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勇者はマモリたい  作者: 覧都
第1部

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第百一話 1番手柄

 黒い義勇軍の隊長は、橋の渡り終わりの所で少し体を低く沈ませました。

 そして、ダッシュをします。


 ――は、速い!!


 黒い隊長は矢の下をくぐり抜けてしまいました。

 そして、義勇軍の1000人の部下が黒い隊長を追いかけます。

 おかげで、部下が矢の雨の真下に入ってしまいました。


「いけない!!」


 私は思わず声が出ました。

 あの矢は、かするだけでも人間の体をバラバラにする威力があります。

 私のお母さんは、それで足を吹飛ばされました。

 私は、水を配りながら目は携帯端末に釘付けになっています。

 誰かが私達にも見えるように携帯端末を一つ置いてくれています。


 私はお母さんが、休んでいる場所に目をやりました。

 赤十字の書いてある白い旗の所にケガ人が集められています。

 その中で、お母さんの足には白い包帯が巻かれています。

 でも、元気そうに笑いながら隣の人と話しています。

 お母さんより重傷の人もいるみたいですが、治癒薬のおかげか、苦しんでいる人はいないようです。


「おおーーとっ!! 義勇軍の上に矢の雨がゲリラ豪雨の様に降り注ぎます。だが、義勇軍にそれを気にする者は一人もいません。ポコポコと命中しますが、へなちょこ矢に倒れる義勇軍の兵士は一人もいません」


「なにーーっ!! あいつらもか!!」


 近くで、違う配信動画を見ている人がいます。

 その人の携帯端末から侵略軍の団長の驚く声がします。

 声のした携帯端末をのぞき込むと、敵の侵略軍の団長のアップが映っています。

 こんな所からの取材も受けているようですね。

 配信者は恐くないのでしょうか。


「すげーー!! まるで国会議事堂の前のキュートルスリーのようだ。矢が効いていない」

「うおぉぉーー!! 義勇軍がんばれーー!!」


 避難民の間から声が上がります。


「うぎゃあああぁぁぁーーーーっ!!!!」


 悲鳴が聞こえます。


「おおーーとっ!! ご覧ください!! 義勇軍のコング隊長が敵侵略軍に突っ込みましたーー!! 巨大で長い棍を使い、大量の歩兵を吹飛ばします。まるで花が咲くように人が跳ね上がります」


 コング隊長は、飛行機のプロペラの様に棍をたくみに高速回転させています。


「くそがーー!! 歩兵隊何をしている!! 盾だ! 盾を構えて数で押しつぶせーー!!」


 団長の声を聞くと、歩兵隊は盾の後ろに身を隠して集団を作ります。

 コング隊長の回りに盾の壁が出来上がり、それがじょじょに近づいてきます。


「うおおおおおおおおおーーーーーーーーっ!!!!!」


 勇ましい声を、コング隊長があげます。

 そして、盾と盾の間に力任せに棍を突き刺します。


「うわあああああああぁぁぁーーーーーーーーっ!!!!!!」


 コング隊長は、突き刺した棍で歩兵を次々空高く跳ね上げます。

 ドスンドスンと敵の歩兵が地面に落ちて動かなくなります。


「わああああぁぁぁぁーーーーーーー!! 突っ込めーー!!」


 後ろから追いついてきた義勇軍が、コング隊長の崩した歩兵の陣形に突っ込みます。

 上空のドローンの映像では、義勇軍の他の橋から援軍が駆けつけています。

 義勇軍の援軍の隊長も走るスピードが速すぎるため、部下を置いてきぼりにしています。

 大丈夫でしょうか?


