【高度な土地利用とは言いますが】
(2015年9月19日執筆)
鬼怒川の決壊から1週間。
荒川に関する報道を目にする機会が増えて来たように思います。
鬼怒川のほうは
その鬼怒川より東に流れる小貝川同様
利根川を銚子に向け、流れを変えたことによりまして
直接。東京には影響が無い
利根川自体が
東京に対する
スーパー堤防の更に凄いモノ。
これが出来たがために
常総市辺りで水の行き場が失われてしまう原因ともなってしまっているのかもしれませんが
それに対しまして
荒川は
現在も
東京湾に流れ込む川でありますし、
江戸城の東側は
江戸時代になってから乾いた
正しくは
徳川幕府の施策によりまして。
でありますので
普段は大丈夫なのでありますが
大雨が降りますと
アスファルトの下は
元の姿に戻ろうとしていますので
どうしても弱い個所から水が溢れだす事態が発生することになります。
地下水の汲み上げ過ぎによる地盤が沈下した状態で。
そんな荒川界隈に置きましても
常総市に負けず劣らず
水と格闘し続けて来た場所がありまして
埼玉県は桶川市にあります
川田谷
と言うところは
かつて
田んぼが水に浮いていました。
水に浮いていますので
放っておきますと
田んぼが下流に移動してしまいます。
移動してしまいますので
それを防ぐべく
田んぼの四隅に
杭を打ち込むまして
紐を用い
杭と田んぼを結び付け、
大水が出るたびに
紐を引っ張って
流された田んぼを元の位置に戻す。
田んぼが水に浮かんでいますので
田んぼの上で農作業をすることは出来ません。
そのため田んぼの下に足場を造りまして
その足場を伝って稲を育てる。
そのような場所でありますので
嫁いで来ました若いお嫁さんが
慣れていませんので
足場から足を踏み外してしまいまして
そのまま行方不明になる事態があったこともありまして
対岸の川島町。
ここも水害が頻発する場所であるのでありますが
その川島町の住民でさえ
あそこは危険過ぎるから
娘を嫁がせてはならない
と言わしめるほど
生活するのに
大変な場所。
のちに河童伝説の起源となった
とも言われる
桶川市川田谷
なのでありますが
現在は整然と家が建ち並んでおります。
土地の高度利用と言えば
それまでのことなのでありますし、
江戸時代までは
このような危険な場所で
農業を営むことに関しまして
メリットも存在しておりました。
それは何か?
と申しますと
『免税』
税金が一切掛からない
タックスフリーの場所が
川田谷であり
川島町であり、
今回。水害の被害に見舞われました
常総市東部地域でありました。
なぜか?
もし大水が来た時は
そこに水を流すことにより
水かさを低くする。
当時、水は交通に使われておりましたので
船が行き来することが出来るよう
水の流れを安定化させ、
当時は
洪水となりました場所より
もう1つ外側にも堤防を設置することにより
その向こうには水を出させないための
調整弁の役割をお願いする代わりに
税を課すことはありません。
と言う場所でありました。
江戸時代までは。
これが明治に入りまして
少しでも税収を増やすべく
これまで税金を掛けなかった
これら地域にも
税を課すようになったため
『税課すなら水溢れさせるなよ』
『いつまでも水貯められっ放しなんて許さないよ』
の当然の声が巻き起こりまして
二つある堤防の外側は撤去され、
内側の堤防が嵩上げされた。
しかも鉄道などの発達により
水を利用した交通が衰退したため
流量を安定させる理由が無くなってしまったため、
『川はとにかく
全ての水を
一滴たりとも陸地に漏れ出させること無く
海に放出するモノ』
の考えのもと
整備されましたのが
現在の川の姿であります。
結果。土地が乾きまして
宅地としての整備の道が切り拓かれた。
とも言えるのでありますが
このような場所は
私の暮らします豊橋にも存在しております。
乗用車で走っていますと
あまり気にならないのでありますが
歩いたり
ジョギングなんぞしていますと
本来、低い位置にあるハズの川を渡る際、
当然、橋は高い位置にありますので
若干の上りは覚悟するのでありますが
(……それにしても)
と言う坂が存在しておりますし、
市が発行しています
ハザードマップを見ますと
(……あぁ元々は
そこに水を流すことによって
川を治めていたのだろうな……)
と言うところに
『浸水の恐れあり』
の色が塗りこまれたところに
比較的新しい家が
建ち並んでいたりしています。
今回、上流部からの水でありましたけれども
4年前の『3・11』の際。
クローズアップされましたのが
下からの水。
海水でありまして
豊橋。
吉田城から西の
全てではありませんが
かなり広いエリアが
干拓地でありますので
津波の浸水につきましては。
でありますし、
川からの堆積で出来た土地。
と言うよりは
堰き止めて出来たところも多々ありますので
液状化
と言うリスクも背負っている地域なのでありますが
海から相当、距離がありますので
感覚的には
(……津波と言われても?)
の場所でありますが
4年前の仙台の津波の映像でもわかりますように
高さで止めることが出来ない限り
延々と内陸に入り込んで来るのが津波でありますので。
距離は関係ない。
関係がないことがわかった状態で
市のハザードマップを拝見させて頂きますと
災害時。
拠点として想定していました病院に。
病院自体はしっかり造られていると思うのでありますが
周りの地盤が液状化しますし、
津波が押し寄せて来ることが想定されているため
拠点となるべく病院に辿り着くことが困難となる恐れがある。
と言うことからも読み取れますように
今まで大丈夫な時代が長く続いていました。
ただ今後。
今まで冷えていた地球が
人為的なモノだけでは無いと思います。
気温が高くなる時代へと向かう中、
これまで
西から東へ流れていました雲の流れが
南から北に流れ込むようになる。
(=同じ場所に長時間
雨が降り続くことになる。)
海水面が上昇し、
縄文時代当時の姿。
それより更に前の姿に戻ろうとする中、
今のように平野で暮らし続けることが難しくなることが予測される中、
強く高い堤防
と言う概念から
異なる考えかたを取り入れなければならなくなる時が
近い将来やってくるのかもしれませんね……。