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第百二十二話 魔法昇格

「わ、われは」


 やっと、悪魔のような男が自己紹介をするみたいです。


「んっ、われ?」


 でも、マモリちゃんは一人称が気になったみたいです。


「わ、わたくしは、メイヤと申します」


 どうにも偽名っぽいです。


「で、何をしにここへ来たのですか?」


「……おっ、おめでとうございます」


「はっ??」


 とうとつにおめでとうと言われても、マモリちゃんには何の事か分からないみたいです。

 ですよねー。


「マモリ様の冥界魔法がこの度初級から、下級へ昇格する条件を達成しました。わたくしは、マモリ様が昇格にふさわしいかどうか冥界より審査に来た者です。そして、先程の戦いで審査にも合格し、めでたく下級に昇格です」


「……僕はあなたのような人を、審査員にするような魔法の昇格は望みません。初級のままで結構です」


 マモリちゃんの表情が険しくなり、目が不気味に光ります。

 とても怒っているように感じます。


「あ、あの、下級になるのですよ。下級になれば、冥装が4倍になります。それに、冥界送りの魔法、冥道がマモリ様の判断次第で誰にでも使用出来る様になります」


 それは、誰でも地獄送りに出来るということなのでしょうか。

 恐ろしい力ですね。


「……」


 マモリちゃんは無言のまま全く表情を動かしません。

 メイヤさんが少しあせった表情になりました。


「そ、そうだ、魔力の上限が1段階解放されて飛躍的に上昇します」


 あっ、マモリ様の頬がピクリと動きました。

 きっと、とても魅力的なことなのでしょうね。

 メイヤさんはそれを見逃しませんでした。

 弱々しかった目に少し光が戻りました。

 うわぁっ! 恐ろしい悪魔の顔が戻って来ました。


「さらに、今回は特別です。わたくしだからこそ出来る昇格特典を付けましょう。くっくっく、マモリ様の望みの地獄の亡者を生き返らせましょう」


「な、なんだって!!」


 とうとう、マモリちゃんが驚いた表情をして食いつきました。

 マモリちゃんは誰か生き返らせたい人がいるのでしょうか?


「ふっふっふ、これは、わたくしだからこそ出来る特典です」


 本当でしょうか?

 本当は昇格時には自動的に付く特典なのではないでしょうか。


「それが、本当ならあの方達を生き返らせたい」


 マモリちゃんは、もう生き返らせたい人が決まっているみたいですね。

 メイヤさんが勝ち誇ったような表情になり、目が不気味に強く光りました。

 その顔に、わたしは背筋が寒くなりブルッと震えが来ました。


「あの、マモリ様。ここから先は、お人払いを御願いします」


「ああっ! そうですね。みなさーーん!! 今日の戦いは終わりました。地球防衛義勇軍幸魂支部にもどって、ゆっくり休んでくださーーい!! ガンネス、ファルコンは金玉を誰かに預けて、幹部の方10人とこっちへ来て下さい。僕達は安土の神社の境内に移動します」


 その言葉を聞くと橋の上から義勇軍の皆さんが次々に移動をはじめました。

 言われたとおりにした、ガンネスさんとファルコンさんがそれぞれ幹部10人とマモリちゃんの方へ歩きだしました。






「こ、ここは??」


 わたしは、突然目の前が真っ白になり、どこかの神社の境内に移動しました。


「あーーっ、ちーちゃん。驚かせてすみません。ここは夏祭りの時の神社です。僕が瞬間移動させました」


 よくあたりを見回すと、懐かしい場所でした。

 夏休みに、皆で楽しく夏祭りをした神社です。

 たしかユウキちゃんの故郷の安土山の神社です。

 ここに、移動したのはわたしだけではありません。

 大勢移動しています。

 きっと、マモリ様が考える大切な人達なのでしょう。


 ――あっ!?


 そこにナナちゃんもいます。

 そして、わたしもいます。


 ――うれしい!!


 わたしは思わず涙ぐんでしまいました。

 わたしまで、マモリちゃんの大切な人に入れてもらえているみたいです。


「メイヤ、ここにいる人は皆、僕にとって秘密を共有したい人達です」


「はっ、わかりました」


「では、話を続けましょう」


「はっ」


「この世に生き返らせるというのは、誰でも可能なのですか?」


「もちろん、『冥界にいる者』という条件付きですが」


「で、では、魔王と七剣は、どうでしょうか?」


 ――えーーっ!?


 マモリちゃんが生き返らせたい人とは、魔王なのですか。

 よりによって魔王。


「やはり、魔王は死んでいたデェスか? 誰に殺されたのデェスか?」


「ふむ、ちょっと待て、調べてみる」


 メイヤさんがこめかみに右手の人差し指を当てました。


「ふむ、エイゼンという男だな。圧倒的な強さで魔王を殺してしまった。七剣も一度に7人と戦って殺してしまった。と、とんでも無い男だ!! われが冥装しても勝てないくらいの男だ。こ、こんな男がいるのか。絶対会いたくないな」


「な、なんデェスってーー!! 恐ろしいデェス。あの魔王を殺す……それだけでも恐ろしいのに七剣までぇーー!! 七剣は戦闘能力だけなら魔王より上と言われていたデェース!! デェスも絶対会いたくないデェース!!」


「そ、それで、可能なのですか?」


 マモリちゃんが少しあせって言いました。

 きっと、どうしても生き返らせたいのでしょうね。


「はっ、魔王は天国と地獄の選択で、地獄を選んだようです。ですから可能です」


「おおっ!! でも、なんで地獄を選んだのでしょう。聞いてみたいですね。メイヤ。地獄の人と生き返らせる前に話は出来ますか?」


「はっ! 他の者には出来ませんが、わたくしなら、わたくしであるならば可能であります」


 なんだか、恩着せがましいですね。


「では、魔王の七剣はどうですか?」


 メイヤさんはこめかみに人差し指を付けたままで、目を閉じました。


「七剣は、一人だけ地獄に居ますね。氷のレイゾールトがいます。他の6人は天国と地獄の選択で天国を選んだようです」


「では、そのレイゾールトを生き返らせて下さい」


「はっ! マモリ様。申し訳ありませんが、今のわたくしには、この二人をよみがえらせる事で魔力をすべて消費します。これ以上の復活はさせられません。ご了承下さい」


「そうですか。この二人が復活出来れば言うことはありません、十分です」


「あの、もう一つ申し上げたき事が」


「なんですか。もったいぶらずに言ってください」


「はっ! 生きたまま冥界送りの者はそのまま復活出来ますが、一度死んでいる者は転生という形になります」


「はいっ??」


「はい。ですから、赤ちゃんからやり直しということです」


「な、なな、なんですってーー!!」


「ひーーっ!! すっ、すみません。すみません。ですがこれは、決りです。神界の決りなのです。あっ、でも、わたくしなら……わたくしであるならば、能力か、または、記憶だけなら残したまま転生させることができます」


 またまた恩着せがましいですね。


「えっ、そうですか。さすがはメイヤですね。――能力か記憶。これは本人に決めてもらいましょう。では、メイヤ2人と話させてください」


 マモリちゃんはいつでも素直です。

 そこが素敵ですね。


「はっ、わかりました」


 メイヤさんは両手を天高く上げました。

最後までお読み頂きありがとうございます。


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