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伊達と富澤の天気予報コント 第2弾 ~季節風の秘密と真冬のロマン~



(舞台には前回の黒板と世界地図。伊達と富澤が登場。富澤はなぜか厚手のダウンを着ている。)


伊澤: どうもー!サンドウィッチマンでーす!前回は地球の大気の循環の話、やりましたけども!


富澤: (ブルブル震えながら)いやぁ、でもまだ寒いっすねぇ。心なしか北極からの風を感じるっす。


伊澤: いや、まだ授業始まってねぇだろ!お前、そのダウン、季節外れだろ!


富澤: いや、今回は「季節風」って聞いたんで、対策してきました!


伊澤: そうだ!今回はうちとそとの換気、つまり季節風モンスーンのシステムを見ていくぞ!そして、具体的な問題にも挑戦だ!


地球の気圧の帯とシベリア高気圧

伊澤: まず、この図を見てみろ!(黒板の図を指さす)特に南半球が分かりやすいんだが、L、L、Lってあるだろ?これ全部、低気圧だ!


富澤: ホントだ。赤道直下あたりに、帯状に連なってますね。


伊澤: そう!これが赤道低圧帯だよ!これは1月の図だから、南半球側に降りてきてるのがよく分かるだろ?そして、H、H、Hってあるだろ?これは高気圧だ!


富澤: これも南半球側に帯状に。亜熱帯高圧帯ですね!


伊澤: そう!南半球側は、ほとんど海だからな。理屈も少ないし、海は水の比熱が高いから、温度変化が緩やかで、気圧の帯がものすごく明瞭に現れるんだ!ここポイントな!


富澤: 海って、温まりにくくて冷めにくいんですもんね。


伊澤: その通り!じゃあ、北半球側を見てみろ!特に北緯60度付近に線を引いてみろ!H、L、H、Lって、高気圧と低気圧が交互に並んでるだろ?


富澤: ホントだ!北米大陸の真ん中にH、太平洋にL、ユーラシア大陸の東にH、太平洋にL…何でこんなことになるんですか?


伊澤: そこが季節のポイントなんだよ!真ん中の「H」があるところ、ここがシベリアだ!


富澤: シベリア!寒いところですね!


伊澤: 寒いどころじゃない!冬の気温が平均マイナス20度を下回る目安だ!本当に凍ってんだよ!地面までカッチカチに凍ってる!


富澤: うわぁ…想像するだけで凍えそうっす。


伊澤: こんなとんでもなく寒い陸地だと、空気はどうなる?


富澤: ギュッと収縮して、密度が上がって、気圧がグンと上がるんですよね!


伊澤: そう!だから、シベリアにはとんでもない「シベリア高気圧」ができるんだ!図見てみろ!「1030」って書いてあるだろ?1030ヘクトパスカルだぞ!標準的な気圧が1013ヘクトパスカルくらいだから、どんだけ空気詰まってんだって話だよ!


富澤: ホントだ!数字だけで寒い!


比熱と気候タイプ

伊澤: じゃあ、なんで陸地だけそんなに寒くなるんだって話だ。ここで「比熱」ってのが重要になってくるぞ!


富澤: 比熱?なんか物理っぽいですね。


伊澤: 1グラムの物質の温度を1度上げるのに必要な熱量のことだ!固体、つまり陸地は比熱が小さい!ちょっと熱を与えてもグンと温度が上がるし、熱が逃げるとストンと冷めるんだ!だから「温まりやすく冷めやすい」!


富澤: なるほど、陸地は熱しやすく冷めやすい。


伊澤: 対して、液体、つまり海洋は比熱が大きい!たくさん熱を与えてもなかなか温度が上がらないし、熱が逃げてもなかなか冷めないんだ!だから「温まりにくく冷めにくい」!


富澤: だから、海沿いは冬も比較的暖かくて、夏もそんなに暑くならないんですね!「海洋性気候」ってやつか!


伊澤: その通り!内陸部が「大陸性気候」だ!夏はクソ暑く、冬はクソ寒い!日本でも埼玉とか岐阜とかの内陸部が猛暑日になるだろ?沖縄はそんなにならないよな!これは比熱の違いで説明できるんだ!


季節風の発生メカニズム

伊澤: さあ、この比熱の違いが、季節風を生むんだ!ちょっと図を見てみろ!陸地と海があるだろ?


富澤: はい、Aが陸上でBが海ですね。


伊澤: じゃあ、夏だ!気温が高いのはどっちだ?


富澤: 夏は温まりやすい陸地のAですね!海は比較的冷たいです。


伊澤: そう!じゃあ、気圧はどうなる?


富澤: 陸地のAは温度が高いから、空気がボヨヨ~ンと膨張して軽くなるんで、低気圧(L)!海のBはあんまり温度が上がってないから、空気がギュッとしてて、高気圧(H)!


伊澤: その通り!で、風はどこからどこへ吹くんだ?


富澤: 風は高気圧から低気圧に向かって吹くんで、夏は海から陸に向かって風が吹きますね! これが夏の季節風!


伊澤: よくできた!じゃあ、冬だ!陸地と海、どっちが冷たい?


富澤: 冬はカチンコチンに冷える陸地のAですね!海はまだマシです。


伊澤: そう!じゃあ気圧は?


富澤: 陸地のAはものすごく冷たいから、空気がギュギュギュ~ッと収縮して、高気圧(H)!海のBは比較的温度が穏やかだから、低気圧(L)!


伊澤: その通り!だから、風はどこからどこへ?


富澤: 風は高気圧から低気圧に向かって吹くんで、冬は陸から海に向かって風が吹きますね! これが冬の季節風!


伊澤: そう!だから、さっきのシベリア高気圧から、周りのアジアに向かって、冬の季節風がビュービュー吹き荒れるんだ!特に、南アジアとか東アジアで「モンスーン」として現れる!


富澤: なるほど!これで納得しました!だから冬はシベリアからの北風が強いんですね!



伊澤: そうやって、ちゃんと理論と現実を結びつけて考えるのが地理の醍醐味だ!いいか、お前ら!季節風は、比熱が違う陸と海があるからこそ生まれるんだ!これで今回の授業は終わり!


富澤: ありがとうございましたー!


伊澤: どうもー!

(深々とお辞儀)

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