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天界規定第2条「天使、無辜の民を殺めるなかれ」




 「こんにちは、天野夏向さん!!」

 「私は天使ユーリカ。あなたを導きに参りました!!」


 優しそうな少年です。

 中々に背が高くて細いですが筋肉がありますね。それにあの優しい性格であれば下界の平和に大いに貢献出来るでしょう!!


 「え……ここ……? 俺……死んだの……? これって……夢だよな……?………いや、ドッキリ、ドッキリかなんかだろ?」


 どっきり?……あぁ日本の文化ですね。教令院で学びました!!

 人間は理解できないとすぐ夢やどっきり?のせいにするそうです。


 まぁいいです。説明を始めましょう。


 「いえ、これは夢ではありません!!

死亡したあなたの魂を、神様の祝福のもと、幸福に導くのです!!」


 夏向さんは目をぱちぱちと瞬きし、まだ信じられない様子です。

 人間は鈍いですね。


 「は、は? あんた……何言ってるんだよ……」


 うーん。理解が遅いですね。

 めんどくさいので、魂の映像を見せましょう。

 

 手のひらにある光玉から魂の映像を上映します。

 事故で轢かれた夏向さんと、泣き崩れる妹の姿がですね。


 「……な、なに……これ……」


 あ、やっと理解しましたか。


 「ちょっ……待て……これ……マジなの……?」


 声が震えてますね。


 「俺は死んだの……か?」


 「はい!!将来罪を犯す夏向さんを救済するために!!」


 「ふざけるな……!!」


 ん? 怒ってます?


 「お前……なんでこんなことができるんだ……?」

 「人の命を、未来の罪のために……!?

俺はまだ何もしていないのに……なんで……!!」


 怒りの籠った声と視線が向けられます。

 人間はどうして神様のお役に立てることを喜ばないのでしょう?

 不思議です。


 「……なぜです? 神様のお役に立てるのですよ? 日本にいる妹さんもきっとお喜びに……」


 「そんなの知らねぇよ!! いいから俺を日本に……春奈のとこに、返せよ!!」


 あ、そろそろお時間ですね。

 まだ色々とお話したかったのですが、仕方ないです。


 「天野夏向さん、準備が出来たので下界に転移いたします。神様のお役に立てること大変幸福に思います!!」


 「……な、なんだこれ……俺…ま、待て…!!」


 転移開始ですね。

 床が発光し、魔法陣が発動します。


 私は笑顔を崩さず、手を振ります。

 この方を見送るのです。


 「大丈夫です!!神様の祝福のもと、幸福に異世界へ導きます!!」


 彼の体がふわりと浮かび上がる。

 最初は宙に浮いた感覚に目を見開き、次に必死に手を伸ばします。


 「や、やめろ……!!俺を返せ、春奈を残していけない……!!」


 光が彼を包み、そして消えていきました。

 転移完了ですね。


 これでお仕事完了です。


 「お兄ちゃん……。」


 ん?


 あ、光玉の映像が再生されたままでしたね。

 いけません、いけません。


 事故現場、トラックに轢かれ横たわる夏向さん。

 そして泣き崩れる妹……えっと、春奈さん。


 映像に映る春奈さんが、手を合わせ神に願っています。

 

 「神様……どうか……お兄ちゃんを……」


 ーーおぉ!!これは感心なことです!!

 あなたのお兄様は神様のお役に立つことができますよ!!


 「神様!!お兄ちゃんを返してください!!」


 え?

 ……神様に何を頼んでいるのです?

 

 理解できません。


 ――ただ、何かが、胸の奥でわずかに揺れているようです。

 自分が感じているものが何なのか、名前も理由も理解できません。


***


 《ユーリカ、聞こえますか、ユーリカ》


 ん? プリシカ様から天界通信です。


 《はい!!こちらユーリカ。どうかしましたか?》


 《ユーリカ、報告です。天野夏向の異世界転移は手違いです》


 《手違い……? どういうことですか?》


 《天野夏向は罪人ではありません。》


 《え……それってどういう……》


 瞬間、背後から数名の天使が現れました。


 全員が黒い衣装、黒い翼、黒い弓矢に身を包み5人全員が全く同じ動きで、手には鎖を持っています。


 ……これは、執行官……!!

 白い翼が光を反射し、神々しい光の中に、厳格な顔が並んでいます。


 「第2位階下級天使、ユーリカ。神の名のもとにあなたを無辜の民殺害の罪により拘束します。」


 冷たく、容赦のない宣告。

 私は混乱し、言葉も出ません。


 「な、なぜ……? 私は……」


 そう、全ては神様のために……!!


 「言い訳無用。天界規定に反した行為は、例外なく処罰されます。」


 彼らは鎖を私に巻きつけ、地面に引き倒されます。

 ……なんでしょう。嫌な感覚がします。

 強く私の肌に鎖が食い込みます。


 「あなたは、無実の少年を殺め、魂を誤って異世界に送った。その罪は重大です。」


 言葉が、頭の中で何度も反響します。

 

 “無実の少年を殺めた罪"


 鎖を巻かれ、私は牢に入れられました。


 私は罪人のようです。


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