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山男のくせに~ジュンヒョンという阿呆~

作者: 懐拳

かいがいしく

世話を焼く

妻が見ている

目の前で


これみよがしに

点滴の管を

引きちぎり


病室まで

見舞いに来た

女のあとを

これみよがしに

堂々と追う


それは

いっぱしの

虚栄心?

それとも

断ち切れない未練?


別れようと

切り出す女の

はったりに


ろくに返事も

しないまま


受諾とも

拒絶とも


勝手に受け取りやがれ

とばかり

女の頬を

張り飛ばす


それは

わずかに残る

自尊心?

せいいっぱいの

八つ当たり?


山でいっしょに

遭難までした相棒は

ひとりの女を

かつて取り合った

恋敵


そうと知るなり

もう下山など

無理な自分を

ここに残して

下りろと諭す


そしてまた

自分のことを

恋敵だと

同様に知った

相棒に

自分に復讐しろと

促す


それは哀れな

自己満足?


あるいはそれとも

傲慢きわまる

自慰の果て?


山男は

山に女を

見るという


だからこそ

永遠に

憧れるのだと


ある山に

登る道中

別の山を想うなら


その山は

その山男を

拒絶する


ある山を

下りながら

次に登るつもりの山を

想うなら


その山は

その山男を

決して下界に

下ろさない


初心者でも

あるまいに

山を甘く

見くびって


山の怒りを

一身に買い

永遠に

山に眠る


哀れ山男

ジュンヒョンよ



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