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魔法-夜と剣-  作者: ぴーちぷりん(せす)
炎魔家討伐阻止
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13話:夜剱

 明日まで。そんな短い時間で、何かできるのだろうか。いろいろ考えたが、やはり、真っ向勝負が最善策だと思われる。どのタイミングで、どちらが来るかは分からないが、戦場は、あらかじめ決めておいたほうがいいだろう。戦場に向いているのは、山や海、池、野原などだ。山は、おそらく時雨さんの神社があるため不可。野原、海は近場にない。残るは池のみ。池といえば、俺の家から徒歩五分ほどのところにある公園だ。あの公園は、ほとんど誰もいない。いたとしても、すぐ居なくなる。なぜなら、池しかないのだ。だとしたら、他の近場の遊具のある公園に行くはず。仕方がないので、あそこにしよう。


 俺は、池の様子などから、観察して、美希と一緒に公園を回った。

「ね、ねぇ、ヒノキくん?もしかして、ここ戦うつもりなの?」

「ああ、そうだが」

「こんな水場で戦ったら勝ち目がないじゃない」

確かに、水場だ。相手に有利にもほどがある。しかし、魔法戦闘の場合、一般人に危害を加えない上に、ばれにくい場所で戦闘行うのが、ルールだ。それに当てはまる場所がここしかない。

「確かにそうだ。しかし、それが敵に油断させる方法にもなる」

これは、即興で考えた、美希を安心させるための理由。実際は、そんなことは、ほとんど考えていない。《水》は、破壊力、攻撃力が少ない魔法と言われているが、その分、溜める時間は短い。こちらが、魔法を使う前に、制圧されかねない。


 俺は、それ以上何も言わずに、公園に留まった。そして、今日という一日が、終わろうとしていた。だが、その一日の終わりに、水を差すかのような、澱みが生まれた。


 魔力。それも、大きな。そして、数は二つ。この大きな魔力は、おそらく、《劉水》家、《水飛沫》家の両家当主だろう。予想よりも、数十分ばかり早いが、誤差のうちだろう。もう、明日まで、一時間都内のだから。


 俺は、寝ている美希を叩き起こした。

「おい、美希。魔力を放出しろ。できるだけ自然に、普通に、だ」

澄んだ魔力が放たれるのと同じくして、敵もこちらの位置に気づいたようで、こちらに向かってくる。俺は、できるだけ、魔力を抑え、木陰に身を潜めた。


 どのくらい経っただろうか。急に、美希が魔力を大放出したのだ。美希もようやく、敵の魔力を完全に感知したのだろう。もう、魔法の準備をしている。この一撃で、敵が沈んでくれるのがベストだろう。

「…?!来た!《炎熱の流星群》!」

敵の気配を察知した美希は、気配に向かって、おそらく広域の魔法を放った。しかし、炎と水。数刻遅れて、二つの声が響く。

「…《水壁》!」

「《水精》よ、我が盾となれ!」

二つの水でできた盾に、完全に防がれている。しかも、うまい具合に、敵に跳ね返す。つまりは、美希ともう一方の魔法使いに跳ね返しているのだ。美希は、自分の技を自分の技で相殺し、敵は敵同士で、跳ね返した魔法が勝手に相殺している。


 そして、敵の反撃が始まった。

「水術奥義!《水の乱舞》!」

「水精技!《水精衝撃波動》」

水の塊が鋭い槍となり、頭上から降り注ぐ。それと同時に、四方八方から、空気中の水分を伝い、衝撃が襲い来る。これほどの攻撃は、さすがに、美希では、防ぎきれない。俺は、魔法を使う。


 静かに、密やかに、俺は、魔法を放つ。

「《黒い嵐》」

黒い竜巻が、水を巻き上げ、大きな渦を作り、木々は大きく揺れ、そして、水の槍は、すべて、竜巻に弾かれ、衝撃は、風に遮られた。


「何者だ!」

 そのセリフは、二人の敵からほぼ同時に放たれた。そして、俺は、姿を現す。


「夕闇に抱かれた、幻想よ…。我が手に夜の剣を。


暗闇に沈み込んだ、孤高よ…。我が手に魔の剣を。


漆黒に彩られた、剣光よ…。我が手に真の剣を。


《魔劔―夜剱》」


手には漆黒に彩られた、聖剣、否、聖剣というには、禍々しい。それでいて、神聖な、異形の剱。鋭く細い刀身は、鮮やかな《瑠璃》色。柄は、どこまでも深い《漆黒》。


そう、これが、《夜剱》。



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