた。


「よーし。みんな集まっているな。午後からは魔法力のテストを行うが、いつも通り魔法に関してはミリアさんにお願いする。ではミリアさんあとはよろしくお願いいたします」


「はい。それではこれから魔法力のテストを行っていきます。まずは火属性のからお願いしますね」


オッチャンと一緒に来たこの女性は双子の兄妹のお母さんである。

名前はミリア=グリーシア。金髪ロングでポニーテイル、いつもニコニコしているのが印象的だ。

ちなみに昔オッチャンと一緒に冒険者をしていて、魔法使いだったとのこと。


魔法使いはすごく貴重な存在で、魔力を自由に扱える人間はなかなかいない。

村にいる大人では神父様とミリアおばさんの2人しか使える人がいないぐらいだ。



魔力テストは【火魔法】【水魔法】【風魔法】【土魔法】【雷魔法】【光魔法】【闇魔法】の計7つを行う。

試験方法は至って簡単で、10メートル離れた的に魔法をぶつけるといった単純な方法である。


「じゃあ午前中に一番の成績だったマリアちゃんからお願いしますね」



「はーい」

こうして魔力テストが始まった。




◇火魔法結果◇

アレックス   7点

エスト     1点

ナナ      8点

マリア     10点

ロイ      5点




◇水魔法結果◇

アレックス   5点

エスト     1点

ナナ      10点

マリア     10点

ロイ      2点




◇風魔法結果◇

アレックス   9点

エスト     1点

ナナ      9点

マリア     10点

ロイ      1点




◇土魔法結果◇

アレックス   4点

エスト     1点

ナナ      8点

マリア     10点

ロイ      8点




◇雷魔法結果◇

アレックス   5点

エスト     1点

ナナ      8点

マリア     10点

ロイ      1点




◇光魔法結果◇

アレックス   8点

エスト     1点

ナナ      8点

マリア     10点

ロイ      9点




◇闇魔法結果◇

アレックス   0点

エスト     1点

ナナ      0点

マリア     0点

ロイ      0点



「みんなお疲れ様。学び舎に戻って休んでてくださいね。今から宿屋の店主を呼んできますから」



「またマリアの断トツ1位かよ」


「みんなまだまだだね。マリアは誰にも負けないよ」


「…マリアちゃんすごい」


「この私がナナに魔法で負けるなんて…」


「…はぁ」


みんながテストの話で盛り上がっている中で僕は一人でため息をついていた。



「エスト元気出してよ。闇魔法がちょっとでも使えるのはエストだけなんだよ。マリアは悔しいんだよ」


「…マリア。それはそうだけど、みんなは光魔法の適正が高いから使えないんだと思うよ」


「私たちは【神の子】なんだぞ。きっともうすぐ成長するさ」


「エストはもっと努力しろよ。俺は死に程努力しているぞ」


「…エストくん頑張れ…」


みんながそれぞれ声をかけてくれる。

努力?僕が努力してないと思っているのか?

いや…。みんなよりも努力していなかったかもしれない。

分からない。



ガラガラ。

オッチャンとミリアが学び舎に戻ってきた。


「成績を発表するぞ」

そういって黒板に成績を書き始めた。



---------身体能力テスト-----------


1位…マリア     60点

2位…ロイ      55点

3位…アレックス   34点

4位…ナナ      16点

5位…エスト     7点



---------魔法力テスト--------------


1位…マリア     60点

2位…ナナ      51点

3位…アレックス   38点

4位…ロイ      28点

5位…エスト     7点



------------総合------------------


1位…マリア     120点

2位…ロイ      83点

3位…アレックス   72点

4位…ナナ      67点

5位…エスト     14点



----------------------------------



「今回もマリアが断トツで1番だ。2位から4位は僅差なんだからこれからもマリアを抜かすつもりで頑張れ。エスト…全属性の魔法を使える人間はほとんどいないんだ。気をおとすな。これから成長することもあるんだからな」


「みんなお疲れ様です。今日は疲れたでしょう?早く帰ってゆっくり休んでくださいね。エストは今すぐにでも帰りなさい。もうすぐ産まれるってさっき連絡がありましたよ」



ガタッ。

思わず椅子から立ち上がってしまった。

「ミリアさん!!それ本当ですか?」


「ええ。はやく帰ってあげなさい」


「はい。さようなら。みんなもまた明日ね」


「「「「また明日」」」」


僕はみんなに挨拶を軽くしてすぐさま家路についた。

妹か弟かわからないけど僕はお兄さんになるんだ。


テストで最下位だったことなんて忘れるくらい心がドキドキしていた。


「はぁはぁ。母さん。父さん。ただいま。……赤ちゃんは??」


気が付いたら走って帰っていた。


「お帰りエスト」


「お帰りエスト。こっちにおいで」


黒髪メガネの父さんと母さんが優しく出迎えてくれた。

母さんはベッドに横になって小さいタオルにくるまっている命を抱いていた。


「女の子よ。名前はエレンよ。エレンちゃんお兄ちゃんがきましたよ~」


僕に妹ができた。この小さな命を守るために僕は頑張るんだと決意した。


「…エレン。【俺】がお前を守ってやるからな」


必ず強くなってやる…。

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