表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者はマモリたい  作者: 覧都
第1部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/172

第二十八話 元気のない笑顔

 男達はいい表情で外にむかって走り出します。


「おいっ!! おめー達!! あわてるんじゃねえ!!」


 ボスが勢いを止めるように声をかけました。

 いけませんね、せっかく高まった士気に冷や水をかけます。


「っ!?」


 扉に走っている男達が立ち止まり振り返ります。


「手ブラで、どうするんでえ!! えものを持たねえか!!」


 男達は無意識の内に神様に全てを委ねてしまったようです。

 そうですね。あんな物を見せられれば、神様一人で勝てそうです。

 なんなら、おもちゃの弓の攻撃だけで全員を倒してしまいそうです。


「へへへっ」


 男達が赤い顔をして、照れ笑いをしながら戻って来ました。

 どの男の表情からも、さっきまでの負けるかも知れないという緊張感は消えています。


「ふーっ、これで良し。僕はためしたいことがあったんですよねぇ。僕を神様と言ってくれる人達には使えないし、どうしようかと思っていました」


 神様は、武器を手に持つ男達を見ながら独り言を言っています。

 やはり神様は、この人達を行く気にさせるよう仕向けていたようです。

 試したいこととは、一体なんなんでしょうか?


「えっ!?」


 ボスがそれを聞いて驚いた表情で神様を見ました。

 神様はここで何をためそうとしていたのでしょうか。恐いですね。


「あぁーーっ!! ユウキ、エイリ、ノブコ。三人は連れて行きませんよ。危険すぎます。ここで留守番です」


 神様は三人が、鉄砲を手にしている姿を見て驚いた表情で言いました。

 三人は、鉄砲を持ってうれしそうな表情をしていましたが急に残念そうな顔になりました。

 この三人は一体何を考えているのでしょうか。


「えーーーっ!!!」


 しかも、三人は不満そうです。

 屈強な男達が尻込みした場所に、ついて行くつもりだったとは恐ろしい子供達です。


「あのぉー、ここにいても、あまり安全では無いと思います」


 ユウキがいつものように口をとがらせて言いました。


「そうだね。そう言われると僕も少し心配になってきます。皆、小指を出してごらん」


「はい」


 三人は素直に、神様の前に紋章のついた小指の爪をさしだしました。


「これで良し」


 神様は三人の指を覆うように手のひらをかざして言いました。

 三人の黒い小指の紋章が青色に輝いています。


「こ、これは?」


 ノブコが青い紋章を見て目をうるませながら聞きました。

 青く輝く紋章がとても美しくて感動しているようです。


「僕の魔力を少し追加しました。青く輝いている内は防御力が高くなっています。僕のあの矢の攻撃でも防ぐ位の防御力です。どうしても戦わなければいけないときは、戦う意思を示してください。紋章が赤くなって戦闘モードになります。でも紋章の魔力容量の関係で戦闘時間は三分程度です。忘れないで下さい」


