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勇者はマモリたい  作者: 覧都
第1部

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第五十六話 作法

「マモリ様!」


 三狂獣がそろって、マモリ様を呼びました。


「はい、何ですか?」


 マモリ様が返事をすると、三狂獣は顔を見合わせてアスランがうなずきました。


「へい、この後の予定は決まっていますか?」


 アスランは三狂獣を代表して質問しました。


「いいえ」


「ではでは、食事でもいかがですか?」


 三狂獣がとてもうれしそうにしています。

 こんな顔をされては、マモリ様が断れる訳がありませんね。


「はい。でも、リリイさんも一緒です」


「もちろんです。お客人もどうぞ」


 ヒサシは黙って頭を下げた。


「あ、そうだ。食後にはリリイさんにバニラアイスも付けて下さい」


「へい、わかりました」


 マモリ様は三狂獣に案内されて、倉庫の食堂に案内されました。

 一度に百人くらいが入れそうな広い食堂の大きな机に六人が座りました。

 アスランとカブランが並んで座り、その向かい側にクート、マモリ様、リリイさん、ヒサシの順で並んで座っている。


「おまたせ」


 食堂のおばさんがお盆を運んで来ました。

 お盆には、焼き魚、お味噌汁、お漬物二切れ、大きな丼に山盛りのご飯がのっています。

 それが、マモリ様とリリイとヒサシの前におかれました。


「どうぞ遠慮無くお召し上がり下さい」


 準備が終わるとおばさんが言いました。


「いただきまーーす!!」

「いただきまーーすぅ!!」

「ご厚情に預からせて頂きます」


 マモリ様とリリイとヒサシがそれぞれ同時に言いました。

 ヒサシは言い終わると、懐から懐紙を出してお盆の横に置きます。

 マモリ様とリリイは笑顔でモリモリ食べ始めました。

 アスランとカブランの視線はマモリ様に向いていますが、視角の端にはヒサシを入れているようです。

 マモリ様を見ているふりをして、ヒサシに気付かれないようにヒサシを見ているような感じです。

 ヒサシは懐紙の上に魚のヒレを取りそこに置きました。


「おかわりーー!!」

「おかわりですぅーー!!」


 マモリ様とリリイは丼に山盛りのご飯を、すぐに綺麗に食べ終わり丼を上にあげてお替わりと言いました。

 ヒサシは丼の山盛りご飯の中央に穴を開けて食べると、その真ん中だけ食べた丼をおばさんに渡しました。


「作法にかなったお替わりありがとうございます」


 アスランはヒサシに言いました。

 アスランとカブラン、クートが満足そうにうなずいています。


「どうぞ」


 おばさんは、再び山盛りのご飯の丼を三人に戻しました。

 ヒサシは、山盛りに戻してもらったご飯を食べ終わると、同じく食べ終わった魚の骨を懐紙の上に置こうとします。


「ヒサシさん、それ食べないのですか?」


「へ、へい」


「じゃあ、僕がもらうよ」


 そう言うと、マモリ様はヒサシの残した魚の骨をもらって、頭から食べてしまいました。

 ついでに懐紙の上の魚のヒレまでもらって食べます。


「うふふ、生き物は全部食べてあげないとね。僕はなるべく残さないように食べるんだ。熊とか鹿も骨まで食べるよ。でもさすがに毛皮は食べられ無いね」


 マモリ様は魚の骨とヒレを満足そうに食べおわると言いました。


「くまーー!?」


 アスランとカブラン、クートだけでは無く、周りにいたおばさんまで驚いています。


「手厚きおもてなしありがとうございます」


 ヒサシは米粒一つ残していない丼や皿など、綺麗に食べ終わった食器を重ねてひとまとめにして言いました。


「何のお構いもできませんでした」


 アスランがそう言うと頭を下げました。

 マモリ様はその一連が何かの作法だと気が付いたようです。

 一瞬だけ、アスランとヒサシを鋭い目で見ました。


