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生き残るのは誰だ

「うっ、寒い」


あたしは家から出た途端思わずそう呟いた。

季節は冬の上旬。

冬に児童を学校に行かせるべきではないとあたしはいつも思う。

冷えたアスファルトには少し湿った様子の落ち葉がたくさん

落ちている。

あたしはその落ち葉を見つめながら

ただひたすら歩き、黙々と学校へと向かった。


「ん?これはさては里美だなぁ?」


学校近くの十字路で信号待ちをしていた時、不意にあたしにそう

呼びかけてくる人がいた。

その微かに笑いを含んだ声に、あたしは衝動的に振り返った。


「由佳子、おっはよ」


由佳子はニコニコ顔でつったっていた。

由佳子はあたしの一番の友達だ。


「あれ。葉月は?」


もう一人の一番の友達の事を聞いてみると、

由佳子は「さぁ」と肩をすくめた。


「ところでぇ、里美ぃ。

今日までのぉ宿題ってぇ、あったっけぇ。

あったとぉしたらぁ忘れちゃったぁ」


屈託のない由佳子の言葉を聞いて、あたしは昨日感じた違和感を思い出した。

昨日クラスメート7人に確認したのだから間違いない。

今日までの宿題はないはずだ。

しかしあたしたちの通う学校はちょっとした進学校。

今まで宿題の出なかった日など一日もなかったのだ。


「なかったよ。

でもおかしいよね、あの学校に限ってそんなこと」


「知らないよぉ。池田が配り忘れたんじゃないのぉ。

あの野郎ぅ。ざまあみろぉ」


由佳子が毒づいた。

池田は今年で定年を迎えるおじいさん先生だ。

いつものんびりとあたしたちに数学を教えている。


その後、あたしたちは信号をわたり、

池田の悪口を延々と言い続けたのだった。

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