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勇者はマモリたい  作者: 覧都
第1部

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第九十九話 救助を待つ人

「あのぉ」


 私は、ポケットから2本の栄養ドリンクのビンを出したカブランさんに声をかけました。

 カブランさんは、ビンを床に置くと自分の上着を脱いで、お母さんの体にかぶせてくれました。


「お嬢ちゃん、心配か? これは、普段は薬事法違反で使えない薬だ。でも、今ここは、他国に実効支配されている。日本の法律は関係ない無法地帯だ。こっちが、治癒薬、こっちが回復薬だ。治癒薬を使えば、かすり傷ならすぐに治る。嬢ちゃんのお母さんは重傷だから、なおらねえとは思うが、血を止めて痛みを取るくらいは出来るだろう。どうする? 使ってもいいか? いやなら、やめてもいい」


 カブランさんは聞いて下さいました。

 お母さんは呼吸が浅くなり、体がとても冷たくなっています。


「それも、マモリ様のお薬ですか?」


「そうだ。マモリ様が俺達に1本ずつ持たせてくれた物だ。マモリ様が神様のマモリの力を加えたものだ」


「その薬は、カブランさんが使うためにマモリ様がくださった、貴重なものではありませんか。よろしいのですか?」


「ふふふ、マモリ様がこんな時のためにくださった物だ。かまやしねえ」


「では、御願いします」


 普通ならまったく信用できない怪しい薬ですが、マモリ様という名前に安心して信用しました。

 私は頭を下げて御願いしました。

 殺人矢が飛び交うこんな場所で、命をかけて人命救助をして下さることに、あわせて感謝の気持ちも乗せました。


 カブランさんは治癒薬の蓋を取ると、貴重なお薬をお母さんの怪我をした足にかけて下さいました。

 液体は、黄色いかと思ったら緑色に変色しています。

 カブランさんもそれには驚いたみたいで、体がビクンと動きました。

 でも、液体がかかるとお母さんの足の怪我が黒っぽく変色して、血が出てこなくなりました。


「うむ、これ以上は、無理みたいだな。後はこの回復剤を飲ませればいいのだが」


 カブランさんはそういいながら、お母さんの足からきつく締めているベルトを外してくれました。

 お母さんは、意識を失っているので、このままでは飲ませることはできません。

 私は、床から薬のビンを取り、蓋を開けてそれを口に含みました。

 気持ちの悪いドロッとした食感で、味もすごく苦くてすぐに吐き出したいという代物です。

 それを、お母さんの口を少しあけて、唇をつけて口の中に流し込みました。

 お母さんの唇は、紫色になり冷たくて生気を全く感じませんでした。


 少しだけ喉が動きました。

 血液が少なくなると、唾液も出ないみたいでお母さんの口の中はパサパサでした。

 でも、すぐに変化が現れます。

 唇が温かくなりました。

 口の中も温かくなります。


「あー、こほん。嬢ちゃん、いつまでチューをしているのかな」


 カブランさんが後ろで咳払いをしました。

 私は、ファーストキスを母にささげてしまいました。

 しかも、濃厚で長ーいくちづけを。

 でも、愛する人とキスをするのは変じゃないですよね。


「母が、温かくなりました」


 私は、唇を名残惜しそうに離して、カブランさんの顔を見て言いました。

 恐ろしい顔をした猛獣のようなカブランさんですが、目に涙を一杯ためてうなずいてくれました。

 ライオンだってトラだって、愛情はあります。

 カブランさんも顔は恐ろしいのですが、優しい人なのかもしれません。


 私はほっとして、回りの人の顔を見る余裕ができました。

 ゆっくり見回すと、そでで顔をゴシゴシしている人や、涙だけではなく鼻水まで流している人までいます。

 全員、街ですれ違うだけでも体が硬直するくらい恐い顔の人達ですが、私は仲良くしたいと思えてきました。


「おい、誰かー。嬢ちゃんのお母さんをマモリ様のところへ連れて行ってくれー」


 母は、気がつくと上半身を起こしてしまいました。

 パサッとカブランさんがかけてくれた上着が落ちてしまいました。

 それを、見ないように顔を伏せながらカブランさんが言いました。


「俺が行きまーす」

「俺が」

「俺が行く」


 全員が、行きたいみたいです。

 コントを見ているようです。

 なんで、そんなに行きたいのでしょうか。


「じゃあ、オメーとオメーだ。一人は護衛だ、しっかり頼むぞ。後は救助の再開だ」


 カブランさんが、弱そうな人2人を指名しました。

 お母さんは服を着ると、マモリ様のところへおんぶをされて連れて行かれました。


「じゃあ、嬢ちゃん! あの、何でもやってくれるという約束通り、やってもらおうか」


 カブランさんが、恐ろしい顔を近づけて言いました。

 わざと、私をビビらそうとしています。

 うふふ、もうだまされません。


「うふふ、はい。何でもいたします」


 私は、カブランさんのズボンのチャックに手を伸ばしました。


「お、おいっ!! 処女がそんないたずらをしちゃあいけねえぜ!!」


 あの恐ろしい顔のカブランさんがあせっています。

 数歩よろけながら後ずさりをしました。


「ぎゃはははははははーーーーーーーー!!!!!」


 恐い顔の人達が皆で爆笑しました。

 つぼ、だったみたいです。

 こんな暗い無法地帯が、少しだけ明るくなった感じがしました。


「誰かーーっ!! 誰かいませんかーー!! 私達は救助に来ましたーー!! 救助隊の者でぇーーーす!!!! 恐いかも知れませんが、勇気を出して出て来てくださーーい!!」


 私は、ありったけの大きな声で呼びかけます。

 その声を聞くと、王国軍の兵士が集ってきますが、その都度カブランさんとその部下がやっつけてくれます。

 時々飛んでくる矢は、パシッと素手で受け止めてくれます。

 お母さんの足を吹飛ばす威力の矢を、こともなげにつかむのです。


「私を見てくださーーい! 私も助けられた一人でーーす!! ここにいる人達は敵軍より強いでーす!! みなさーーん!! 守ってもらえまーーす!! 出て来てくださーーい!!」


 女の私が声をかけても、疑心暗鬼になって何もかもを恐れている人は中々出て来てくれません。

 恐い顔をした、カブランさん達が声をかけても無駄になるのは当たり前ですね。

 こんな、声がけに出てくるのは私のようなおっちょこちょいだけです。

 でも、どこかで敵の王国軍をやっつけている姿を見ていたのでしょうか、少しずつ出て来てくれる人が現れました。

 少しずつ私達の行列が大きくなります。

 大勢の人が集ると、それが呼び水になるのか、救助を待つ人がドンドン集まり行列が膨れ上がります。

 護衛の人達も、それを見て集まってくれます。

 いつの間にか大集団です。


「本当に大丈夫なのでしょうか?」


 集ってくれたご婦人が聞いて来ます。


「はい」


 私は安心してもらえるように、私の1番の笑顔をお見せします。


「うふふ、とても美しいお嬢さんだね。こんな子を襲わないなら、信用できそうだ。こっちに来て下さい」


 ご婦人に案内された先には、女性ばかりが大勢隠れているところがありました。

 全員、捨てられて雨にうたれた子猫の様に震えていました。

最後までお読み頂きありがとうございます。


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