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勇者はマモリたい  作者: 覧都
第1部

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第九十四話 勇者の剣

 橋の表示が終わると、そこに部隊が表示されます。

 王国軍を赤にして、義勇軍を青にしてあります。

 3つの橋の中央が国道で、ここに主力が来るのでしょう。


「王国軍は約8000人、対する義勇軍は約4000人です」


 シノブさんがパソコンを操作しながら言いました。

 画面に赤い矢印が出て来て王国軍の予想される進み方が表示されました。


「マモリちゃんや、どうじゃろうもう少しチンコ玉を増やしてみては」


「はい。僕もそれは考えましたが問題は魔力なのです。情けないことに今の僕の持っている魔力に対して、現状、常に消費している魔力が膨大になりすぎています。今の僕の魔力ではこの状態が1日で回復する量のギリギリ限界量です。これ以上使うことは、魔力の枯渇につながります」


「いいえ、情けなくなどありません。これだけの魔法が使えるなど、すでに神の領域です」


 リリイさんが悲しげな表情で言いました。

 ミミイさんもしきりにうなずいてくれます。


「ふむ、なるほどのう。して、魔力が枯渇すると、どうなるのかのう。まさか死んでしまうのか?」


「ふふっ、いいえ。死にはしませんが、全員の魔法が解けてしまって、魔法のない状態が続きます。そんな所を攻撃されればひとたまりも有りません」


「なるほどのう」


「でも、安心して下さい。王国軍は全く本気を出していません。油断している王国軍には、どう転んでも負けることはないでしょう」


「本気では無いじゃと」


「はい。本気なら部隊に魔導師も同行するはずです。火魔法や氷魔法、風魔法など、戦車の大砲に匹敵する攻撃をしてきます。それに、小さな貧しい島国とあなどっているのか、兵士もあまり質がよくありません。義勇軍の負けはつゆほども無いでしょう。これは僕の油断ではなく正しい分析だと思います」


「ふむ、なるほどのう。理解した」


「では、皆さん! ノブコの言ったように、万事抜かりなく準備を御願いします。詳細はノブコ、あなたが指示をして下さい。落とす橋にはユウキとエイリが向って下さい。到着したら僕を呼んで下さい」


 僕が言い終わると、ゾロゾロと皆が部屋を後にします。


「ふっ、ふぁっ!! マモリさまーー!!!! 会いたかったーー!!」


 シノブさんが急に僕の後ろから抱きついて来ました。

 大きな胸が背中に当たっています。


「お、お姉様!! 何をするのですか、マモリ様は男性ですよ」


「あら、金玉を二つとも渡しているのなら、もはや男性ではありませんわ」


「えっ!?」


 ガンネスとファルコンに渡しているのは、僕の金玉ではありませんよ。


「それに、男の子でもこれだけ可愛ければ大丈夫でーす。うふふ、夏休みに妹から自慢話を聞かされていて、とても会いたかったのです。想像以上の可愛さです。おうちで、かざりたーーい」


 シノブさんはそう言うとギュッと抱きしめてくれました。


「そ、そうですか」


 香水を付けているのか良い香りがします。


「それと、妹を信頼して下さいましてありがとうございます。妹は私の目から見ても頭が飛び抜けて良いと思います。学園でも成績は常に1番ですのよ。自慢の妹です」


「えーーっ!! ノブコちゃんが1番だったのー!」


 ユウキが、言いました。

 そういえば、ユウキの成績はずっと二番でした。

 シノブさんが抱きついているのが気になるのか、部屋を出られないでいます。


「お姉様! 抱きつきながら、そう言うことを言わないで下さい」


 ノブコが真っ赤な顔をして言いました。

 そして、シノブさんはユウキとノブコに両手を引っ張られて僕から引きはがされました。


「僕も外の空気を吸ってきます」


 そう言って、長官とシノブさんとノブコを部屋に残して外に出ました。

 ユウキが僕の隣を歩いています。


「神様、行ってきます」


 倉庫の外に出ると、ユウキが言いました。


「うん、転ばないように気を付けてね」


 ユウキは少しほっぺたをふくらましました。

 そして走り出すと、途中で止まって僕を振り返ります。

 はぁーーっ、安土のお山が思い出されます。

 もう一度、ユウキと出会ったばかりの頃に戻りたい。

 そんなことを思いました。


 巨大倉庫の外には、同じく巨大な駐車場があります。

 僕は駐車場の隅にしゃがんで、全体を見渡しました。

 心が沈む僕を元気付けるかのように、風が後ろから吹き付けます。

 前に進めとでも言いたいのでしょうか。




 しばらく、風の言うことを聞かずにしゃがみ込んだままでいました。


「すーーっ、はーーーーーっ」


 大きく息を吸って立ち上がります。

 立ち上がるとそれを、一気に全部吐き出しました。

 そして、目を閉じて勇者だった頃を思い出して、両手で1本の剣を持っている姿を思い浮かべます。

 僕は、そのイメージの剣を持って構えました。

 イメージする剣は、僕とずっと一緒に戦ってきた女神エイルフの勇者の剣です。


「ふゅっ!!」


 素早く口から空気を吐き出し、イメージの勇者の剣を横から弧を描くように振り抜きました。

 ビュウゥゥゥーーーー!! と、風が起きます。

 さっきまで僕を押していた風よりも強い風が、駐車場の埃を全部吹き飛ばしてしまいました。


「すっ、すさまじいですなーー。手に剣を持たないままでその威力ですか」


 僕の後ろから声がしました。


「ヒサシさん! いたのですか」


「ええ、いたのですが、なかなか声をかけづらい雰囲気でしたので」


「ふふふ、この世界では、剣など振るうのはいやだなあ、と思っていましたが覚悟を決めました。これが国宝の女神エイルフの勇者の剣です。本当は返さないといけなかったのですが、返すのを忘れて持って来てしまいました。見てみますか?」


 僕は、魔法で収納していた勇者の剣を出して、ヒサシさんに渡しました。


「おお、なんと軽い。鳥の羽毛の様ですなあ」


「くすっ、そこまでは軽くありませんが、見た目からするともっと重くてもいいはずですが軽いです」


「そして、美しい」


 ヒサシさんは剣の柄を握ると僕の顔を見てきた。

 抜いてもいいですかと目が言っている。

 僕は笑顔でうなずいた。


 ヒサシさんは鞘から剣を抜くと鞘を僕に返してくれました。

 そして、剣を振りかぶりました。


「美しいですね」


 僕は、つい口から出てしまった。

 それほどヒサシさんの素振りはとても美しかった。

 はじめて振ったはずなのに、見事に剣が振り抜かれている。そのため剣が風を切りさき真空を作り、勢いよく空気が剣の後ろに吸い込まれる。

 びゅーーっと風がおこった。


「子供の頃からずっと木刀を振っていました。九州は武道が盛んで私も朝から晩まで素振りをしたものです」


 ヒサシさんは懐かしそうな顔をすると、剣を鞘に戻して僕に返してくれました。

 きっと、ヒサシさんも剣で色々な事があったのでしょう。

 僕の我流の癖の強い剣と違って、美しい形でした。


「あっ、エイリが呼んでいます。ヒサシさんも同行されますか」


「ご一緒してもよろしいのですか?」


 僕は、笑顔でうなずいた。

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