「おおっ!!!」


 三人の目がキラキラ輝いています。

 その顔を見て神様の表情がくもります。

 三人そろって残念姫に見えてきます。


「おい、おめー達! 何をしている? おめー達は留守番だ!」


 こっちでもボスから同じ事を言われている人がいます。

 言われたのは、腕が無くなった人と、松葉杖の男です。


「ええっ!?」


「なっ!! 『ええっ!?』じゃねえんだよ! おめー達は足手まといだ。嬢ちゃん三人を守ってやれ! 変な気を起こすんじゃねえぞ!!」


「めっそうもねえ。神様の使徒様に変な気は起こしませんや!! わかりました。俺達がしっかり守って見せますぜ」


 松葉杖の男が少し怒りの表情で言いました。


「うむ、頼んだぞ」


 ボスは安心した様に言いました。


「へい」


「よし!! ヤローども、準備が出来たら出発だーー!!!!」


「おおおおーーーーーっ!!!!!」


 威勢の良い声を聞くと神様は服装を変えました。

 少し動きやすそうな神主のような服と頭には金色の髪飾りをつけています。

 髪飾りは太陽をイメージしているのか、正面に金色の丸い物がありそこに五本の御光の様な物が付いています。


「おおっ!! 日本の神様!!」


 ボスはその姿を見て思わず言いました。


「これは、僕の持つ服の中で一番防御力の高い服です。頭は顔が女性なので髪飾りにしました」


 ニコリと笑うと、男達は頬を赤くしていますが、目に炎の様な物が見えます。

 どうやら男達の闘志にも火がついたようですね。

 私は軍神ではありませんが、こんな顔つきの男達なら加護をしたいと思います。

 こうして、神様と男達は出発しました。

 残るのはユウキ達三人と、腕の無い男と松葉杖の男、そして敵に撃たれて神様から治癒を受けた、現在は失神中の三人の男達だけです。






 男達は、荷台が空の二台のトラックに別れて乗ると、猛スピードで走りだしました。

 トラックが農地を抜けると少し大きめの住宅地が見えてきました。

 神様はうれしそうに目を細めて景色を楽しんでいます。

 車が気に入ったようですね。


「おかしいですね。ここには人の生活の気配がします」


 神様に言われて住宅を注意して見てみると、洗濯物が干されていたりペットの動物がいます。

 そして、ゴミがそこら中に散乱しています。

 悪臭がひどいですね。


「ふふふ、ここはもう日本人は追い出されて、大陸のアジア人の移住が終わっているんでさあ」


 ボスが楽しそうに言いました。


「もともと住んでいた日本人を追い出して、そこに住んだらそれはもう移住ではなくて侵略ではないですか?」


「ふふふ、俺もそう思いますが、日本人はそれを移住と言います。そして、生活保護と言って金まで配ってくれます。間抜けな人種です。くひひ」


 ボスは心底おかしそうに笑っています。


「なるほど、侵略者と移住者を区別していないのですね。日本人とはやさしい人達なのですね。まるで魔人達と同じですね」


 神様は暗い表情をします。

 そう言えば、この前の天界人の元帥ショウダンの話では、人間達が魔人達を虐殺していると言っていました。

 天界でも、移住を許した魔人達が移住してきた人間に侵略されて殺されているということでしょう。

 神様は日本人を魔人に重ね合わせているのでしょうか。


「魔人ねえ……」


 ボスは、神様の魔人という言葉が信じられないという表情をしました。


「住宅地がひどい有様ですね。臭いもひどい」


 神様も悪臭に気がついたみたいです。


「俺達外国人は、この国がどうなろうと知ったこっちゃーありません。嫌になれば故郷に帰れば良いだけですからね。やりたいようにやっているのでしょう。日本人はこんな俺達に何を期待しているのでしょうかね。くひひ」


「このままでは、日本人が気付いた時には、日本人の住む場所が無くなってしまうかも知れませんね」


「あーーはっはっは、大丈夫ですよ。俺達なら保護区を設けて日本人を少しだけ保護してあげますよ。皆殺しにはしません。くひひひ」


 ボスが日本人には勝った気でいるみたいですね。

 勝ち誇ったような嫌な笑いです。


「ボスはやさしいですね」


 神様は言葉とはうらはら、さみしそうに元気のない笑顔で言いました。

 神様の心の中には何があるのでしょうか。

 天界の魔人の事でしょうか。

 それとも侵略されている日本人のことでしょうか。

 ああ、それともいずれ天界人に侵略されるこの世界全ての人の事でしょうか。


「神様、ボスはやめてくだせい。俺にはガンネスという名前があります。そして俺のファミリーはガンネス一家でさあ。神様、どうかガンネスと呼び捨てでお呼びくだせい……」


「ボス、いえガンネス、見えました!!」


 ボスが言い終わるか終わらないかの時に部下の一人が声をかけました。


「てめーが、呼び捨てにするんじゃねえー!!!!!! 神様にいったんだよー!!!! この馬鹿野郎がーー!!」


 部下がボスに強く頭を一発殴られました。

 神様がそれを見ておかしそうに笑っていると、目の前に大きな建物が見えてきます。

 住宅地のはずれの巨大な倉庫のようです。

 巨大な倉庫には黒いモヤのような物が見えます。

 倉庫の窓が目のように見えて倉庫が巨大な顔に見えて来ました。

 それが、不気味に笑っているように見えます。

最後までお読み頂きありがとうございます。


「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「頑張って!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。

何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