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勇者はマモリたい  作者: 覧都
第1部

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第百十一話 出陣

 翌朝は、夜が明けきらぬ内に食事を済ませ、日の出と共に地球防衛義勇軍幸魂巨大倉庫支部の大きな駐車場に4000人が整列しています。

 戦国時代なら全員が甲冑を装備しているのですけど、現代にはそんな装備はありません。

 どこで用意したのか迷彩服に防刃装備をし、腰に青竜刀や拳銃を装備しています。

 警察に見つかれば即逮捕です。でも僕は捕まりません。なぜなら、僕はキュートルピンクの格好です。ヒラヒラミニスカートでちょっとはずかしいです。


 動画では、都内及びその周辺の都市からは警察官は姿を消していると言っていました。

 幸魂市も東京都に隣接する都市です。

 警察は姿を消しました。幸魂市はガンネスファミリーの活躍のおかげで住民はほとんど避難がすんでいます。今はゴーストタウンになっています。


 さらに動画では都内で、火災やケガ人が出ても消防車も救急車も、当然警察も来ていませんでした。

 全員、大阪に避難したそうです。残っているのは無辜の民だけのようです。

 都内は、きっと……。

 僕は早く救助にむかいたい気持ちで一杯です。


「全員、行き渡りましたか」


 僕にも盃が渡されました。

 水が満たされているそうです。


「これは、うふふ、なつかしいデェス」


 デェスが盃を見つめます。

 ダニーとズラーも無言で盃を見つめます。


「これは、飲み干したら割るのですよねえ。それはもう戻らない、死にに行くんだという意味になりませんか? 縁起がわるいですよね」


 僕がつぶやくと。


「それは――」


 デェスとノブコの声が一緒になった。

 デェスがノブコにどうぞとジェスチャーで譲った。


「こほん、それでは、簡単に説明いたします。昔、戦国時代のお話です。お城を包囲され、もはや負けを覚悟したお殿様が『このまま戦って負けたら、ここにある盃と酒で敵が祝杯をあげる。それは、くそ面白くないよな』そう言って家臣達に、盃とお酒の入れ物をすべて壊させ、命の限り戦いました。その戦いが奇跡的に勝利に終わったのです。その時以来、盃を割ることが勝ちにつながると縁起を担ぐことになったのです」


「そうですか。この盃を割ることが勝利につながると」


「はい」


「ノブコはすごいですね。僕も社会科の勉強はしたつもりですが、知りませんでした」


「うふふ、たまたま見た事が有っただけです」




「各々方、万事油断無きよう、出陣でござる」


 長官が、全員が盃を持ったのを見て声をだしました。

 長官の顔が少し赤くなっています。

 時代劇のような言い方でした。


「全軍、出陣じゃーーーー!!!!」


 ガンネスが言いました。

 その言葉と共に盃の水を飲み干し、駐車場のアスファルトに盃を叩き付けました。

 盃が割れる音がそろっています。


「うおおおおおおおおおーーーーーーーーぉぉぉぉぉ!!!!!」


 全軍から、喊声があがりました。

 全員右手を高く上げ、左手は首にさげた小さな袋を握りしめています。


 最初に巨大倉庫の門を出たのは僕達国民救助義勇隊です。

 王国軍の予想進路をさけて、少し遠回りをしながら都内へ向います。

 僕の横には、ユウキとエイリとミミイさんがいます。心強いですね。

 ユウキとエイリはキュートルスリーのコスチュームに変身しています。

 なぜか、2人は男装です。くどいようですが僕はキュートルピンクで女装です。

 おかしいでしょう!!


