正義の大学生ヒーロー、誕生2
「お前が、赤坂楽志だな」
目の前の猫がそう言う。ん、ちょっと待て。
「な、なんで猫がしゃべっているんだ!?」
見た目は、至って普通の猫だ。全身グレーの毛並みの美しい猫。
服を着ているわけでもないし、野良猫にしては清潔感があるところ以外は普通の猫のようにみえる。
そんな猫がしゃべっているかと思うなんて、俺、寝ぼけてるのかな…。
「おい、ワシの質問に答えんかい!お前、赤坂楽志だろ」
いやいや、いきなりしゃべる猫に話しかけられてもまともに話せるわけなくないか?バカなのかこの猫は?
ていうかさ…
「なんで俺の名前知っているんだ!?」
「俺の名前、ってことはやっぱりお前が赤坂楽志か。よかったよかった」
「おい、なんで俺の名前知ってるんだ…「タノ、お前に頼み事がある」
はー、こいつぜんっぜん人の話きかねーじゃん。
さっきまでは驚きが勝っていたが、こんな扱いをされちゃあイライラしてくるに決まってる。
そして、ふと俺は今寝坊していてこんなバカ猫に構っている暇などないことに気づいた。
「ちょごめん、俺今急いでるからさ、頼み事?とかあるんだったらもっと暇そうな人に声かけてくれ、じゃーな」
そう言ってまた全速力で走り出した。
「ちょ、おい待て!タノ!!」
そう後ろで猫が叫んだのが聞こえたが、しーらねっ。
しゃべる猫に対する興味より、今は吉美教授の授業に遅刻しないことの方が100倍大事だからなっ!
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「おい待て!タノ!!……あーあ、行ってしまった。まあいい。チャンスはいくらでもあるからなあ。」
そうつぶやき、猫は不敵な笑みを浮かべた。




