第百二十話 幸せそうな表情
それと同時に4人の人がわたし達をかばうように前に出ました。
「あれは、コングさんに、ダニーさん、ズラーさん、デェスちゃん。姫神一族の最強の4人だ」
マーシーさんが、独り言のようにつぶやきました。
わたし達を守ろうと前に出た4人を見ると、悪魔のような男は手から大きな黒いかたまりを飛ばしました。
それが、途中で四つに別れました。
マモリ様は表情を変えずにそれを見つめます。
「いったい、あの男は誰なのでしょうか」
ナナちゃんが聞きました。
「わかりません」
キュートルブルーのユウキちゃんが答えてくれました。
四つに別れた黒いかたまりは、コングさんとダニーさん、ズラーさんとデェスさんの体に近づくと急に帯状になり、急激にスピードをあげてまとわりつきました。
スピードの緩急に惑わされたのか、まとわりつくスピードが早かった為なのか。
4人の体にその黒い帯が付着しました。
いいえ、違いますね。
よけたらわたし達に当たるかも知れません。防いでくれたのだと思います。
「ぐわあああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!」
4人が苦しみの声を上げました。
そして、苦しみに体をくねらせます。
「ああっ!! 魔法を弾き飛ばされたですのぉ」
ミミイさんが驚きの声を出しました。
コングさんの体が巨大になり、真っ黒な体になりました。
頭に巨大な角が生えています。
目が、真っ赤に強く光っています。
ダニーさんとズラーさんとデェスちゃんの体も真っ黒になり、甲羅のある亀、いいえ恐ろしいカッパのような姿になりました。
コングさんと同じように目が、真っ赤で強く光り出しました。
「ふんっ!! 魔法耐性の少ない奴は簡単だな。おい!! お前達! 転がっているバカ共を始末しろ!!」
悪魔のような男が言うと、4人は素早く移動をはじめました。
余りに速い動きのため、目の光が線を引いたように残像が残ります。
「うぎゃあああぁぁぁーーーー!!!!」
倒れている兵士達が次々悲鳴を上げます。
「ほう! 驚くほどの戦闘能力だな。われの冥界魔法の効果で戦闘能力が著しく向上しているとはいえ、これほどとは驚嘆に値する」
4人は悪魔のような男が驚くほど強いようです。
「ぎゃあぁぁぁーー!!」
「がはっ!!」
「ぐええぇぇぇーーーー!!!!」
「がああぁぁーー!!」
黒い鬼と、黒いカッパの3人は次々兵士に襲いかかります。
「さて、次はお前の番だ!! この4人は恐らくわれでも手を焼くほど強いぞ」
4人が、侵略軍の生き残りの兵士を全て倒すと、悪魔のような男の前でこちらを向いて立ちました。
まるで、悪魔のような男の手下の様に赤く光る目で、マモリちゃんを見つめます。
「…………」
マモリちゃんは無言で見つめます。
「よし!! お前達!! あの娘を殺せーーーー!!!!」
悪魔のような男が叫びました。
黒い4人は素早く飛びかかろうと一歩目を踏み出しました。
「くそーー!! 何て奴だ!! なんて命令をしやあがる!! マモリ様の1番の忠臣じゃねえか!! くそっ!! よかったー、今日は配信しなくてーー!!」
マーシーさんが、本当にくやしそうに言いました。
「なっ、なんだと!?」
悪魔のような男が驚きの声をあげました。
黒い4人がマモリちゃんと悪魔のような男の間で動きを止めたのです。
でも悪魔のような男の命令は生きているようで、その体は前に進もうとしています。
それを、なにか別の力が押さえつけているようにみえます。
体がガタガタ震えています。
「これは、いけませんねえ。あなたの精神支配は強力なようです」
マモリちゃんが、無表情で言いました。
「くそっ!! なんて奴らだ!! まだ自我があるのか!! さっさとやれーー!!」
悪魔のような男はさらに命令をかぶせました。
その命令すらも黒い4人は押し返そうと頑張っているようです。
体の震えが大きくなりました。
黒い4人の口から泡が出て来ました。
「ふふふ、これでは、僕の大切な仲間が死んでしまいますね」
「無駄だ。われにはお前の冥界魔法は効かない!」
マモリちゃんは、何かを悪魔のような男に仕掛けたみたいです。
でも、効かなかったようです。
「そうですか。僕が暗黒魔法と呼んでいるのは、正式には冥界魔法というのですか。あなたは僕の冥界魔法より上位の冥界魔法が使えるようですね」
「さすがだな。すぐに理解したか。どうだ降参するか?」
「いいえ。まだ、方法があります」
「なにっ!?」
「コング、ダニー、ズラー、デェス。たまには、あなた達の本気を見て見たいです。さっきの動きを見ていましたが、その動きなら4人同時でも僕は大丈夫です。攻撃して来てください」
「なんだと!?」
「がぁーーああ!!」
黒い4人が、何かから解放されたようにマモリちゃんに襲いかかります。
「なっ、なにーーっ!!」
悪魔のような男が驚きます。
黒い4人を子供の様にあしらうマモリちゃんに驚いているようです。
「ふふっ! この4人は戦闘特化です。特にコングは魔法をいっさい使えません。普通は魔法を使える者とペアで行動します。そんな4人の攻撃なら、素直ですから僕には当たりませんよ」
「すげーーっ!! 話しながら全部よけている。あの4人の攻撃はもはや漫画レベルなのに。それを、軽々とよけている。マモリ様はここまですごいのか」
マーシーさんが、まばたきを忘れて見入っています。
この人は、格闘の解説をするほどの人です。
その専門家から見ても、マモリちゃんはすごすぎるようです。
「ふふふっ、でもさすがに4人の攻撃をよけるのは疲れますねえ」
マモリちゃんのほおに汗が一筋流れ落ちました。
本当に疲れているようです。
「ぐはあぁぁぁぁーーーーーー!!!!」
同時に、いいえ、手は2本なのですから同時は無いはずですが、3人が吹飛びました。
体がオランダの風車の様に回転しながら吹飛びました。
どうやったのかは、わかりませんが1人の黒いカッパだけは、マモリちゃんに抱きかかえられています。でも、その目から赤い光は消えています。体からは黒いモヤが立ちのぼり、緑色の体が出て来ました。
風車のように吹飛んだ3人は、悪魔のような男が立っている丘にむかっています。
そして、丘に突っ込みました。
丘がまるで爆発したように吹飛びます。
悪魔のような男は、丘が吹飛ぶ前に宙に浮かびその様子を見下ろしています。
「やあ、デェス。おかえり」
「あら、あらら、マモリ様はとうとう私がわかるようになったデェスか?」
「そりゃあね。デェスのハゲは1番小さいからね」
「むっきーー!! デェーーーース!!!!」
なんだか、助けられたデェスさんが怒っています。
でも、胸が大きい人間の姿になったデェスさんの表情は幸せそうです。
最後までお読み頂きありがとうございます。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「頑張って!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。