3話:恋の魔法と明日の約束
「恋っていいなぁ」
朝一番に、無意識に俺の口から出た青春っぽい一言によって、クラスの雰囲気が激変した。いつもの変なことにはなれたクラスだが、俺の異変にはさすがに対応できず、「地震の前兆」だの「雪が降る」だの「世界が滅ぶ」だの好き勝手言っている。だが、今の俺は、大抵のことは笑って許せる。それが恋の力。
「一体、何があったんだい?頭でも打ったのかい」
失礼な御影の言葉にも、俺は笑って答える。
「何もないぞ」
授業中も奇異の視線が飛んできた。俺は、ずっとモミジのことを考えていた。いや、だって可愛いんだもの。俺は、思わず、シャーペンを奔らせていた。授業が終わった頃に、俺のノートに書かれていたのは、モミジの肖像画。上手くかけている。自分でも吃驚だ。
「誰だい、この子?」
御影が聞いてくる。美希と時雨さんも見てくる。
「か、可愛いけど。誰?」
「な、可愛いよな。ああ、可愛い。可愛いなあ。ああ、可愛い。可愛すぎる」
俺のテンションの高さに、皆引き気味。御影が、俺の頭に手を置く。
「熱は……ないみたいだね」
失礼なやつだ。
しかし、本当に可愛い。
そして、幾日かの夜が過ぎ、俺は、再び、モミジに逢っていた。もう、二十回目だろうか。
「ねえ、ヒノキくん」
「どうした、モミジ」
「ヒノキくんは、さ。私のこと、好き?」
俺の脳が真っ白になった。すき?好き……。
「も、もちろん」
俺のテンパった返答。お、おかしくないよな。
「良かった。ヒノキくん、明日を楽しみにしておいてね」
あ、明日。何かあるのだろうか。




