and Know
「僕が誰かわかる?」
いきなり知らない人にそんなこと言われても答えられない。
知ってるような知らないような……よくわからない。
別に知っててもいいことないし……。
名前も聞けばわかるかも知れないが聞く勇気がない……。
でも何となく興味がある。
誰なんだろう……
「僕は君の事知ってるよ」
……あっちが知っててこっちが知らないなんて……ありえない。きっと知ってるはずだ。忘れてるだけだ。
「君の名前は中谷桜榎。都立高校に通う高校1年生」
なぜ知っているんだ……。
私はこいつの事を知らない。知ってるかもしれないがわからない。
「君は僕の何を知っているのかな?」
「何も知らない」
「君は僕をしってるはずだよ」
知らない。
「僕は君の……」
「……」
「恋人」
「は?」
「嘘に決まってるじゃん」
急に恋人とか言われたら「は?」って言うだろ。誰でも。
「じゃあ……」
あんたは誰なの?と言おうとしたけどやめた。なぜだろう。言いたかったのに言えなかった。勇気がないから?だったら言おうとしないし……じゃあ……現実逃避?かもしれない。じゃあなぜ現実逃避をしたのだろうか……。それはわからない。
私は……なにを恐れているんだ?
+++
「桜榎聞いて!ビッグニュースだよ!」
「なに?」
「転校生が来るって! しかも男子!」
「へー」
どうでもいいし。
「イケメンらしいよ」
「で?」
転校生とかどうでもいい。
「で? じゃないよ。桜榎の好みの顔なんだって!」
「………!」
どんな奴だ! さぁこい! 転校生!
「さぁ皆の知ってる通り転校生が来た。今から紹介するから席につけ!」
さぁ、転校生! 早く顔出せッ
「中村、入っておいで」
ガラガラガラ………
転校生が入ってきた。
「…………!」
この顔……見たことある……。
まさか………ね……。
あの………恋人がどうのこうのって言ってた奴……? んなワケないな。
「中村雄太です。よろしくお願いします」
「さぁ皆、拍手して」
皆の拍手の音が頭に響いてくる。
「………。」
中村という奴と目が合った。
「じゃあ中村君、中谷ってあの……前髪パッツンの茶髪の人の隣に座ってくれ」
「……」
よりによって隣かよ。
私の通ってる学校って何故か隣と机くっつけるんだよねー。
小学生かよっ てなる。
「よろしく。中谷桜榎さん」
そう言うと中村はニコッと笑った。
「お前…………ッ!?」
なぜ………私の下の名前を知ってる……。
やっぱりこいつ…………。
いや……まて……。
お父さんの……息子かもしれない……。
いや……息子はいないはず。娘がいるとしか言ってなかった気がする……。
「中谷って呼ぶのは駄目かな……?」
「………」
嫌だ………。
得体のしれないやつから名前をよばれるだと……?
「じゃあ桜榎ってよぶね」
「……!?」
こいつ……真面目に殺意が湧いたんだけど……。
「可愛いな。顔赤くしちゃって」
「な……っ!!」
一回殴っていいですか……?
「中谷! 転校生が気になるのはわかるがHR終ってからにしろ!」
なんで私が怒られなきゃいけないんだ……。
「先生、逆に僕がこの子の事気になってるんです。悪いのは僕ですよ」
こいつ何言ってるんだ? 頭大丈夫かよ
「そうか。ナンパか。若いっていいな」
教室が盛り上がった
「よろしくね桜榎」
気持ち悪い………。
「んじゃHR続けるぞ」
…………マジでこいつと学校生活送らなきゃいけないの………?
HRが終わった。
さ……読書しよっと。
しばらくして転校生の机の周りに人だかりができた。
「……」
当たり前な事だけど読書の邪魔だけはされたくない……。
本読む気失せた。読むフリして話でも聞いていようか……。
「中村君、初めまして! 私、林祐子。よろしく」
祐子が中村に話しかけた。




