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勇者はマモリたい  作者: 覧都
第1部

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第九十一話 悲劇の開幕

 地球防衛義勇軍の幸魂支部こと、幸魂女学園の軽音部部室に戻った僕達は、のんびりテレビと配信動画を見ています。

 テレビは八州テレビ以外のテレビ局は、相変わらず何事も無いように通常運転です。


 それどころか、元大物アイドルのスキャンダルが新しく発覚し、そればかりを放送しはじめました。

 なんでこう都合良く、大きな知られたく無いニュースがあるときに発覚するのでしょうか。


「神様、八州テレビを見てください」


 ユウキが僕を呼びました。

 そう言えば、いつの間にかユウキは昔のように僕を神様と呼び始めました。

 懐かしいのですが恐れ多いです。

 テレビのスピーカーから爆音が聞こえます。

 いったい何事でしょう。


「ひゃーっはっはっ!! コスプレ野郎どもー!! テロリスト旧仲信作をだしゃーがれーー!!」

「ぐわーはっはっはっ!! ここにいるのはわかっている。だしゃーがれーー」

「これで、10億円ゲットとは楽な話だぜー!!」

「旧仲ーー!! 隠れてねーで出てこーーい!!」


 暴走族のようなバイクと黒塗りの大きな車が集っています。

 全員が乗り物から降りると、手にバールや鉄パイプ、バットやゴルフクラブなどを持っています。

 拳銃や日本刀を持っている人もいます。

 全員恐ろしい顔をした人ばかりです。

 大勢いますね。これじゃあ10億円でも分けたら少しになりますよ。

 命をかける価値があるのでしょうか。


「弓隊!! かまえーー!!」


「ひゃーっはっはっ!! 女、子供も倒せないそんなへなちょこ矢、何もこわくないぞーー!!」

「ひゃーははーー!! そうだ、そうだーー!!」


 この人達は、知らないようですね。

 あの矢が戦車の装甲を貫くことを。

 全員がダラダラと歩いて、国会議事堂の前に整列している王国軍に近づきます。

 だいたい、そこには信作じいさんは居ませんよ。

 だって、ここにいるのですから。


 八州テレビも動画も、カメラをズラして画面に近づく男達を映しません。

 もう、テレビクルーも動画配信者も結果がわかっているみたいです。


「てぇーーーーーっ!!!!」


 弓隊の隊長の姿が映し出されました。


「うぎゃあぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!」


 断末魔の声が聞こえます。

 でも、画面は集った男達を映しません、いいえ映せないのでしょう。

 すぐに、声は何もしなくなりました。


「これは、僕達のせいですね」


 僕は暗い気持ちになりました。

 あの矢を僕達が簡単に防いでしまったのですから、勘違いがあるのは当たり前です。

 きっとあの人達は画面に映せないほど無残に、バラバラになっていることでしょう。


「マモリちゃんや、悲しむ必要はないぞ。自業自得じゃ。そんなことではこれから先、起る悲劇に耐えられないぞ。しっかりするんじゃ!!」


 そういえば僕は、こんな事には慣れていたはずです。

 ずっと、戦乱の中にいたのですから。

 でもユウキとの、やさしい時間で忘れてしまったようです。

 そうですね。忘れることが出来ていました。

 ふふふ、でも、思い出させようとするのですね。

 忘れたままでいたかったのに…………


「おや?」


 信作じいさんが、テレビの映像を見て言いました。

 八州テレビの映像に自衛隊が映ります。

 緊張した面持ちで白い旗を掲げ、王国軍に近づきます。

 使者でしょうか。

 王国軍も受け入れ何かを話します。


 使者が、頭の上で大きく輪を作りました。

 それを見ると、死角からトラックが入って来ました。


「けっして粗末に扱うなーー!! 丁重に乗せるんだーー!!」


 隊長でしょうか叫び声が聞こえます。


「ふむ、遺体の収容をするようじゃのう。いつまで続くのかのう」


 八州テレビの画面は全体をぼかして、うっすら見えるようにしています。

 道路に倒れている自衛隊員を一人ずつ丁寧に運んで荷台に乗せていきます。

 日本国民を守ろうとした英霊になるのでしょうね。

 でも、信作じいさんの表情は暗いです。


「どうしたのですか?」


 僕は信作じいさんの暗い表情が気になって質問しました。


「ふふふ、今の防衛大臣も総理大臣も戦争を知らん。まあ、わしも戦争が終わって間もない頃に生まれただけで、戦争そのものは知らん。じゃが身近に色々聞いておる。ふふふ、インパールに親戚が指揮官として行っておった。死んでしまったがのう。あれは酷かったようじゃ。最後にはほとんどが死んでしまった。遺体の収容も出来ずにのう。数万の日本軍が撤退した後には、遺体が放置され白骨街道と呼ばれたそうじゃ」


「そっ、そうですか」


 ううっ、聞かなければよかった。


「ふふふ、命令を出す者が暗愚ならこの戦争も酷い有様になるじゃろうて」


「すでに、この時点で国民に避難を呼びかけないなんて政府は何を考えているのでしょうか」


「ふふふ、恐らく増税じゃろうな」


 信作じいさんは、政府がこの時点でもなお増税しか考えていないと思っているようです。






 王国軍は、数日動きはありませんでした。

 ノブコの時間稼ぎの策のおかげか足止めはうまくいったようです。

 今の日本なら、数時間で鹿児島だって沖縄だって北海道だって行けます。

 日本人は、都内から誰もいなくなるはずです。


 でも、そうはならなかったのです。

 上級国民で残っている人はいませんが、多くの人は普通の生活をしています。

 いまだに、国会議事堂近くのコンビニがやっています。

 それでも、避難した人はゼロではありません。

 かなりの人が避難しています。

 外国ではパニックになり、道路が大渋滞になったり空港が閉鎖されたり大変な事態になっていますが、日本は驚くほどおだやかです。


「カメラはこれか?」


 八州テレビの画面に司令官の顔がアップで映し出されました。

 司令官はあれだけ痛めつけたのに、ケガは全快しているようです。

 優秀な治癒魔法使いがいるようですね。


「はい、都内には映っています」


 八州テレビのレポーターがこたえました。


「うむ」


 司令官は騎馬の上で姿勢を正すと大きく息を吸いました。


「全軍! 進軍開始せよ!」


 司令官が声を出しました。

 大きく息を吸った割には想像より小さな声でした。


「ぜんぐうーーーーん!!!! しんぐうーーーーん!! かいしぃーーい!!!!」


 各部隊の隊長が部隊をすすめます。

 いよいよ悲劇の開幕です。

最後までお読み頂きありがとうございます。


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