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魔法-夜と剣-  作者: ぴーちぷりん(せす)
炎魔家討伐阻止
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11話:空と朝

 俺は、自室で目を覚ました。まだ、少し、虚ろだが、次第に、意識が覚醒する。結局、あの人に関わる事は、一切思い出せなかった。しかし、それならそれで、今はいい。先に、《劉水》家の問題を解決しなくてはならない。だから、今は、あの人については、ひとまず忘れよう。それが、最善策だ。きっと。


 ココロの奥底に眠る、思いが、力になる。これは、昔、瑠璃さんが行っていた言葉。自分の思いが魔力に変る。昔はそういう風に捉えていた。しかし、今では、別のことのように思える。魔法だけではなく、全てのことで、《思い》、《気持ち》が大事なのではないかと。だから、何事にも、思いを込めて、やらなくてはいけない。そんな風に思うのだ。だから、今回の一件は、全力で、美希に力を貸すことにしよう。別に、美希に惚れたとかそういう話ではない。自分達のルールを決めるために、他者を犠牲にするなどという意味の分からない行動を取っている、奴らが許せないからだ。


 俺は、三年ぶりに、家の地下にある、《修練の間》の扉を開けた。この部屋は、俺が、瑠璃さんに、鍛えてもらっていた頃に使っていた、大部屋である。我が家には、研究室やら修練の間、大書庫などが、地下に存在している。かなりの違法建築な気がしてならない。


 話が逸れた。《修練の間》で、久々に、《夜》の本来の姿を開放した。

「《夜》」

部屋全体が、夜の闇に包まれ、静けさの溢れる空間が生まれる。そして、その夜を、俺は、凝縮させる。《夜の塊》。その、瑠璃色にも見える塊を、俺は、《夜剱》の媒介にする。これで、封印時の魔力でも《完全な夜剱》が発動できる。


 理論は簡単だ。凝縮した魔力を媒体に、魔法を発動するだけなのだから。つまりは、自らの魔力と、詠唱による外の魔力と、予め溜めておいた魔力を使って、魔法を発動するのだ。こんな事をしなくては、《完全な夜剱》は、発動できない。それほどまでに、莫大な魔力が必要なのだ。


 俺は、溜めた魔力を、体内に貯蔵して、俺は、部屋を出た。時間帯は、夜明け前。学校に行くには、早すぎる時間。そんな時間にも関わらず、俺は、家を出た。なぜだか、外をぶらつきたくなってしまったのだ。外の空気は、澄んでいて、少し冷たかった。


 頬に風が当たり、その強さに、思わず目を瞑った。そして、目を開けた。そして、目を疑った。目の前に、あの人がいたのだ。黒いフード、隙間から見える朱色。間違いない。あの人だ。だが、なぜ、こんなところに。ここは、俺の家から徒歩五分程度の池のある公園だ。いや、居てもおかしくはないだろう。だが、なぜ、このタイミングで、謀ったように出てくるのだろうか。

「空が…。空が綺麗だ」

「え?」

不意に呟かれた、言葉に、思わず、反応してしまった。空。確かに綺麗な色合いをしている。ちょうど、《瑠璃色》だ。

「君も、そうは思わないかい?」

俺に向けて発せられたその言葉に、敵意はなく、むしろ、親しみ深い愛情に近いものを感じた気がした。

「君はよく似ている。だから、いずれ戦うときがくるだろう。だから、そのときは…」

再び、前と同じ言葉を聴いたが、残念ながら、やはり、最後は聞き取れない。

「では、またいつか会おう」

そして、その人は《常盤》に澱む瞳で俺を見ていた。


 俺は、しばらく呆然としていたが、我に返った。《常盤》に澱んでいた瞳を思い出し、疑問が浮かぶ。寸前までは、確実に《漆黒》だった瞳が《常盤》に澱むなんていうことはありえるのだろうか。


 俺は、疑問を抱えたまま、再び、朝の散歩に戻る。すると、気づけば、見知らぬ場所まで来ていた。場所は、石階段。家の近くにある山の中腹のようだ。こんなところに階段があったとは、まったく知らなかった。そもそも、山も、ごく普通の、山だといわれていたし、頂上にも何もないらしいし、別段気にしていなかったのだが。


 気になったので、しばらく、階段を上がってみることにした。すると、ある段で足を止めた。結界印だ。


 結界印とは、その名の通り、結界のための印である。結界を施すために、文字に力を込め、四方八方に、円を描くように印を刻むことで、ドーム状の結界が完成するのだ。結界というのは、属性がなく、魔力を込めれば簡単に作れる。いわば、魔力で、壁を作り上げるものだ。


 つまりは、この上に、結界で何かが隠してあるのだろう。印と印の間に、人が通れる隙間を見つけたので、おそらく、誰かが通っている。そこを通り、上を目指す。そして、上までたどり着いた末に見たのは、神社だった。


 そして、巫女。境内に数十人の巫女が並んでいる。その中に一人、見知った顔が…。

「時雨、さん…?」


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