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魔法-夜と剣-  作者: ぴーちぷりん(せす)
炎魔家討伐阻止
11/38

10話:朱

 奴らの動きを見張っていると、俺とは別の方向からの気配を察知した。俺のいるこの場所から、少し離れた家の屋根の上。それが、誰かは分からない。だが、明らかに、強い。だから、そちらには、気付かない振りをして、観察を続ける。奴らが魔法を使いさえすれば、それでいいのだ。だから、そのタイミングさえ見られれば。


 そして、その時がやってきた。奴らの一人が、青色の魔法陣を展開したのだ。確定した。奴らは、《劉水》家の人間だ。


 瞬間。大きな気配が動き、《劉水》家の人間を弾き飛ばした。その姿が、一瞬だけ見える。靡く朱色と黒いフードついた服。そして、足元に光る《白群》色の魔法陣。


 俺は、暫くの間、呆然としてその場を動けなかった。そして、大きな気配を放つ人は、男とも女ともとれない声で、静かに、俺に向かって喋る。

「お前とは、いつか戦う日が来るかも知れない。その時は…」

その先の言葉は聞き取れなかった。そして、フードの中に見える無機質な《漆黒》の瞳が、俺から、別の場所へと向けられ、去っていく。


 あの人物からは、殺気はあっても、何故か、懐かしいと言う感情が、莫大に溢れ出して来るのだ。何者なのか分からない。だが、いつかの記憶に刻まれている。とりあえず、敵ではないと認識しておこう。それよりも、奴ら、《劉水》家だ。先ほどは、あの人が敵を一人、倒したが、もう一人残っているのだ。


 そのもう一人はと言うと、急に、仲間がやられた事に驚いて、まったく動かない。俺は、この機を逃すまいと、気配を完全に消して、美希を回収した。


 回収した美希を家に送った後、考え込んでいた。あの人は、何者なのか。《白群》色の魔法陣は何の魔法なのか。そして、何よりも、淋しげな、あの目だ。無機質な《漆黒》であり、それでいて、悲しげな瞳。それが、何より気にかかっている。あの人は、何者で、何のために行動し、何故、あんなにも淋しげなのか…。

「ヒノキ…?」

そんな折、俺を呼ぶ声が聞こえた。それは、御影だった。

「御影、か。どうしたんだ。俺に何か用でもあるのか」

思わず、そんなことを口にしながら、御影を見ると、学校の制服を着ている。学校帰りなのだろう。そんなことを思っていると、御影は、呆れた様に溜め息をつき、こう言った。

「何か用かは、こっちのセリフだよ。だって、此処は、ボクの家の目の前じゃないか」

どうやら俺は、無意識の内に、歩いて此処まで来てしまった様だ。

「ああ、どうやら、ぼんやりしてるうちに此処に来ちまったらしい」

「はぁ、相変わらずだね。キミらしいけど」

余計なお世話だ、そんな風に言いたくなったが、実際、その通りなので反論が出来ない。

「考え事があったんだよ。いろいろな」

「考え事?キミが?」

莫迦にしたような口調だが、相談に乗ると言っているようにも聞こえた。

「別に、今日逢った人が、懐かしい感じがしたんだよ。どう思う」

「どうって?ただ単に、昔会ったとか、親戚だとか。いろいろあるけど」

昔…?いや、違う気がする。俺は、施設で育った。施設で一緒だった奴は、一人残らず覚えている。親戚。それもない気がする。もっと、複雑な何かがある気がする。

「まあ、分からないんなら、そこまで気にする事じゃないんじゃないかな」

「そうか…。そうだな」

俺は気分を切り替えることにした。


 暫く、御影と話して、俺は、その場を後にした。敵の主に動いているのが《劉水》家だと分かった。とりあえず、奴らに対しては、向こうが、美希を攻撃受けた時にのみ、反撃として、手を貸すことにしよう。その方が、まき込まれるリスクは減るに違いない。


「ただいま」

 俺は家に到着した。瑠璃さんはおそらく、研究室に閉じこもって、研究中だろう。俺は、ゆっくり、じっくり、考えてみる事にした。あの人が何者なのか。


 俺の記憶を掘り返す。追憶の記憶。あの人に会っていないかどうか。


そして、俺の意識は、そこで一端切れる。


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