「クート。リリイさんにアイスと、僕にはクートの入れたたっぷりのホットミルクをお願いします」


 マモリ様に言われるとクートは厨房に消えました。

 そして、クートはお盆に大きなマグカップと少し溶けたバニラアイスを持って来ました。


「すみません、アスランさん。少し来て頂けますか」


「ちっ!! どうした。せっかくマモリ様がいるのによう」


 何かが倉庫のほうで、起きたみたいです。

 ガンネスファミリーの若い衆がアスランを呼びに来ました。


「す、すみません」


 若い衆は頭を下げます。


「しょうがねえなあ。クート後は頼む」


 アスランとカブランが席を立ちました。


「私も行きましょう」


 ヒサシも席を立ちます。


「お客人、すまねえなあ」


 アスランはそう言うと三人で食堂を後にします。


「うふふ、僕はクートが入れたこの甘いホットミルクが一番好きなんだ。とってもおいしい」


「ありがとうございます。ひとつまみ海水から作った自然塩が隠し味でいれてあるのです」


 クートはうれしそうに笑顔になりました。

 強面のクートが笑顔になるとギャップでかわいく感じますね。

 マモリ様は、きっと塩味が好きなのでしょうね。


「クートはやさしいですね。隠し味は言わなくても良いのに」


「ふふ、でもありません。塩の銘柄は秘密です」


 クートは良い笑顔で言いました。


「バニラアイスもおいしいですぅ」


 少し溶けているのがリリイは気に入ったのかとても喜んでいます。

 クートは自己紹介をちゃんと聞いていて、バニラアイスを少し溶かして準備をしていたようです。


「そう言えばさっき、作法と言っていましたけど、あれは何ですか?」


「ああ、あれですか。あれは渡世人の食事の古い作法です。もう知っている人も少ないのですが、それだけに知っている人は筋金入りの渡世人と言うことになります」


「へーー。その作法を聞いても良いですか?」


「もちろんです。説明いたしましょう。まず、ご飯ですが、渡世人は二杯が決りです。一杯では仏様と同じなのでよくありません。三杯は厚かましい遠慮が無いと言うことになります」


「ふーーん、よかった二杯にしておいて、三杯食べようか迷ったんだ」


「私もですぅ」


「ふふふ、マモリ様もリリイ様も、渡世人ではありませんから、遠慮しなくて良いですよ。何杯でも食べて下さい」


「でも、そういえば、ヒサシさんは全部食べていませんでした」


「良く見ていますね。そうです。あの丼は巨大です。普通の人は一杯で満腹になる量で、お替わりをしたら食べきれません。渡世人の作法では出された物は全部食べきらないといけません。そこで真ん中だけ一口だけ食べてお替わりをするのです。それをもう一度山盛りにして、二杯目とするのです」


「なるほど、そうですか」


 だからあの時、アスランは「作法にかなったお替わりありがとうございます」と言ったんですね。


「はい。そして、魚ですが、あれはわざと魚を出しています。骨を残してそれをどうするのかを見ているのです。先程も言いましたが渡世人は出された物は全部綺麗に食べなくてはいけません。出来ないときは懐紙のなどに包んでいったん持ち帰るのです。持ち帰ってから捨てるのです。それが出来るのか見ているのです」


「ふーーん」


「マモリ様もリリイ様も頭から尻尾まで全部食べたので作法にはかなっています」


「じゃあ、僕とリリイも合格ですね」


「いいえ、リリイ様は合格ですがマモリ様は不合格です」


「えぇーーっ」


「『えぇーーっ』じゃありません。人の残したものを食べるなんて、普通の作法でも駄目です」


「そっか、でも僕はもったいないことをする方が作法にかなっていないと思います」


「ふふふ、マモリ様の作法では、もったいないことがいけない事と言うことですね」


 会話はまだ続きそうですが、アスランが気になります。

 少し見て来ましょう。

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