 僕達の後ろには、一番隊のコングが続きますが、コングはミミイさんがいなくなるので、鬼の姿のままで先頭を歩きます。

 既に黒装をしているので、黒くて長い角の付いた兜をかぶり、黒い甲冑を付けているように見えます。

 コングには油断はないようです。

 滅茶苦茶強そうで、恐ろしいです。体のまわりに黒いオーラの様な物まで見えます。

 戦う王国軍が可哀想になります。






「お母さん、恐い」


「智子。大丈夫、大丈夫だからね。お母さんが付いていますからね……」


 お母さんは私の体を抱きしめますが、その手が震えています。

 生徒会長の私はあの日、いつもの様に幸魂女学園へ行きました。

 でも、学校につくと早々に、理事長の緊急放送が始まります。

 放送では「日本が外国に宣戦を布告されました。総理はそれを受領しました。日本ではこれより戦争が始まります。家族と共に避難するように、学校は今日から連絡するまでお休みです」と言われました。でも、家に帰るとテレビではその様なことは何も放送されていませんでした。


 私の家では、YHKことヤマト放送協会のテレビしか視聴を許されていませんでした。

 その日も家に帰るとYHKで何のことかとすぐに確認しました。

 全く変わりない、日常の放送しかしていませんでした。

 戦争の事などまるで放送されていません。

 母は、私が臨時休校で休みだとわかると、たまっている有給を使い一緒にいるようにしてくれました。

 そして、今日は都内の繁華街に買い物に来たのです。

 街は平日なので人は少ないと感じました。


「うぎゃあああぁぁぁーーーーっっ!!!!」


 突然、断末魔の叫びのような声が聞こえました。

 ショーウインドウが割れる音と、壁が崩れる音がします。

 奥の柱で止まった物は矢でした。

 大砲のような破壊力です。

 一発の矢で、大勢の人が怪我をしています。

 倒れて、うなっている人が大勢います。

 それだけではありません、直撃した人はバラバラになっています。


「おい、あんた達、何をやっている。もうここは軍隊が来ているぞ。なんで避難していないんだ」


 腕に「報道」と腕章をした人が言いました。

 手にカメラを持っています。


「あの、何が起きているのですか?」


「はあぁーーっ!? あんた達は配信動画を見ていないのか?」


「はい。家ではYHKしか見ません」


 母が言いました。


「まじか! 古代生物のような人だなあ。YHKが1番信用できねえ放送局だぞ。あそこは政府の言いなりの放送をするからなあ。それなら税金で放送しろって言いたいね俺は。まあ、配信動画も9割が嘘っぱちだけどね。ただ、ライブ配信は結構本物だ。これを見な」


 報道の腕章をした男性が、携帯端末を見せてくれました。

 そこには、軍隊に同行しているライブ動画が配信されています。

 携帯端末の画面に、私達がいるお店が今まさに映し出されました。

 その前を、中世の西洋のような甲冑を着た軍隊が行進しています。

 弓隊が、時々弓を射る姿が映ります。


「きゃっ」


 母と私が小さく悲鳴を上げて頭を押さえました。

 携帯端末の中で射られた矢が、私達の頭の上を飛んで行きました。


「これは、現実なのですね」


「ふふふ、それ以外だと思うのなら、そう思うと良いんじゃないか。奴らは、今は余裕がない。外から見えなければ、攻撃されることはないだろう。それじゃあな。おーーい。俺は動画配信者だーー!!」


 男の人は腕章を見せながら叫びました。

 男の人に矢が飛んでくることはありませんでした。

 それを、少し離れた所で見ていた人達が真似をして、手を振って外に向いました。

 でも、その人達は腕章がありません。


「うぎゃあああぁぁぁーーーーーーーーー!!!!」


 悲鳴と共に、姿が見えなくなりました。

 沢山の矢が放たれたようです。

 私は母に捕まって震えました。


「智子、よく聞いて、あなた一人で逃げるのです」


「えっ??」


 母は急に何を言い出すのでしょう。


「ああっ!!」


 私は全身に鳥肌が立ちました。

 歯がガチガチ鳴ります。

 母の左足がすねの真ん中から無くなっています。

 そこから血が噴き出しています。


「そ、そんなあぁーー」


 一瞬で目の前が水の中のように、にじんで見えます。

最後までお読み頂きありがとうございます。


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