天界規定第1条「神は、絶対である。」
今日もお仕事頑張ります!!
リストを確認します。
………ふむふむ、本日の担当は…天野夏向さんですね。
未来で罪を犯す人物、異世界での平和を守るために導かねばなりません!!
この門をくぐれば、あちらの世界に行けますね。
……えーっと、天野夏向さんのいる場所は…………日本のかながわけん、よこはましというところですね。
天使には翼があります。
神様からいただいた大切なものです。
頭の光輪と弓矢が揃って一人前です!!
おっと。
街を歩く彼を見つけました。
見た目は、とても優しそうな青年です!!
……しばらく見てみましたが、
誰にでも親切で、笑顔が絶えず、困っている人を助ける…まさに好青年です!!
年齢は、今は15歳。
ちゅうがくせいというやつですね!!
……こんな人が、将来罪を犯してしまうなんてなんと恐ろしいのでしょう。
未来の罪人、容赦できません!!
深呼吸して、淡々と手順を確認します。
“事故死に見せる”方法で、最小限の混乱で魂を異世界に送る……
今日も正しく、正しく、使命を遂行するのです!!
あぁ、神様、私めにこのような光栄な仕事をください感謝………感謝します!!
トラックの音が近づきます。
天野夏向さんは、一瞬振り返りますが、笑顔を絶やさず歩き続けます!!
一緒に歩いているのは……女の子ですね。
この娘はリストにないので、巻き込まないようにしないとです!!
――ここで静かに、運命を導きます!!
「危ない!!春奈!!」
「お兄ちゃん!!」
ものすごい音がしました。
トラックに突っ込まれて天野さんが投げ出されました。
手足は妙な角度で折れ、衣服は血に染まり、顔は驚きと恐怖で歪んでいます。
……うわっ。
何度見ても人間の内臓が飛び散る光景は見慣れないものです。
いくら罪人とはいえ、可哀想ですね。
しかし、問題ありません!!
我々が神様のお役に立てるように異世界に導きます!!
これで神様のお役に立ちましたね!!
天界規定に従い、淡々と、しかし確実に仕事を終えました!!
「……嫌だ。」
……ん?
泣き声が聞こえます。
「嫌だ!!お兄ちゃん!!なんで……どうして……嫌だよ!!ねぇ!!お兄ちゃん、返事してよぉ!!」
天野夏向さんのいもうとさんですね。
いくら罪人とはいえ肉親の死は悲しいものです。
でも、大丈夫ですよ!!
私がお兄さんを導いて、神様のお役に立てるようにしますので!!
顔を、両手を天野夏向さんだったものにくっつけてますね。
……もう魂はないですよ?
でも、なんだか可哀想ですね。
その姿に、胸の奥が、何かきゅうっと締め付けられます……
……あっ、いけません!!いけません!!
天使たるものいつも笑顔!!
こんな表情をしてはいけませんね!!
今日も神様のために使命を全うしました!!




