6話:神
「ほ、本当に?」
「あ、ああ。もちろん」
「あ、愛してくれます?」
「もちろん!」
そんな感じのやり取りが、授業中にも関わらず続き、教師も呆れて帰った。
そして、夕刻。俺は、生まれて初めて出来た彼女を、家に連れてきていた。
「お、お邪魔します」
「ただいま」
俺が、家に帰ると、瑠璃さんが、料理を作り始めるところだった。
「あら?お客……さん」
瑠璃さんも一時停止が起きたが、流石美人。コンマ五秒ほどで復帰した。
「は、はい。ヒノキくんとお付き合いさせていただいております。朱野宮モミジです」
「あ、朱野宮……。貴女、あの、朱光鶴の」
朱光鶴?
「は、はい。でも、私は、超速回復を受け継いでいないんですけど」
「あら、珍しい。あの家じゃ、ほとんどが継ぐと思ったのだけれど」
「いえ、私は、《他世界同率体》を引き継いだので」
《他世界同率体》ってのは、前に言っていた、他世界にいる自分と記憶を共有できるというやつだろう。
「自己紹介が遅れたわ。希咲瑠璃。《氷の女王》よ」
「《氷の女王》……。帝華の」
帝華?聞きなれない言葉が出た。
「ああ、それは先代よ。あの人に関しては、もう、私なんかじゃ手も足も出ないくらいでたらめな強さだったから」
「そ、そうなんですか」
俺の彼女と保護者がこんなに仲のいいわけがない!と言いたいところだが、仲が良くて困ることはない。
「けほっ」
急に咳き込むモミジ。
「大丈夫か?!」
見えたのだ。手のひらにあふれる血が。吐血。
「だ、大丈夫」
「今のって、他世界干渉?」
「た、多分そうです。おそらく、向こうの私が、《終焉》と戦っています」
《終焉》?
「そう。こっちの《終焉》は、昔に、アンリが《始まり》で鬼の《終焉》を絶ってるはず」
アンリってのは曾祖母だ。
「ええ、ヒノキくんの曾祖母さんが《始まり》で、曽祖父さんが《終焉》。ついでに言うなら、祖母さんも《終焉》で、祖父さんは《始まり》ですね。祖父さんの方の父さんも《始まり》です」
はい?待て、整理しよう。曽祖母アンリが《始まり》、爺ちゃん《始まり》、爺ちゃんの父さん《始まり》、曽祖父鬼が《終焉》、婆ちゃん《終焉》。あ、あれ?
「それは、初耳ね。ヒノキがアンリの曾孫だなんて」
「四之宮、いえ、篠宮の家系は、天辰流篠之宮神の血を色濃く引いた家系ですから」
どういう漢字変換がされたかは不明だが、シノミヤは、アマタツルシノノミヤノカミとやらの血を色濃く引いているらしい。
「流石は武神の家系と言うべきかしら?」
「いえ、ヒノキくんの家は、《夜》が基調の一族ですし、《輪廻》すら継いでいます」
「《輪廻》?!ヤッパリ、《輪廻》はあるのね……」
《輪廻》、瑠璃さんが探していた魔法。
「はい。ありま……ッ!ケホッ!」
また血を吐いた。
「だ、大丈夫か!」
私の他の作品、《Si Vis Pacem, Para Bellum》もよければご覧ください。神云々の件は、こちらの三神編でも触れていますので...
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