第十一話 僕が神様です
「おい、あれを見ろ!!」
タクシーから降りているユウキの姿を見つけて驚いている男が居ます。
「なんだありゃあ!!」
「すげーー!!!!」
「日本人にあんな美形がいるのかよ。はじめて見たぜ」
全員、鼻が高くほりが深い髭面の体の大きい男達です。
半袖のシャツからはみ出した腕には毛がびっしり生えています。
どうやら外国人の四人組のようです。
「ひひひっ、あれなら十二才ってことはねえだろう」
四人の中で一番からだが小さい男がいいました。
ユウキの制服が、高校の制服だと気がついているようです。
「あれは、おめえがやったのか?」
驚いた表情で一番体の大きいリーダーのような男が言いました。
「馬鹿を言うな! おれがやった奴は、しっかり脅しを入れて置いたから泣き寝入りをしているはずさ」
「ちっ、結局やっているんじゃねえか! 日本人には殺し以外、何をしても良いと上から言われているとはいえ、それはおめえやり過ぎだろー」
リーダーがあきれたように小さい男に言いました
「あいつら、やるのだって同じ様なもんでしょう。まだ餓鬼ですぜ」
少し頭がはげている男が、ユウキ達を見て言いました。
「ちげぇーねー!!!! ひゃぁはっはっはーーっ!!!!」
はげた男以外の男達が笑います。
「良く見りゃあ、一番の美人以外も、かなりの美人だ。今回はあたりだぜ」
一番毛深い男が言いました。
「いいか、逃げられるなよ。全員気持ちがよくなるまでとことんやるんだ。そうすりゃあ、日本人は泣き寝入りする。だが……」
リーダーが言いました。
「ひひひ、もし警察に被害届を出されて、捕まったら、日本語がわからないふりをするんでしょ」
一番背の低い男が日本語で言いました。
この外国人達は、全員日本語で話しています。
「そして、日本語を話さず、俺達の住むところでは、同意の時は大声をだす。拒否の時は無言で首を振る。あいつらが声を出すから同意をしていたと主張するんでしょ。分かっていますよ」
はげた男が言いました。
「ふふふ、文化の違いってことで不起訴だ。ちょろいもんだぜ」
小さい男が、舌なめずりをして、おぞましい顔をしてユウキ達を見ました。
「俺達が治安を悪化させているおかげで、日本人がこの町からドンドン逃げ出しているそうだ。悲願の俺達の国が作れるんじゃねえのか」
一番毛深い男が言いました。
「そうだな、本国じゃあ俺達がそんなことをしたら、その場で撃ち殺される。日本は平和ボケして俺達みてえなもんを移民させて何がしたいんだ?」
はげた男がいいます。
「日本の政治家は大半が国民の事を考えていねえと聞いた。反日の国からワイロをもらっている奴が多いから、移民を止められねえんだとよ。まあ、俺達はそんなことは気にせず好き放題やってりゃあいいってことよ。移民は何をしても不起訴だ。捕まって実刑を受けるような奴はそうとうなドジか間抜けだけだ」
どうやら性暴力の常習犯です。
十二才の少女まで毒牙にかけた悪党のようです。
ユウキ達はとんでも無い奴らに目を付けられてしまったようです。
「うふふ」
ユウキは先に降りたエイリの顔を見つめて可愛い笑顔で笑っています。
「と、尊い」
続いて降りてきたノブコが小さな声でつぶやきました。
「どうしたのユウキさん。上機嫌ね」
そう言いながら、エイリが鋭い視線でノブコをにらみ付けました。
「うふふ、だってぇー、初めてお友達とお出かけですものー。うれしくってーー。きゃっ!!!!」
ユウキが可愛い声で悲鳴を上げました。
どうやら、はげた外国人にぶつかってしまった様です。
いいえ、はげた男が自分からぶつかったのです。
「おいおい、いてーじゃねえーか」
「きゃああああぁぁぁーーーーーー!!!!!!」
エイリとノブコも、四人の中では一番小さい男と、毛深い男に捕まりました。
腕を後ろ手に捕まれ、グイグイひねり上げられています。
「い、いたい……」
相当痛いのでしょう。エイリとノブコは涙目になっています。
回りには人が大勢いますが、ニヤニヤしているだけで助けようとはしません。
日本人の様な見た目の人もいますが、日本人では無いのかもしれません。
タクシーは、それを見て素早く発進してしまいました。
この街では、このようなことが日常茶飯事なのでしょうか。
下手な正義心はケガのもと、そういうことなのでしょう。
さっきの話では、殺される事はないと思いますが、何をされてしまうのでしょうか。
「うっ、うっ、ううう……神様……」
ユウキが小さな涙声でつぶやきます。
「ユ、ユウキさん、こんな時までそんな事をいっているんですか」
エイリは、ユウキの声が聞こえたのか目をつり上げて、あきれたように語気を強めて言いました。
ノブコは何も言いませんでしたが、やはり、あきれたような表情をしています。
「かみさまぁぁーー!! 助けて下さぁーーいぃぃ!!!!」
ユウキはエイリの言葉が聞こえたのか、聞こえていないのか、大きな声を出して続けました。
ユウキは捕まれていない方の手の小指の爪を三回足に擦りつけました。
すると、回りにいる人達の視力がうばわれ、一瞬真っ白になり何も見えなくなりました。
「うぎゃああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!!!」
ユウキの手をつかんでいたはげた男が、悲鳴を上げて倒れました。
そして、白目をむいて口から泡を吹いています。
はげた男の手は背中で円を描き、360度ひねり上げられています。
骨があり得ないほどボキボキに折れて、円を描いているようです。
きっと痛かったのでしょうね。
「やあ、ユウキ、二ヶ月ぶりかな。元気だった??」
神様の体から、まぶしいほどの黄色い光が出ています。
それが、段々弱まっていき姿がはっきりしてきました。
「てっ、てめーー!!!! 何者だーーーー!!!!」
三人の悪党が声をそろえて叫びます。
「神様です!!!!」
ユウキが元気よく言いました。
その顔はさっきまでの弱々しさが無くなり、瞳に力がよみがえっています。
キラキラ輝いた瞳を神様に向けると、頬を赤らめて笑顔になりました。
「そうです。僕が神様です!!」
「何が神様だーー!! ふっ、ふざけるなーーーー!!!! くたばりやがれーーーー!!!!」
三人の悪党がエイリとノブコを突き飛ばすと、神様に襲いかかりました。
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