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第百五話 居眠り

「集って下さい」


 ガラス張りの会議室のような部屋から、あれは。

 オカルト研究部のノブコさんですね。

 そのノブコさんが手招きをしています。


「嬢ちゃんと、お母さんも一緒に行きましょう」


 カブランさんが、私とお母さんの横に来て言ってくださいました。

 でも、私が行ってもいいのでしょうか。


「私なんかが行っても良いのかしら。知らない人ばかりだし」


 お母さんがとても不安そうに言いました。考える事は私と一緒です。

 部屋にいる人の中に、私はまだ見知っている人が数人いますけど、お母さんには全くいませんからとても不安でしょうね。

 あっ、マモリ様が、部屋に入る前に私達を手招きしてくださいました。

 お母さんの顔からも、不安が消えて笑顔がこぼれます。

 そして、お母さんは私の顔を見ました。


 大きな机に、次々恐い顔の男の人が着席します。

 私とお母さんは入り口付近の席に座って、入って行く人を見つめます。

 横にカブランさんが座って下さいました。

 一番奥の真ん中の席に、マモリ様と旧仲信作先生が座りました。

 2人の後には、大きなモニターがずらりと並んでいます。

 最大のモニターには世界地図があります。


「あれが気になるのか? あれは、現在の世界情勢だ。赤いのが侵略軍の占領した地域だ。配信動画から想定して表示してあるそうだ」


 カブランさんが私の視線に気がついて説明して下さいました。


「赤い範囲が多いですね」


「うむ、それに比べて日本は赤い範囲が小さいだろう。世界では、既に日本列島が何個も入るほど赤くなっている。恐らく日本はなめられているのだろうな」


「うふふ、日本人は自国が最高と思っていますが、他の国から見たら、弱小国なのでしょうね」


「ふむ。まあそのおかげで、派遣された敵司令官が間抜けで助かっている。マモリ様を正当評価も出来ていねえ。感謝するしかねえな」


「あの、アフリカの色が白で、他が青なのは何故でしょう」


「ふむ、さすがは嬢ちゃんだな。モニターの左端を見てくれ。あれが現在配信されているアフリカの動画だ」


 私は言われたモニターを見て、全身に鳥肌が立ちました。

 お母さんの顔も驚きの表情になります。


「な、なんですか、あれは??」


「ふふふ、大勢の難民であふれかえり、食い物がなくなって大混乱している。人間同士で殺し合っているのさ」


 どのモニターにも、人々が争っている映像しかありません。

 みにくい殺し合いが行なわれているようです。


「ひどい」


 お母さんが小さく言いました。


「アフリカは、もう、何処が安全で、何処が危険かもわからない。だから、青ではなく白にしてあるそうだ。侵略軍は、安全地帯と言って、アフリカを攻めないと宣言したが、それは「お前達同士で殺し合って自滅しろ」と言ったのかも知れねえなあ」


 私とお母さんの視線は、殺し合う人間の映像に釘付けになりました。


「我が、義勇軍は、初戦を勝利する事が出来ました。いよいよ、日本の自衛隊と侵略軍の戦いが始まります。早ければ明日、私は明後日と想定しています」


 ノブコさんが話を始めました。

 見ると、作戦会議室の大きな机の椅子は全て埋まり、ガラス張りの部屋の外にも人が大勢集っています。

 ノブコさんが少し移動して、世界地図を写していた大きなモニターの前に立つと映像が切り替わります。

 映像は、侵略軍に同行している動画配信者の映像になりました。

 モニターの映像は細かく分割されて、様々な映像がいっぺんに見ることが出来ます。


 私は、家でYHKの放送しか見ていないので、こんなことになっているとは全然知りませんでした。

 でも、おかしいですね。


「自衛隊の映像がありません」


 お母さんがぽつりと言いました。

 私の思ったことを口に出して言ってくれました。


「うふふ、そうですね。普通は、自衛隊のように情報を隠すのが当たり前です。こんな軍事機密を堂々と配信なんかさせるわけがありません。侵略軍は、正々堂々戦っても負けるとは、つゆほども思っていないようです」


 ノブコさんがうれしそうに答えてくれました。

 そして、続けます。


「義勇軍は、侵略軍を消滅させました。次の侵略軍の攻撃までは少し時間の余裕があるでしょう。この模様は、全世界にマーシーの幻覚チャンネルから配信されました。当然、自衛隊も見ていたはずです。そこで、マモリ様」


 ノブコさんが急にマモリ様を呼びました。


「は、はい」


 不意だったため、マモリ様は驚いた表情で返事をしました。

 マモリ様は、なにかをマグカップで無心に飲んでいました。

 驚いて恥ずかしそうな顔も、とても美しくてかわいいです。


「自衛隊に行って、援軍を申し出て下さい。条件的には受けてもらえると思います。共闘して、敵軍を撃退出来れば、世界の希望になると思います」


「さ、さすがは、ノブコですね。本当にさすがです」


 マモリ様がとてもうれしそうです。


 ――えーーっ!!


 な、なんですかーー!!

 ノブコさんの顔がみるみる真っ赤になります。

 表情が乙女になって、両手で顔をおおって、下を向きました。


「ででで、ですが、一応私達は、政府からテロリスト認定されています。危険なので、使者にはマモリ様に行って頂きたいと思います」


「うん、わかった。すぐにいくよ」


「いいえ。今日はもう遅いので、明日で大丈夫です。明日の早朝に行ってください」


「あ、あの、あの、私も行きます」

「私も行きますわ」


 ユウキさんとエイリさんです。

 下手をすれば、自衛隊に殺されるかも知れないのに間髪入れずに言いました。

 すごい二人ですね。

 私も行きたいのですが、とても言うことができませんでした。


「危険ですよ」


 ノブコさんが心配そうな顔をします。


「大丈夫。僕がマモリます」


「うふふ、では、2人も行ってください。ただ、顔出しはまずいのでキュートルブルーとキュートルイエローの姿で行ってください。それだと、ミミイさんにも行って頂かないといけませんね。ミミイさんはキュートルグリーンの姿で行ってください」


「はいですのぉ」


「では、車の運転は俺が行こう」


 銀髪オールバックのイケメンがいいました。

 鋭い目つきですが、とても素敵な男性が言いました。


「では、車の運転はクートさんに御願いします」


 画面は、地図に変りました。

 ノブコさんはさらに続けます。


「これは、推定ですが自衛隊の防衛ラインを入れた地図です。東西に別れ、侵略軍を迎え撃とうと準備をしていると思います。どちらも500メートル級の河の付近に布陣するでしょう。侵略軍は、どうどう国道を進んでいます。先行するのは旅団が一つずつ、遅れて魔導師を含む旅団が続きます。合流すれば1万6千人ずつの師団となるでしょう。我が義勇軍は東西に一部隊ずつガンネスファミリーとファルコンファミリーで行ってもらいます」


 地図に侵略軍の部隊が赤く追加されます。そして、義勇軍が緑で表示されました。

 私はこのあたりから、国会議員のように睡魔に襲われて居眠りをしてしまったようです。

 後で、お母さんに「見事な居眠りでした」と言われました。


最後までお読み頂きありがとうございます。


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