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魔法-夜と剣-  作者: ぴーちぷりん(せす)
炎魔家討伐阻止
14/38

12話:古流

 間違いようのない、あの姿は、時雨さんだ。黒い長髪が、巫女服とマッチしていて、まさしく、日本の巫女さん然としている。彼女たちは、こちらに依然として気づく様子がない。おそらく、彼女たちが行っているのは、魔力を高める、日本古来の呪術。


高めるといっても、上限があがるのではなく、集中力によって、極限まで、魔力を引き出す練習というものだ。そのため、結界を張って、その間の奇襲を防ぐ。これで合点がいった。しかし、時雨さんは、どうやら、昔からこの地に住む、古流魔術師(要するに陰陽術師)の家系だったらしい。


 《古流魔術》、《陰陽術》は、元来、呪札を使った、文字に魔力を込める、一種の《ルーン魔術》に近いものだった。《ルーン》は文字自体の魔力のみで、発動するが、《陰陽術》は、文字と自らの魔力を使い、より早く、強力な魔法に特化していた。現在では、衰退した《陰陽術》だが、《極東魔法》の根幹には、確実に、この《陰陽術》が生きている。


 結果として、古流を扱う人間は、滅多にいなくなったのだが、昔のしきたりを守る《土御門》家や神社、寺院に連なる家系の人は、比較的、古流を生かす傾向にあるため、彼女たちが、古流を扱うのは、おかしなことではない。


 しかし、雨月時雨さんが、陰陽術師であることには驚きを隠せなかった。そもそも、魔法を扱う人間自体が減少しているこの世で、同じクラスに、自分以外に二人(時雨さんと美希)も魔法を扱う人間がいることなんて、滅多にないのだ。驚きを隠せないのも無理はないだろう。普通なら、学校に、一人か二人くらいの割合に過ぎないのだから。


 そして、俺は、境内に入らないように、迂回して、本殿を覗くことにした。本殿には、日本刀や薙刀、長槍など、日本の武器が多くあった。まあ、当然のことだろう。魔法に剣術や武術、柔術を併用するのは、当たり前なのかもしれない。それこそ、魔力の大きな人を除けば、大きな魔法なんて、使えるのは、一握りの人間なのだから。それを補うために、その他の攻撃方法を混ぜるのは当然なのだ。


 その、武器の中で、御神体の前に、供えるように飾られている一本の《剱》が見えた。ここからでは、形はよく見えないが、何か、分からない、神聖な気配を放っているきがした。


 俺は、再び、境内の方に戻ると、魔力の高めが終わるのを待った。そして、魔力の高めが終わったタイミングを見計らって、時雨さんに声をかけた。

「おはよう、時雨さん」

「…?!」

俺の発した声を聴いた途端に、その場にいた全員が、俺の方を見て、警戒、応戦態勢をとる。よく訓練されている。しかし、俺は、無視して、時雨さんに話しかける。

「いや~、よかったよ。考え事しながら歩いてたら、道に迷ってさ…。しっかし、こんなところに、神社があったなんて」

「し、しし、四之宮くん?!み、道に迷ってって。え、あのその、どうやって、ここに」

「本当に情けない話なんだけど、気がついたら、山の中で…」

とりあえず、ここは、この話を通すのが正解だろう。彼女たち全員を相手にするのは、疲れる。

「えっと、その格好ってことは、学校に行く準備はできているんだよね…。だったら、私と一緒に行こうか」

「ああ、そうしてもらえると助かる」

他の巫女は、一応、警戒しているものの、応戦態勢は解いたようだ。

「四之宮くん、ちょっと、ここで待っていて。私、着替えてくるから」

そういって、時雨さんは、神社の奥に駆け込んだ。


 よく神社を見渡すと、鳥居の部分に《神王天月》と書かれている。もしかすると、雨月は、真名を隠すための名で、本名は《天月》なのかもしれない。しかし、今は、かまっている場合ではないだろう。まずは、美希の、《炎魔》家の件を片付けなければいけないのだから。


 準備が出来た時雨さんに連れられて、学校に登校することにした。道中、多々、話を聞かれた。だが、どれも、魔法使いに関係しないことだったのが、謎だ。普通は、魔法使いかどうかを疑って、聞いてくるようなものなのに。まあ、そんなことは、どうでもいい。


 学校に着くと、美希が突然、情報を提供してくれた。その情報とは。

「《劉水》家、《水飛沫》家の両家、当主が、直々に、こっちに向かってくるのか?!」

「ええ、お父様からの確かな情報よ。こないだの戦いで、わたしがこっちにいるのを確信したのでしょうね…」

それは、間違いないだろう。しかし、当主自らが来るとは、驚きだ。どの程度の実力かは、分からないが、それなりの強さは覚悟しておいたほうがいいかもしれないな。こっちは、封印状態だし。美希にも、戦力として、当主の片方を潰してもらえれば楽だろう。それができるかどうかは、微妙だが、いざとなったときのために、作戦を立てておく必要があるな。

「どのくらいで、敵は来る?」

「おそらく、明日には、もう、この土地についているはず」



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