2話:心の夜明け
「モミジぃい!」
俺は、廃墟と化した街中で、愛しき人の名を叫んだ。
「ヒノキくん!」
すぐに返事があった。
「来て、くれたんだね」
俺の愛しい彼女は、飛び込んできた。
「会いたかったぜ、モミジ」
「私も」
ようやく合流した俺とモミジ。やっと会えた感動で抱き合っていたが、すぐに悪寒がした。背後、俺の背後に何かが来た。俺は、モミジごと、その何かを避ける。
「ほう、よく避けたな。この世界に、アレを感知できるほどの者が残っていたとは」
男の声。コイツが、《終焉》。
「我は《焉》。この世界を《終焉》に導くもの」
そういって、再び、何かを放ってくる。咄嗟に、《聖劔―明剱》を(利き手は、モミジを抱いているため、逆側の空いた手で握るから)抜いた。
「明けろ」
何かを弾く。
「ほう、それは、神具……ではないな」
俺は、起き上がり、モミジを立たせる。
「大丈夫か」
「うん」
極度の緊張空間の中、俺は、さほど緊張していなかった。張り詰めた空気が、ちりちりと痛む。
「テメェ、《焉》って言ったか。俺の彼女を散々痛めつけてくれやがって、覚悟しろよ」
「ヒノキくん、ダメだよ。こいつは、強いの。《輪廻》で私を連れて……」
「大丈夫だ」
そう、モミジは、俺の力をまだ知らない。正確には、俺も知らない。感じる。《聖劔―明剱》と《魔劔―夜剱》。二刀の力が呼応する。そう、俺の魔法は、夜じゃない。
――心に朝日が差し込む。そう、心の夜は、《明けた》。




