綿毛は夢の風に乗る
掲載日:2015/03/17
目を覚ましたときには、僕はすでに空にいた。
眺めていたあの雲と同じ場所を遊泳していた。
渡り鳥みたいに、目指す場所はない。
ただ風に、軽い身を任すだけの、そんな旅。
だからかな。
宛てのない世界はやさしい光に溢れている。
眼下に広がるのは、イルカが跳ねる海原。
飛沫のカーテンの向こう側。
クジラも歌うように潮を噴き上げる。
そこには、小さな虹が幾重にも重なっていた。
風に揺られながら、徐々に蒼い世界を遠ざけていく。
そして見えてきたのは、山を覆う緑の絨毯。
ふかふかの草原で眠れたら気持ちいいだろうな。
僕はそんなことを考える。
それでも風は、僕の考えなどお構いなし。
その場所に留まる素振りすら見せない。
風は僕を違う場所に連れて行く。
その途中。
隣にいた雲が、どんどん高くなっていく。
それに合わせて、体の揺れも小さくなっていった。
どうしてだろう? 僕は考えた。
そうか。
体に夢が染みこんできたんだ。
この旅の中で僕は、様々な光に出会うことができた。
その温もりを残らず抱いてここまで来たんだ。
重くなった僕の体は、風の軌道上から外れていく。
そして僕は、ゆっくりとゆっくりと降りていく。
そして僕は次の旅に夢を馳せて、黄色い花を咲かせる日を待ち焦がれる。
読んで頂き、ありがとうございました。




