↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法-夜と剣-  作者: ぴーちぷりん(せす)
炎魔家討伐阻止
PR
8/38

7話:不完全夜剱

返事をした途端、俺の真横(一瞬で半歩横にずれたため、さっきまでいた位置)を、何かが通った。糸、細い糸だ。だが、その鋭利さは、よく分かる。もう、仕掛けてきたのか。しかし、攻撃から、俺と美希を狙っていた。つまり、奴らは、《炎魔》ではないようだ。しかし、その腕前は、並みの魔法使いのそれを超える。危険度は中ってところだろう。

「おい、美希。奴らは…」

俺は、声を潜め、聞いているように見えないように、喋った。

「《劉水》家、《水飛沫》家のどちらかだと思う」

似たように、美希に聞いているように見えないように、美希も答える。《劉水》家、《水飛沫》家。それは、《水素》家の分裂二つじゃないか。勢力を二分して、再び統合したいと言うふうな噂は聞いていたが、まさか、《炎魔》を先に狩ったほうが主権などと言う、ふざけた闘いではあるまい。そう、思った。


 俺は、美希の手を取り、全力疾走する。敵を引き付け、炙り出すために。そうすると、敵の数は、おそらく二人。どちらも、たいした装備をしていないことから見て、偵察。

「ちょぉっと、ヒノキくん。無理よ。あの人たち、きっと、わたしより強い…」

「だからどうした。こんな、作戦に引っかかるほどに知能の低い奴らだ。どうということはない」

「さ、作戦?!」

「そもそも、ただ話しただけ、と言う、状況で、攻撃をするのは、莫迦のやることだ」

あの場合は、様子を見るのが正解だ。俺が、単なる一般人だったとしたら、あの場合で、攻撃が当たっていたら殺人になっていた。そんな愚かな行動をしているのだから、俺の作戦に騙されるのは分かっていた。おそらく、戦力が減っている《劉水》家の末端が、こちらに回されたのだろう。連絡されても厄介だし、この程度なら、先に潰す方がいい。

「夕闇に抱かれた、幻想よ…。我が手に夜の剣を。|《夜剱》《やつるぎ》」

元来、魔法と言うものは、詠唱と言うものを必要としていた。しかし、現代においては、違う。詠唱と言うのは、名前と同じく、文字に言葉を込めて、発する事で、周りの魔力を貰い、力を強めていた。しかし、現代では、発動を早めるために、詠唱を省き、自らの魔力で放つ方法を取っている。そのため、魔力を溜めるのに時間がかかり、《炎魔》家のように、発動まで時間がかかる人々が出てくるのだ。


 俺に関しては、基本的な《夜》の魔法は、詠唱をしなくても発動できる。しかし、俺のオリジナル魔法である《夜剱》は、俺の封印時の魔力では、出し切れない。詠唱をしても、完全な形での生成は出来ない。でも、あの程度の雑魚なら、不完全でも、倒せる。


 俺の手元には、闇色に煌々と輝く歪な棒状の物が現れた。そして、それで、相手を斬った。

「えっ?!ちょっと、ヒノキくん…」

「大丈夫だ、死んでない」

《夜剱》不完全は、相手を傷付けられない。傷付けるのは、《記憶》と《魂》だけ。そして、今回傷付けたのは、《記憶》。俺たちと奴らが接触した部分の記憶を切り取ったのだ。それが、《夜剱》不完全の能力だ。俺の《夜剱》不完全のもう一つの能力である《魂》の刈り取りは、まるで、死神の様に《魂》そのものを斬る。どちらにしろ、相手の体そのものは、傷一つつけられないのだ。

「ったく、こいつらのせいで、遅刻じゃねえか」

「す、凄い…、手際も見事だし、能力も」

美希は、呆然としているようだったが、時間がないので、俺は、先に行く事にした。


 此処で、先ほどの補足をしておこう。俺は、封印時の魔力と言った。つまりは、俺は、魔力を封印しているのである。俺自身の魔力は、瑠璃さんと同等の魔力があった。しかし、瑠璃さんは、長い間、生きているため、魔力の制御も出来ているが、十六、七歳の高校生が制御できるはずもない。だから、高度な封印を何十にも掛けているのだ。この封印は、瑠璃さんの許可と俺の意思の二つが伴ったときにのみ、外れる。


 もう一つ補足するならば、《夜剱》の詠唱は、あれだけではない。詠唱は、途中の段階でも、ある程度の効力を発揮する。それは、先ほども言ったように、文字(言葉)に魔力を込めているから、途中段階でも、それなりに魔力が集まるのだ。そして、《夜剱》の本当の力は、《記憶》を切り取る事でも、《魂》を刈り取る事でもない。


 学校に着くと、もう三時間目だった普段から、真面目に授業を受けているだけあって、事情があったのだと、教師も信じてくれた。家から近いにも拘らず、これだけ盛大に遅刻しても許されるのは、俺の人徳なのだろう。俺は、《夜剱》発動の影響で、疲労していたので、三時間目から、昼休みまで、熟睡していた。


 《夜剱》、と言うより、魔法は、自身の魔力を使うため、大きなものになるほど、莫大な魔力を使い、疲労が大きくなる。基本の五つの種類の魔法は、順に、《水》、《風》、《土》、《木》、《火》と使う魔力が大きくなっていく。《夜》なんかは、《火》よりも大きく、《氷》なんかは、《水》と《風》の中間だ。つまりは、かなり魔力を使う属性のかなり魔力を使う魔法を放ったのだ。疲労は、かなりになる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。