「コング殿ーー!! 助太刀に来たダニーー!!」

「同じく助太刀つかまつるズラーー!!」


「かたじけない。ダニー殿、ズラー殿、団長をお任せしまーーす!!」


「わかったダニー!!」

「わかりましたズラー!!」


 左右から走ってくる、ダニーさんとズラーさんと呼ばれていた隊長が返事をすると、侵略軍の団長にむかって走ります。

 侵略軍は、全面のコング隊に注意がいっていたためか前面に厚く部下を集めています。

 団長は集団の後ろで、少数の騎兵に守られているだけです。

 そこに2人の義勇軍の隊長が単身駆け寄ります。


「馬鹿め! 護衛の騎兵の戦闘能力は、この軍で最も高い。一騎当千の猛者達だ!! 始末されるのは、てめー達の方なんだよ!! 死にゃあがれーー!! いけぇーー!!」


 侵略軍の団長の、不気味な笑顔がアップになりました。

 侵略軍の団長を守っていた騎兵達が左右に分かれてダニー隊長と、ズラー隊長にむかって走り出しました。


「おおーーとっ!! あれは、義勇軍2番隊のダニー隊長と3番隊のズラー隊長だーー!! 全力で走ってきたためか、配下の兵士が全然追いついていません。配下の兵士は、まだ姿すらみえません。でも安心してください。この2人はキュートルスリーと同じ位の強さがありまーーす」


 本当でしょうか。

 私は、隣で携帯食料を配っているキュートルブルーを見ました。

 ブルーは私の視線に気がつくと、ウンウンとうなずきました。

 マジみたいです。

 キュートルピンクのマモリ様は顔を出していますが、ブルーとイエローは顔を隠しています。いったい、どっちがユウキさんでどっちがエイリさんでしょうか。

 2人とも顔を隠すなんて美人だからもったいないですね。


「くそう!! 撤退!! 撤退だーー!!」


「おおーーとっ!! 敵侵略軍の団長が撤退をはじめましたーー!!」


 私が視線を、キュートルスリーのブルーに移している隙に騎兵は倒されてしまったようです。

 まさに瞬殺です。


 ――えっ!? 義勇軍の隊長さん、強いんですけどー。


 まさか? ユウキさんとエイリさんも、この強さということですか?

 私は、もう一度ブルーの顔を見ました。

 キュートルブルーは、再びウンウンとうなずきました。

 おそらく、ブルーはなんの事かわからずにうなずいていますね。たぶん。

 この、なんだかわからない残念感は、ユウキさんですね。

 キュートルブルーは、ユウキさんで間違いないでしょう。


 護衛の騎兵が倒されると、団長は単身逃げ出しました。


「ぎゃっ!!」


 逃げた団長の背中に、ダニー隊長とズラー隊長の投げた棍が同時に命中しました。


「よお!! 団長さん、悪く思うな! これは戦争ダニ」


 ダニー隊長さんが、ぐったりして倒れる敵の団長の髪をつかみ持ち上げました。


「敵将、討ち取ったダニーーーー!!!!」


「うわあああああああぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!!!」


 悲鳴と共に敵侵略軍が右往左往しはじめました。

 大混乱です。


「おおーーとっ!! ここで義勇軍2番隊と3番隊の兵士がそれぞれの隊長と合流しましたーー!! 2番隊と3番隊はそれぞれの隊長に合流したので、敵侵略軍の後方を包み込むような形になっている。前面の1番隊と、後方の2番隊、3番隊が混乱した敵軍を、武を持って制していきまーーす」


 しばらく、携帯端末からは喚声が聞こえますが。

 道路に避難している人達からは、何の音もしません。

 静寂が続きます。

 そして携帯端末からも音が無くなりました。

 けたたましいマーシーさんの声もしなくなりました。

 シーーンと静まり返ります。

 私にはその静かな時間がとても長く感じました。


「我軍の勝利であーーる!!」


 低くてそれでいて、良く通る声がしました。

 1番隊コング隊長の声ですね。


「エイ、エイ、オーーーー!!!!」

「エイ、エイ、オーーーー!!!!」


 大きな声が携帯端末から響きます。


「うわあああああああーーーーーーーー!!!!!!」

「勝ったーー!!」

「勝ってくれたぞーー!!」


 避難民からも大声が上がります。

 そして、盛大な拍手があがりました。

 とても強い連帯感を感じました。


「うふふ。今日の1番手柄は、会長ですね」


 マモリ様が私に近づいてきて、優しくハグをしてくださいました。

 マモリ様って、いったいどのようなお方なのでしょうか?

 まるで、義勇軍の最高責任者のような言い方です。

 いいえ、そんなことはどうでもいいのです。

 この優しくて、それでいて最高に美しい顔。今、私は独り占めしています。

 もう、私はマモリ様にまいってしまいました。

 この心地よい時間がずっと、一生続けばいいと思っています。

最後までお読み頂きありがとうございます。


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と思ったら


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