3話:語られる真実
《明剱》を握った俺は、《明剱》と《夜剱》が同系のものだと気が付いた。魔法によって生成された剱。しかし、形と魔法を保っているということは、何かの儀式に使われていたのだろうか。普通ならば、効力が切れれば、普通の剣になるのが、媒体の剣だ。しかし、儀式などによって、常に魔力を蓄えられたのなら、話は別だ。維持する魔力が安定していたら、魔法は消えない。
「貴様は、本当に何者だ。あやつの知り合いか」
「知り合い?そんなんじゃない」
神主からそんなことを聞かれ、事実を答える。知り合いというよりは顔見知りってところか。あの女性ほど、関係性が分からない人間は知らない。知り合いなのか知り合いじゃないのか。俺と女性の関係は謎。
「その《剣》が反応するということは、貴様も我が《天月》家の人間のはずだ」
それは違う。俺は四之宮ヒノキ。天月だか雨月だか知らないが、無関係だ。
「《明剱》が反応するから《天月》ってのはよく分からないけど、こいつの持ち主は知ってるさ」
「《明剱》だと…。それに持ち主を知っている。おかしなことを言うな小僧」
そう、この《明剱》を持った時に見えた朱色がかった銀色が特徴の女性。彼女は、俺の関係者。親、ではないだろう。しかし、俺の親戚。いや、先祖。何故だか、《明剱》を握っていると分かる。あの人は、俺の祖母の母、曾祖母に当たると。それが何故か分かる。そして、曾祖母の息子が《天月》となり、娘が俺の祖父と結ばれた。そして、彼女は人間ではなかった。俺に流れる《異能の血》とやらは、彼女が元らしい。
「この剣の持ち主は、曾祖母だ」
「何をふざけたことを。数百年前のものだ。年代が合わん」
「俺の曾祖母は、人外。すなわち人ならざるものだ」
そう告げたとき、時雨さんの顔に驚愕の色が見られる。
「もしかして、銀色の髪?」
何故、そんなピンポイントな質問なのかは分からない。
「朱色がかった銀色だが」
「やっぱり。お父さん。家の言い伝えを覚えていますよね」
時雨さんの確認に、神主は頷く。
「家には、鬼の言い伝えがあるの。女性がやってきて、鬼を退治する。鬼は、本当の人外だと言い伝えられていたけど、違うのかもしれません。人外は、女性のほう」
そうかもしれないし、違うかも知れない。いや、違う。正解は、どちらも人外だ。
「どちらも人外だ。鬼と獣人の血を半分引くものが婚約して、獣人に近い獣人ではないものが生まれた。それが俺の祖母。しかし、獣人の血が半分しかないものが生むのは、決まって女性。男を産んだ場合は、それは、ただの人の子。何の力もない。その生まれた男が、《天月》の祖先だ」
俺は、《明剱》から流れ込む記憶を語る。
「そして、鬼を封じた。鬼は、どうやら、自我を保てなくなったらしい。妻に頼み、自分を封じた……」
そこまで言って、思い至る。この《明剱》が鬼を封じていたなら、神殿に祀り続ける必要がある。それが外された今、鬼の封印はどうなる。
突如、爆音が山の奥で鳴り響いた。




